異世界召喚に巻き込まれたんだが、勇者がかなり弱くて人生詰んだ。

ノベルバユーザー210019

番外編 もう一人の幼馴染と猿 02

「ありのまま起こったことを話せばいいの?」
「絶対何言ってるかわからねーし 何をされたのかもわからねーから、やめて。」
こいつは何気にネタが豊富なんだ、普通に会話してると思いきやぶっこんでくるから気をつけないと…
「ふふ、そうね。まぁ大方のことは託斗から聞いているんでしょう?」
「1vs100人規模って事くらいしか言ってないかなぁ。それ以外は俺も知らんし」
「まぁ、そういうこった。その漫画みたいな展開、俄かには信じられんけど目撃者が委員長だっつうから直接聞きに来たってわけよ」
まぁ、暇だったからな。ちょっくら調べるのも楽しそうじゃねーか。
「私が言える事は紛れもなく現実で起きた出来事だっていう事と……そうね、襲われていたのは私達と同じくらいの歳で、学ランを着ていた男子生徒って事くらいかしら?ああ、それと訛ってたわ。関西弁かしら」
相変わらず考え事する時に耳たぶを触る癖は直ってないみたいだ。周りにはお堅いお嬢様みたいな印象が通ってるらしいけんど、全然そんな事はない。わかりやすくて意地っ張りで寂しがり屋のチビ助なのになぁ。
「……何よ、さっきからじろじろ見て」
「ちっちぇーなって思っーーあだぁっ!?ぐ、ぐーで殴るなよぐーでっ!」
「ちっちゃいって言うからよっ!コレでも中学の時より1センチ伸びたんだからっ」
い、1センチで胸張ってんじゃねーよ……言ったらまた殴られるから言わんけども
「んー?そいで場所はどこだっけか?大八商店街の近くって言ってたぁ?」
「そうね、最初はあの近くで追いかけっこしてたの、でも逃げるのを諦めて立ち向かい出したのよその人。だからね、このままじゃまずいと思ったから通報したんだけど本当驚きよね…一人でボッコボコにしちゃうんだもの」
どんな絵面なんだろうか。100人のヤンキーに挑む学ランの男子生徒、相当ムキムキなんじゃねーのかそいつ。
「背格好は貴方達と変わりないわよ?」
「ナチュラルに思考を読むなや魔女」
「貴方が単純なのよ精神老人さん」
やかましいわ、全く。
「相変わらず仲が良いことですなぁ。父さん嬉しいなぁ、羨ましいなぁ……」
「オレンジジュースばっかり飲んで会話に入ってこないから疎外感感じるだけでしょ?ほら、おかわり」
「やたー、まじうめぇー」
「変わらないわね」
まぁ、久しぶりに来たけど落ち着くわな。なんで最近つるまなくなったんだろうか。やっぱ思春期ってやつかな、あんまり仲良いと学校で噂されたりして鬱陶しいってのもあっただろうな。あーいう時の男子高校生のウザさときたらたまったもんじゃない。愛梨普通に可愛いし、ちっちぇーから人気もたけーし。
「なぁ愛梨、今日晩飯は?」
「っ委員長じゃないのね、珍しい。今日はまだ何にも決めてないけれど……どうして?」
「いや、ウチに食べにこねぇかなって。母さんが定期的に愛梨ちゃんがー愛梨ちゃんがーってウルセェんだよ」
別に嘘じゃない、俺たちが委員長と疎遠になってから本当にウチのおばはんが癇癪を起こしている。そろそろ爆発しそうだったから丁度いいんだ。
「ふーん、素直に私と一緒にいたいって言えば?」
なんつー顔してやがんだ、小悪魔もいいとこだぞ
「そうだぞ賢治、たまには素直になれよ」
「やめろそのノリはかなり鬱陶しい」
ケラケラと笑う二人に呆れて何も言えない。
「冗談よ冗談……トマト鍋じゃなきゃ行く。」
「焼きそばだってさ」「採用」
本当、こいつも全然変わっちゃいねーや、なんだかホッとした。
ーーーーー
「そういえば私っていつから委員長なんていう馬鹿げたあだ名で侮辱され始めたのかしらね」
『ごめん。ぜんっぜん、覚えてないわ』
「本っ当に貴方達ってそういう所似てるわよね」
「失敬な、一緒にするんじゃねーよ」
「本当だよ、俺の方が聡明に決まってら」
『それだけはない』
「お前らも十分似てるっつーの……」
まぁ、俺たち全員幼稚園から一緒ですから。息くらいあわせんとな、うんうん。
「あっそうだ、明日大八商店街行くから。お前ら授業終わったら2組集合な」
「おん」「えっ私も行くの?」
「あったりめーだろ」「当たり前なのね」
呆れたような顔をしているが俺にはわかるぞ
「嫌そうな顔して本当は嬉しいんだろ?」
「えぇ、とっても嬉しい」
「んだよ、釣れねぇ奴だなぁ」
「甘い甘いっ」
前言撤回しよう。
体は全然成長してないくせに口だけは立派になりやがってなぁ……昔なら顔赤くしながらどもってただろうなぁー。
あー、あの頃の愛梨はもういないのか……ちっちゃくてい奴だったなぁ。
「すっっごく失礼な事考えてるでしょう!」
「いえ、全然。」
ブー…ブー……
さっきから愛梨のケータイの通知が凄い。
「なんださっきから荒らされてんのか」
「……まぁ否定はしないわね、ほら見てよ」
母:ケンジくんのとこ私もいきたいーっ!母:行きたい行きたい行きたいーっ!母:帰ろっか、まだ会議中だけど帰ろうかなっ!母:もぉーっなんでもっとはやくいわないのぉ!愛梨のばかっ!ばかばかっ!やーだぁーっ!
「うわぁ……恩歳38歳の言動じゃねーな」
「みぃちゃんも似たようなもんじゃねーか」
否定できないのが辛い。
「で、なんて返すんだそれ」
「いつでもウチに来させれば良いでしょって送ったわ。はい、だからお母さん帰ってきたら賢治も一緒に出迎えるんだからね、わかった?」
「いや、わかんねーよ」
母:どーせタクちゃんもいるんでしょっ!?母:タクちゃんも連れてこなきゃ許さないからっ!
「のぉわああああナチュラルに巻き込まれたぁ!」
「HaHaッ!ザマァねぇーなっ!」
「まぁ、そうなる事はわかってましたけどね」
計算かよ、弄ばれちゃってるじゃねーか
取り敢えず今日はもう疲れたから飯食って寝ようぜ

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