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うちの姉ちゃんはこわい

エルトベーレ

鍋を囲んで

「おい、肉ばっか食ってんなよ。野菜も食え」
「サリ姉だって肉ばっかじゃん」
「あたしはいいんだよ」


そんなの横暴だ。


結局、勝ったのはサリ姉だった。ところが、サリ姉の案は鍋料理店だった。
ここなら、肉も魚も野菜も食べられる。
……ただ、暑い。


「ハルちゃん、お魚の骨取ってあげようか?」
「マリ姉、いつまでも子供扱いすんなよ」
「へぇ、大人なんだ?」


サリ姉が意地悪く笑う。


「桜莉菜よりは大人だよねぇ、ハルちゃん」
「人がせっかく譲歩してやったのに、なんだ? その態度は」
「やめなよ、二人とも。外なんだから。ハルちゃん、あーん♪」


いやいや、マリ姉、あんたも大概だよ……。


「あ、あーん」


しかし逆らえない。弟たる者の悲しい習性。


「ほら、ハル。あーん」
「豆腐はやめろって。熱いから。ホントに」


サリ姉は本当に意地悪だ。


「この桜莉菜様のあーんを断るのか?」
「やめなよ、桜莉菜。いじめないで」
「ユリ姉……。おれ、ユリ姉の口移しがいい」
「調子に乗るなよ、エロガキが」


隣のサリ姉に、げんこつを落とされた。普通に痛い。


「ハルちゃん、私でよければ口移ししてあげようか〜?」
「マリ姉はいい。もっとヤバいことされそうだし」
「えー」


今日はマリ姉の運転で来てるから、お酒が入っていないのがまだ幸いだ。


「それは言えてる。あと、柚莉菜はもっと肉を食え。そんなんだから細いんだよ」
「細くていいのっ」
「まだ気にしてんの? 成長期は多少重くなっても食っとけって」


ユリ姉、体重気にしてるのか。あんなにスタイルいいのに。


「ユリ姉、あーん」
「ハルちゃん……。あーん」
「おいしい?」
「うん、おいしいよ。ありがとう」


あ、ヤバ……。お腹いっぱいになったら、なんだか眠く……。

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