姫騎士とペットなオレ
第6話 襲撃
「お嬢様、そのような格好でなければ、外出なさっても構いません」
「はーい」
それを聞くと、グレーテはおもむろに服を脱ぎだした。今のオレはモンスターだからしょうがないけど、本当に無防備だよなぁ。
「それから、外出なさるなら、そこのクラビーも連れていってください」
「え? どうして?」
「何かあった時、お嬢様の力になってくれるでしょうから」
単に、オレと一緒だと気まずいからじゃないのだろうか。
「それに思いの外、一部のモンスターは市民と共生しているようです」
「へぇ、じゃああんまり怪しまれないかもね」
着替えを済ませたグレーテは、オレを肩に乗せて、薄手のローブを羽織る。
「少ししたら戻るから〜」
街は思ったよりも活気に満ちていて、商店街のような通りが連なっていた。
グレーテはその中のある建物に入り、壁に沿った螺旋階段を上っていく。扉から再び外に出ると、一陣の風とともに開放的な青空が広がった。
正面に見えたのは、大きな洋風の城。その城下には広大な森が広がっていて、そこから眼下の街につながっている。
もしかして、今まで通ってきた森は、あの城から続いているものなのか? ということは、グレーテはもしかして……。
「エルナ」
彼女の名を呼ぶ声に、グレーテは振り返る。カティアと同じように武装した、明るい茶髪の女性。
「……わたしを連れ戻しに来たの? 姉様」
あの人、グレーテのお姉さんなのか。
「帰る気はなさそうだな。だが……力づくでも、連れ帰る!」
お姉さんは剣を抜き、グレーテに斬りかかる。グレーテは何とかその切っ先を避けて、距離を取った。
武装していないグレーテに対して、攻撃としては過剰だ。多少傷つけても構わないと思っているのか。
そんなことは、オレが許さない!
オレは剣の姿に変わり、グレーテの手に収まる。
「……わかった。戦うよ」
今度はグレーテから斬りかかった。だが、これは簡単に避けられてしまった。お姉さんはオレの背を叩いてグレーテの手から落とし、そのまま彼女の首を掴み上げる。
「その程度で、この私に剣を向けようと思ったのか? 哀れな」
ふと、お姉さんの視線がオレに向けられる。お姉さんはグレーテから手を離さずに、オレを拾い上げた。
「いい剣だな。お前にはもったいない。誰の手にも渡らぬよう、折ってしまった方がいいな」
そう言ってお姉さんは、オレの刀身を壁に打ち付けた。
いっ、痛ぇっ! なんか、頭がガンガンする……。
「やめて! お願いっ!」
それでも、お姉さんは打ち付けるのをやめない。
グレーテの目から涙がこぼれるのが、ちらと視界に映った。
「なかなか頑丈だな。一度火にくべないとダメか」
「ダメっ! 姉様!」
オレは武器だ。使い手がいなければ、彼女のチカラになることもできない。
あ、元の姿に戻ればいいのか。
オレは元のクラビーの姿に戻り、お姉さんに体当たりする。
「くっ、モンスターの分際で……!」
その反動でグレーテを掴む手が緩み、彼女は拘束から逃れた。
オレはさらにその彼女に体当たりする。
「え……コットン……?」
彼女の身体がふらっと傾いて、お姉さんが伸ばした手もわずかに届かず、屋上から下へ落ちていく。
オレも彼女と一緒に落ちて、地面に激突する直前に障壁を張った。
「ありがとう、コットン」
不意にぎゅっと抱きしめられて、何だかこそばゆくなる。
「今のうちに行こう」
オレは彼女の肩に乗り、彼女はカティアのいる宿へと急いだ。
「はーい」
それを聞くと、グレーテはおもむろに服を脱ぎだした。今のオレはモンスターだからしょうがないけど、本当に無防備だよなぁ。
「それから、外出なさるなら、そこのクラビーも連れていってください」
「え? どうして?」
「何かあった時、お嬢様の力になってくれるでしょうから」
単に、オレと一緒だと気まずいからじゃないのだろうか。
「それに思いの外、一部のモンスターは市民と共生しているようです」
「へぇ、じゃああんまり怪しまれないかもね」
着替えを済ませたグレーテは、オレを肩に乗せて、薄手のローブを羽織る。
「少ししたら戻るから〜」
街は思ったよりも活気に満ちていて、商店街のような通りが連なっていた。
グレーテはその中のある建物に入り、壁に沿った螺旋階段を上っていく。扉から再び外に出ると、一陣の風とともに開放的な青空が広がった。
正面に見えたのは、大きな洋風の城。その城下には広大な森が広がっていて、そこから眼下の街につながっている。
もしかして、今まで通ってきた森は、あの城から続いているものなのか? ということは、グレーテはもしかして……。
「エルナ」
彼女の名を呼ぶ声に、グレーテは振り返る。カティアと同じように武装した、明るい茶髪の女性。
「……わたしを連れ戻しに来たの? 姉様」
あの人、グレーテのお姉さんなのか。
「帰る気はなさそうだな。だが……力づくでも、連れ帰る!」
お姉さんは剣を抜き、グレーテに斬りかかる。グレーテは何とかその切っ先を避けて、距離を取った。
武装していないグレーテに対して、攻撃としては過剰だ。多少傷つけても構わないと思っているのか。
そんなことは、オレが許さない!
オレは剣の姿に変わり、グレーテの手に収まる。
「……わかった。戦うよ」
今度はグレーテから斬りかかった。だが、これは簡単に避けられてしまった。お姉さんはオレの背を叩いてグレーテの手から落とし、そのまま彼女の首を掴み上げる。
「その程度で、この私に剣を向けようと思ったのか? 哀れな」
ふと、お姉さんの視線がオレに向けられる。お姉さんはグレーテから手を離さずに、オレを拾い上げた。
「いい剣だな。お前にはもったいない。誰の手にも渡らぬよう、折ってしまった方がいいな」
そう言ってお姉さんは、オレの刀身を壁に打ち付けた。
いっ、痛ぇっ! なんか、頭がガンガンする……。
「やめて! お願いっ!」
それでも、お姉さんは打ち付けるのをやめない。
グレーテの目から涙がこぼれるのが、ちらと視界に映った。
「なかなか頑丈だな。一度火にくべないとダメか」
「ダメっ! 姉様!」
オレは武器だ。使い手がいなければ、彼女のチカラになることもできない。
あ、元の姿に戻ればいいのか。
オレは元のクラビーの姿に戻り、お姉さんに体当たりする。
「くっ、モンスターの分際で……!」
その反動でグレーテを掴む手が緩み、彼女は拘束から逃れた。
オレはさらにその彼女に体当たりする。
「え……コットン……?」
彼女の身体がふらっと傾いて、お姉さんが伸ばした手もわずかに届かず、屋上から下へ落ちていく。
オレも彼女と一緒に落ちて、地面に激突する直前に障壁を張った。
「ありがとう、コットン」
不意にぎゅっと抱きしめられて、何だかこそばゆくなる。
「今のうちに行こう」
オレは彼女の肩に乗り、彼女はカティアのいる宿へと急いだ。
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