8つ子の最後の一年

MINON

Story4.相棒

「…なるほどな。」今まで部屋になかったはずの声が響く。
「と…冬也兄さん…。」光也が少し怯えた目で彼を見る。そう、彼が、八つ子の中で唯一の元ヤン、五男、冬也。その冬也こそが、俺、春也の相棒なのだ。
「春也兄さん、あんたがいなかった小2から小4までの時期は、何故かめちゃくちゃつまらなかった。」そこまで言い切ると、もうすでに冬也は泣きそうだった。「…あんたがっ、あんたが相談には乗るよ、って言ってくれてさ、俺…嬉しかったんだ。なのに、なんで…、なんで一人で伯父さんの方に行っちゃったんだよ!!」
冬也の言葉で思い出した。
冬也がヤンキー集団にスカウトされて、幹部になった日、こんな話をした。「兄さん、どうしよう!」「ん〜?どした、冬也」「なんか…ヤンキー集団にスカウトされちゃって、指揮官?になっちゃった!」「え、どゆこと?」「とにかく、責任がぁ…。」「あぁ〜…そういうことね。とりあえず、困ったら俺のとこ来なよ。"相談には乗るよ。"」
冬也には、申し訳ないことをしてしまった。冬也を、裏切ってしまった。
「…冬也、ごめん。俺、冬也に酷いことしちゃったな。」
「え…春也兄さん、冬也兄さん、何があったの…。」光也は未だに状況を把握できてない。


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