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うちの姉ちゃんはこわい

エルトベーレ

バレる? バレない?

「姉さん、この子、私の友達なんです」


そう言ってユリ姉がマリ姉に紹介したのは、おれ。
背丈はあまり変わらないし、今は女の格好だし、友達でも通用するかもしれない。
ユリ姉の呼びかけに、マリ姉がこっちに来る。
ヤバい。怖い。バレたらどうしよう。何されるかわかんないよ。


「あら、かわいい子じゃない。うちの柚莉菜がいつもお世話になってます」


え……気づかれないの?


「い、いえ……」


適当に返事をしながらユリ姉の背に隠れようとすると、ユリ姉はそれを許さなかった。
おれを捕まえて、マリ姉の前に無理やり突き出したのだ。


「姉さん、この子姉さんの知ってる子だと思うんですけど、どうです?」


それを聞いたマリ姉は、ぐっと身を乗り出して、上から下まで、おれをなめるように眺めまわす。
うわぁ、怖いって。怖いって。


「もしかして……、ハルちゃん、だったりする?」


あ……バレた。


「まーでも、そんなわけないか。こんなかわいい女の子がうちの弟なわけないもんね。で、誰なの?」
「んー、やっぱり姉さんの知り合いじゃなかったみたいですね。ごめんなさい」
「あ、そうなんだ。残念。これからも柚莉菜と仲良くしてあげてね?」
「……はい!」


……あー心臓に悪い。いつもとは違った意味でドキドキした。
マリ姉、おれ以外の人の前だとこんな感じなんだ。なんか新鮮だなぁ。

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