姫騎士とペットなオレ
第4話 温泉
「あ、カティア、あれ!」
グレーテが嬉しそうに指を向ける先からは、白い煙が立ち上っている。なんとなく辺りの気温も上がっている気がする。
山火事とかか……?
「まぁ、いいでしょう。誰かに見られても困ります。手早く済ませましょう」
もう少し近づいてみると、それは温かい湖、天然の温泉だった。
って、温泉ってことは……もしかしなくても……!
カティアとグレーテが身につけていたものを次々と脱いでいき、白い肌が露わになる。
「コットンもおいで。一緒に入ろう?」
いや、でも、さすがにマズくないか? ないと思うけど、もしオレがもとの姿に戻ったりなんかしたら……。
「大丈夫、怖くないよ。ほら」
なんて、グレーテは腕を広げてみせる。
なんか色々見えてるって! ……あ〜、当分このままでいいかも。
オレはグレーテに抱かれながら、ゆっくりと湯に浸かる。
服越しではない、今度はゼロ距離。直に彼女に触れているんだ。でも、オレの体毛が邪魔してるせいか、感触はよくわからない。
「エルナ様、そいつ、オスですからね」
カティアのその言葉に、ドキッとする。
「なぁに、嫉妬してるの?」
「いえ、エルナ様が良ければいいんです」
グレーテが手を放すと、オレの身体はぷかぷかと浮かび上がった。水に浮くのか、この身体。
「あはっ、かわいい〜」
水面を漂うオレを指でつつきながら悪戯な笑みを見せるグレーテ。彼女もかわいい。
すると、茂みから小さなモンスターが姿を見せた。そいつには見覚えがあった。
『ジェイム……だったっけ?』
『やるじゃねぇか。ジェイラスの兄貴を倒しちまうなんて』
ジェイラスというのは、たぶんさっきの黒い竜のことだろう。
『お前、魔術体質だったとはな。せいぜいそこの人間と仲良くしとくんだな』
『あ、おい、魔術体質って?』
ジェイムは答えてくれず、去っていってしまった。
魔術体質か……。珍しいものなんだろうか。
「コットン、そろそろ上がるよ〜」
グレーテはカティアに身体を拭かれながら、オレの身体を拭いてくれる。何だ、この構図。
「エルナ様、もう少しで城下を抜けられます。追手も手配されているでしょう。くれぐれもお気を抜かずに」
追手……? グレーテは誰かに追われてるのか?
「わかってるって。でも、この先の街で少し休もう?」
「承知いたしました」
結局、この日は森を抜けられず、今夜は野宿することになった。
カティアがテントを設営し、グレーテが火を起こす。
「ねぇ、カティア。クラビーって何食べるの?」
「基本的に草食です。木の実や、小さな虫も食べると思いますが」
え……虫はちょっと……。
「じゃあこれ、食べられるかな」
そう言って、グレーテが腰に下げた包みから取り出したのは、小さな赤い木の実だった。
差し出された手のひらに、何粒か乗せられている。思い切って匂いを嗅いでみると、甘酸っぱい香りがした。果物か何かだろうか。
一粒口に含んでみた。……これは、イチゴ……? 食感や味はよく似ている気がする。でも見た目はブルーベリーに近い気もする。でも、美味しい。
調子に乗って全部食べ、間違えてグレーテの手まで舐めてしまった。
「あははっ、くすぐったいよ。気に入ってくれたようでよかったよ」
「エルナ様、こちらも用意ができました」
「あ、そうだ。カティア、街では呼び方に気を付けてよ?」
「はい、お嬢様」
グレーテはやはり、どこかのお嬢様なんだろう。それで命を狙われたりもしているのかな。
ああ……ダメだ。眠くなってきた……。クラビーって、昼行性なのかな。
そんなことを思いながら、オレの意識は闇の中に落ちていった。
グレーテが嬉しそうに指を向ける先からは、白い煙が立ち上っている。なんとなく辺りの気温も上がっている気がする。
山火事とかか……?
「まぁ、いいでしょう。誰かに見られても困ります。手早く済ませましょう」
もう少し近づいてみると、それは温かい湖、天然の温泉だった。
って、温泉ってことは……もしかしなくても……!
カティアとグレーテが身につけていたものを次々と脱いでいき、白い肌が露わになる。
「コットンもおいで。一緒に入ろう?」
いや、でも、さすがにマズくないか? ないと思うけど、もしオレがもとの姿に戻ったりなんかしたら……。
「大丈夫、怖くないよ。ほら」
なんて、グレーテは腕を広げてみせる。
なんか色々見えてるって! ……あ〜、当分このままでいいかも。
オレはグレーテに抱かれながら、ゆっくりと湯に浸かる。
服越しではない、今度はゼロ距離。直に彼女に触れているんだ。でも、オレの体毛が邪魔してるせいか、感触はよくわからない。
「エルナ様、そいつ、オスですからね」
カティアのその言葉に、ドキッとする。
「なぁに、嫉妬してるの?」
「いえ、エルナ様が良ければいいんです」
グレーテが手を放すと、オレの身体はぷかぷかと浮かび上がった。水に浮くのか、この身体。
「あはっ、かわいい〜」
水面を漂うオレを指でつつきながら悪戯な笑みを見せるグレーテ。彼女もかわいい。
すると、茂みから小さなモンスターが姿を見せた。そいつには見覚えがあった。
『ジェイム……だったっけ?』
『やるじゃねぇか。ジェイラスの兄貴を倒しちまうなんて』
ジェイラスというのは、たぶんさっきの黒い竜のことだろう。
『お前、魔術体質だったとはな。せいぜいそこの人間と仲良くしとくんだな』
『あ、おい、魔術体質って?』
ジェイムは答えてくれず、去っていってしまった。
魔術体質か……。珍しいものなんだろうか。
「コットン、そろそろ上がるよ〜」
グレーテはカティアに身体を拭かれながら、オレの身体を拭いてくれる。何だ、この構図。
「エルナ様、もう少しで城下を抜けられます。追手も手配されているでしょう。くれぐれもお気を抜かずに」
追手……? グレーテは誰かに追われてるのか?
「わかってるって。でも、この先の街で少し休もう?」
「承知いたしました」
結局、この日は森を抜けられず、今夜は野宿することになった。
カティアがテントを設営し、グレーテが火を起こす。
「ねぇ、カティア。クラビーって何食べるの?」
「基本的に草食です。木の実や、小さな虫も食べると思いますが」
え……虫はちょっと……。
「じゃあこれ、食べられるかな」
そう言って、グレーテが腰に下げた包みから取り出したのは、小さな赤い木の実だった。
差し出された手のひらに、何粒か乗せられている。思い切って匂いを嗅いでみると、甘酸っぱい香りがした。果物か何かだろうか。
一粒口に含んでみた。……これは、イチゴ……? 食感や味はよく似ている気がする。でも見た目はブルーベリーに近い気もする。でも、美味しい。
調子に乗って全部食べ、間違えてグレーテの手まで舐めてしまった。
「あははっ、くすぐったいよ。気に入ってくれたようでよかったよ」
「エルナ様、こちらも用意ができました」
「あ、そうだ。カティア、街では呼び方に気を付けてよ?」
「はい、お嬢様」
グレーテはやはり、どこかのお嬢様なんだろう。それで命を狙われたりもしているのかな。
ああ……ダメだ。眠くなってきた……。クラビーって、昼行性なのかな。
そんなことを思いながら、オレの意識は闇の中に落ちていった。
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