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エルトベーレ

2-3 放課後デート

「真白、今日ってこれから時間ある?」
このまま帰りたくない。こんな煮え切らないまま帰ったら、本当に何も思いつかなくなってしまう。
真白は知恵は働かなさそうだけど、オレとは違う視点を持っている。今はそんな視点からの意見がほしい。もう少し彼女の話を聞いて、考えをまとめたい。
「あ、うん。どこか寄ってくの?」
「そうだな……カラオケでもどうだ?」
「えっ、行く! でもどうしたの? 急に」
「……デート、したいんだろ?」
こんなのデートにカウントするのはかわいそうだし、今度改めてどこか連れていってあげることにするか。



駅前のカラオケボックスは幸いにも空いていて、一時間だけ歌っていくことにした。
彼女が曲を選んでいる間に、オレは真の目的を果たすことにする。
「真白、体育の時にブラつけてないとどうなんの?」
「えっ……? 激しい運動とかすると、擦れて痛い……けど。あと、揺れるし」
嫌がられるかと思ったけど、答えてくれた。
「あ、でも、カップ付きのキャミとか着ればそんな気にならないけど」
「そうなのか……。ついでに、服着たままブラって脱げる?」
「ブラウス脱がないと大変だけど、できると思う。……どうしてそんなこと聞くの?」
それならちょっと、明日の犯行予想時刻は真白に囮になってもらうか。
「いや、別に……。ほら、始まるぞ」
「あ……」
入るタイミングを逃して、出だしをミスしてしまったようだ。


真白の声に聞き惚れていたら、一時間はあっという間に過ぎていった。
「あー楽しかった。佑馬くん、意外と上手なんだね」
「意外とってなんだよ。あ、この後買い物も付き合ってくれる?」
「うん、いいよ」



オレたちがやってきたのは、駅前のデパートの二階、婦人服売り場。そしてこの一角は……。
「ねぇ、佑馬くん。買い物って……ここ?」
「ああ。何か買ってやるよ」
下着売り場なんて、オレ一人だったら絶対入れない。真白がいるからこそだ。
「真白、サイズは?」
「ちょ、ちょっと、ホントに私の買うの?!」
真白は赤くなって慌てふためくが、オレはあくまで冷静を装って対応する。
「プレゼントだからさ。……お願いしたら、オレの好みの着けてくれたりしない?」
「……うん、わかった」
……本当にいいんだ。今回はマジで怒られるかと思ったのに。ごめんな、真白。マジでいい娘だよ、お前。
「サイズは、Bの65ってやつなんだけど……」
「えっ、AとかBとかだけじゃなくて数字もあるの?」
じゃあ同じBカップでも格差があるってことか。知らなかった……。
「そうだよ。あ、この辺がそう。ここに書いてあるでしょ?」
「へぇ、こんくらいか……」
目の前のブラと、真白の胸とを見比べてみる。……なるほど。
「……佑馬くん、怒るよ?」
うん、真白はそろそろ怒ってもいいと思う。オレが言うのもなんだけど。


「そうだな……じゃあ、これとかどうかな」
オレが真白に見せたのは、フリフリのレースがあしらわれた、白地にピンクの花びら柄のブラ。
「わぁ、かわいい! シフォンのだし!」
「シフォン?」
「ああ、生地のことだよ。こういう薄くて柔らかいやつのこと」
何にせよ、気に入ってくれたなら良かった。
オレはこのブラを二つカゴに入れ、レジで会計を済ます。


「何で二つも買ったの?」
「一個はプレゼントだ。良かったら使ってくれ」
わざわざ袋も分けてもらった。そのうちの一つを彼女に手渡す。
「ありがとう。もう一つは?」
「こっちはまぁ、使うから」
それに、ちょっと細工もしないといけないし。
「え……使うって……、新品でいいの?」
「どういうこと?」
「だって……その、使うなら……私が今着けてるやつの方が、良かったりしない?」
……こいつ、何の話してるんだ? ……あ、そういうことか。
「ちげぇよ、そんなことに使うわけないだろ。いいから、明日のお楽しみだよ」
「今日は本当にありがとう。また明日ね」
「ああ、じゃあな」


真白の本心は、オレにはわからない。
彼女は本当は、嫌だったりしないだろうか。無理してはいないだろうか。
今日は散々嫌がらせをしたと思う。表面上は嫌そうにはしていなかったが、本当のところはどうだろうな。もし嫌だったなら、明日以降、態度が少し変わるかもしれない。
……ごめん、松岡さん・・・・

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