姫騎士とペットなオレ

エルトベーレ

第11話 恋敵

目が覚めると、荒い小さな息遣いが耳に届いた。
見れば、コットンの上に別のクラビーが跨り、お互いに頬を舐め合っている。
最初はコットンが襲われているのかと思ったけど、それとは様子が違う。そしてわたしは察した。
これは、交尾をしてるんだと。


コットンのやつ、隅に置けないなぁ。いつの間に恋人作ってるなんて。っていうか、わたしのこと好きなんじゃなかったの?
って、なんでモンスターに嫉妬してんのよ、わたしは。違うの、これは。別にわたしだって、本気でコットンを愛していたわけじゃないもん。


そりゃ、わたしの話をよく聞いてくれて、慰めてくれて、危ない時はわたしを守ってくれて、力になってくれて。わたしはコットンに助けてもらってばっかりだもん。


キスしたのだって、もしコットンが姿を変えられた王子様だったらいいなって、現実逃避してみたかっただけだもん。


だけど、こうまざまざと見せつけられると、なんだか複雑な気分。
わたし以外の女とイチャイチャしちゃって。デレデレしちゃって……。
ああ、もうっ! 違うのよぉ。嫉妬じゃないんだって。でもどう考えても嫉妬なんだよ、この気持ちは。


どうして……。わたし、モンスターなんかに……。
おかしいよ。モンスターに恋するなんて。おかしい、かな……。


交尾を終えたコットンが、わたしが目が覚めたのに気づいた。
見られていたことに気づいたのか、固まってる。かわいい。


「コットン、その子は?」
尋ねてみると、コットンはぎこちなく起き上がって、隣の白いクラビーの頬にキスをした。
……恋人ってわけね。


「そっか。……ねぇ、どうするの? コットンは森に帰るの? それとも、わたしについてきてくれる?」
懇願するみたいになっちゃった。
コットンのためを思えば、彼女と一緒に森で幸せに暮らした方がいいはず。わたしについてきてほしいなんて、それはわたしのエゴだ。


だけど、コットンはわたしの側へ歩いてきて、わたしの脚に頬ずりした。
「わたしに、ついてきてくれるの?」
コットンは頷いて、律儀に右前足を上げた。
わたしを選んでくれるんだ。嬉しい。


「……その子はどうするの?」
するとコットンは、白い彼女の手を引いて、わたしの側へ連れてきた。
「連れて行きたいのね?」
コットンは右前足を上げた。
もし、わたしがダメだと言ったら、コットンはどうするんだろう。彼女を選ぶのか、それともわたしを……。
いや、そんな意地悪できない。


「いいよ。連れて行っても」
コットンはわたしの脚を登り、腕を登り、肩に乗って、わたしの頬を舐めた。
「もう、くすぐったいって」


そこへ、カティアが戻ってきた。

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