異世界召喚に巻き込まれたんだが、勇者がかなり弱くて人生詰んだ。

ノベルバユーザー210019

06 サブリミナルな賛美

「それでは少しばかり説明をしようかのぉ、時に主らはこの世界並びにこの国の事をどのくらいまで知っておるかの?」
「あー、この世界の名がサラステイルって事とここがエレオノーラってことくらいしか知らん」
「えっ俺どっちもしらねーんだけど、いつ喋ったんそんなこと」
「ああ、気にすんなよ」
死人に口なし耳もなしだな、うん知らんでいい。
「うむ。付け加えると、ここは王都シグルド。まぁそれがわかればよいかの。古い文献によれば異界人は魔術を知らんと聞いておる、じゃからお主らも知らぬという方向で話を進めるとするが、よいかの?」
「魔術っていう名前は知ってるけど俺たちの世界にはそんなもんなかったね。なんせそんなのは御伽噺・・・の話だ。」
「だなぁ、知らないって事でよろしく!すんげぇ怪しいおじさんっ」
「……あー、なんじゃそのそっちに寝とった少年の為というかワシの名誉のために順を追って説明しようかの。まず、わしの名前じゃが、アルバート・ビルエイトじゃ。ここ王都にある王立魔術学園セルスフィアの学園長をやっとるものだ。」
「えっ?なにホグ◯ーツ?やばいよケンジ……このおっさん真っ向からローリングさんに喧嘩売ってるっぽい、これ訴訟を辞さないやつだよ」
「俺もやべーって思ったわ。だって見てみ、あのおっさんガチだぜ?ダン◯ルドアリスペクトしまくりじゃん、こいつはマジでちくせうじゃねーかよ」
「なに言っとるんかさっぱりだが、すごく馬鹿にされてるような気がして無性に腹がたつのぉ主ら……もう勝手に話進めてやろうかの、それでじゃワシもこの国の賢者、主らの状況も大概は理解しているつもりじゃが、勇者殿は弱体化しておるのじゃろうて?それも無闇矢鱈と外に出れんレベルで。だからこれからの方針が決まらずにおるのじゃろう?」
おっしゃるとおりで。現に30分程度の間にこの子3回も死んでますのよおほほほほ、私が殺しましたけども。
「やはりうちで基礎から学ぶ事を推奨しよう。まず我らがセルスフィアは、この世界に4つしかない魔術学園のトップに君臨しておるのじゃ。すごかろ?褒め称えろ、崇め奉らんかい小童。これだけじゃないのじゃぞ?4人じゃ。わしを含むこの世界の最高位の魔術師に送られる称号、七賢者を持つ最高位魔術師が現在4人も教師としてうちに配属しておる。わしすごかろ?勿論それだけではなかろうて。なにもこの世界は魔術に優れたものだけが上に立つわけではない。剣聖や剛剣とも呼ばれる戦士どもがこの世界にはおるのじゃ、前線を退きさえしたが未だ劣れを知らぬ歴戦のバケモンじゃぞ、あやつらは。どうじゃ、頼もしかろう?あえてもう一度言うが神を殺せるか否かはお主のポテンシャル次第じゃが、ポテンシャルさえあれば、それを最大限に引き出す事くらい我が学園なら造作もないぞよな。わしすごかろ?どうじゃ、編入してみんか?」
確かにその通りの学園ならば凄まじく期待はできる。だが身内贔屓と言ってしまえればそれで終いだ。この爺さん特に自信だけはすごい。定期的に自己賛美しやがって。サブリミナル効果かよ、普通にうざいわ。

確かに俺たちは今経験を積む以前の問題だ、この世界、この御伽噺の主軸が機能していない事、平和ボケした地球人の土台、いやそれ以上を形成して莫大な力を付与して召喚させるはずだった儀式が魔神から妨害を受け、凡人以下に成り下がってしまったという事実はあまりに痛い。
予定外イレギュラーである俺だけならそれなりのスキル付与とポテンシャルの向上がされている節がある。少しばかり経験を積めば中堅あたりの魔術師なら簡単に倒せそうだが、所詮俺も巻き込まれただけの存在。
まぁ、俺だけで魔神を倒すなんてそんな戯言はいう価値もないな。
この状況割とガチで詰んでるんだが、まぁ戻れないなら絶望しながら楽しもうや。
「いんじゃね?学校いこうや」
それにもうこいつの意思を変えれそうにもない。まぁ、これも仕方のない事だろう。脚本くらいすぐにでも変えられるさ、乗っかってやるしかねぇよなぁ。
オーケーオーケー。巻き込まれたなりにしっかり専属ヒーラーって役割をやらしてもらうさ
シニカルに楽しんでいこうぜ相棒。
「はぁ、わかった。とりあえず案内くらいしてもらわんとなぁ、百聞は一見に如かず。だろ」
「 ほ、本当ですかっ!?」
「まぁ、みてみようじゃねーか、なぁタクト」
「おう、俺たちにできる事をやる。それだけさ」
「言っとくが今更かっこつけようがお前の株はもう一生上がらんと思うぞ」
「んなバカなっ!俺がなにをしたってんだ!」
虫ケラレベルで死に晒してました。
4回くらい。
「なら、ワシにも色々と用意すべき事があるしの、3日後で構わんかの?」
「はいっ、学園長様ありがとうございますっ!」
「そいや、その学園ってどこにあんの?」
「そうじゃなぁ。外が見えれば指差すくらいはしたんじゃが生憎ここは王城の最奥、召喚の間じゃからの。まぁかといって外に出て見えるわけでもないんじゃがなぁ。王都と名の付くだけあってなかなかに広い。ここから馬車に乗って市街地をぬけ、大体2時間ほどかの、そこにあるんじゃて」
「はー、確かに言われりゃ俺らこっちきてからまだお天道様の下にでちゃいねーや」
俺的にはお前がぬけぬけと外に出てうっかり死ぬくらいならもうここで一生駄弁っててくれた方が助かるんだがなぁ
「まぁ、それも気になるがそれよりさ美少女(笑)さんよ、まだ王様見てねーんだけど」
「な、なんだか馬鹿にされてる気がするのですが…その、今日は父上の容態がよくないものでして、母上が付いておられるのですが…とても儀に参加できる状態ではなかったので安静にしておられます……」
「はぁ?なんだそれお前馬鹿かよ」
「ちょケンジそりゃ言い過ぎだって」
「いえ、私たちの私情ですから。申し訳ございません、ケンジ様。」
「謝罪とかいいからもうお前王様んとこいけよなんで親の体調悪りぃのに娘のお前が何時までも駄弁ってんだよ、馬鹿なの?死ぬの?」
「で、ですがっ!」
「いいからさっさと行けって、衛兵さんかなんかに任せたらいいだろ?ほら行けや馬鹿」
「…ありがとうございますっ!」
立場とかそんなのまじでどーでもいいだろ
…本当は俺がいいいい加減一人になりたかっただけなんだがなぁ。
「お主なかなかいいやつじゃな、気持ち悪いぞ」
「おめほんと腹立つなクソジジイっ!」
「ごめんケンジ、俺も気持ち悪いと思ったわ」
「あはっ処すー♩」
おやすみなさい。



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