普通を極めた私が美少女に転生ってそれなんて生き地獄!?

ノベルバユーザー210019

03 君はもう既にノット普通です。

私が意識を得てから、はや3ヶ月も歳月が流れようです。0歳6カ月と言うことですねー。子供の成長ってものは早いものでして、色々とできる事が増えてきました。いや私が転生者だからとかじゃなくて、普通に成長したんです。普通ですから、ぶっとばしますよ?
「うー、あいあーっ!」
先ずは座れるようになりました、ええ普通ですね。それとなく言葉の理解もできるようになってきたんです。そして、その結果やっと自分の名前も分かったんです。
───リリィちゃんだそうです。
あら、普通で可愛らしいじゃないっ!?ねぇ、普通だよねぇー!うんうん、アルティミシアとかフランボワーズみたいな、もうなにその普通じゃない名前っ!脳汁噴き出しそう。みたいなのじゃなくて本当に良かったですよっ!これは普通ですねっ!うん、素晴らしい!
「うぇあっ!」
でもね、普通普通って私普通に普通なんで普通と言ってますけど、そんな普通な私もこの3ヶ月で色々考えました。というか考えるくらいしかする事がなかったので延々と思いに耽てたんですよ。
「おーおーぅ」
その結果ですね、この人生でもまた最後を迎えた時に同じようにジャッジがショートした場合、私はもう一回人生繰り返すのかなぁって。※ゆりかごの時点で墓場のお話をしてます。
──それって最高にアン普通じゃないですか?
『造語さえも作り出すのか……』※監視中
「ぅやぁああ……」
それだけは阻止しなきゃだめなんじゃないかなぁって。だからこの人生は少しだけ、本当にほんの……ほんのちょびっと。さ、先っちょだけでも!
そう、普通じゃない人生を送らなければならないのかなぁ……なんて考えて相変わらず咽び泣いてます。
でもでも、私は普通が大好きなんですよ?普通が普通な故に普通であるからして普通な事が普通なんですよぉーっ! 「おあああーっ!」
そんな私がノット普通、アン普通を目指すなんてこれもう万死に値するわけですよ、表出ろって話です。人間失格ならぬ普通失格ですよ!ぱぁらっ!
今、私この気持ちを体で表すべくしてブンブン両手振り回してますから。腕くらい動かせるんですからね、その気になればパンチだって出ますよーっ?ふんぬっ!ふんぬーっ!
「あら、今日は一段と機嫌がいいのねー♪」
「うあーっ!」
寧ろ機嫌は宜しくない方ですけどね。
「やーっ!もーっ可愛いすぎーっ♪」
「お”ぁああ」
ぐぇっ!?ママさん、加減というものを覚えてくれませんか、すごく苦しいです。そのノット普通で乱暴なお胸をどうにかしてくださいっ!……話が逸れましたけど、要するにですよ?今世ではちょっとは自重しなければならないのかなって冷静に、断腸の思いで私はこれを決意しなければあの駄神があらゆる手を使って再転生とかしかねない訳ですよ、また生き地獄を味わう羽目になるとそういう事です。
『勝手に苦しんでるだけじゃん』※監視中
「ぁぃっ」
生き地獄はママさん達にも悪いので訂正します。生き晒しにしときます。
でもほんのちょっとですから、a little ノット普通ですから!は、意味がわからない?ぶっとばしますよ?
ですが、生まれてこの方普通でしか生きていないのがアルティメット普通こと、このわたくし。普通じゃないって状態がわからないんです。 
なので、私は普通っぽいけどよく考えると普通じゃない。このなんとも言えぬ際どいラインを見極めていこうと決めました。早速です、その際どいラインを見極める一環として一つ考え出したんです、ほめろ。
《一日中延々と寝たふりをする。》※本人は至って真剣です。
はい、ここ拍手するとこですよっ!さんっはいっ!
──拍手しろやぁぁぁぁぁぁっ!!※独り言。
赤子が寝たふりをする、どうですか普通じゃないですよねっ!これほんと鳥肌立つかと思いましたよ、拒絶反応で。
まぁ、結果から言いますとタチの悪い病気にかかったと思われて家族一同大パニック、ママさんショックで寝込むという大惨事でした。
こんなはずじゃなかったのっ!あのね、そうじゃなかったの!
『あらー、この子ったら赤ちゃんなのに寝たふりしてるわぁー♪ もしかしてa little普通じゃない子なのかしらぁ♪』ってキャッハっウフフっ!ってリアクションを求めていたんですもんっ!普通にっ!
「うゃあああーっ!」
まさか、ぴぎゃぁぁぁぁあっ!?なんて言ってママさんが倒れるだなんてそんな、あほな。いや私が悪いんですけど幾らなんでもちょっと普通じゃないというか、えぇ………
でも普通に赤ちゃんは寝たふりなんて出来ないなぁって後で気づいたんだけどもう、取り返しつかなかったよねぇ!私、普通じゃないしっ!
──待って、無理。
「ぅぇぃっ」
落ち着いて、私は普通よ?そう、うん普通。
──ああ、普通じゃないって難しい。
「──!(なんだか物凄く神妙な顔をしているわね!)」
ーーーーー
私が5歳の頃に、一つ上のアリシアの付き人になってからもう既に14年。子供の頃から一緒だったせいか、主従関係というよりも姉妹のようなものに近いのかな?
アリシアは少し変わり者で昔から従者としての振る舞いを嫌って、私には普段通りでいて欲しいとせがまれたのが一番大きい要因なんだろうなぁ。──さすがに、公の場では主従関係を見せるべきだとそこだけは私が断固譲らなかったけれど。
彼女が17の時に長男のアルス君を身篭った時、付き人として、そして親友として非常に嬉しかったし、自分の事のように喜んでしまったことを今でもよく覚えている。
そして今回、私が第一子を出産してアリシアの第二子が私の子と同い年で2ヶ月しか変わらなかった事はとても嬉しくて、乳母としても彼女の役に立てる事が出来るのは最上の喜びだと思った。
「エミリーっ!リリィのことちょっと頼めるー?」
「それが私のお仕事っていっつも言ってるでしょー!私のことなんだと思ってるのよっ」
「んー、妹かなぁ♪」
いつもこんな感じだから、本当に呆れてしまう。アリシアが私の主人で良かったと思うのは本心だけど。
「はぁーあ……ママ全然わかってないよねぇ?リリィちゃーん♪」
「おぉああああっー♪(八つ裂き覚悟でチョッキィプルィイイイッ!!)」
「ねーっ♪」
リリィちゃんは、私の息子のレティスやアルス君の時と比べても明らかに手のかからない子で、話しかけるとまるで理解しているかのような返事をしてくれる。
今日はいい天気ねーって言うと嬉しそうにするし、雨だねぇって言うとちょっと悲しそうにしたり。
レティスなんか、ずっとぼぉっとしてふにゃふにゃしてるだけなのにねぇ……
あとたまに凄く活発な動きを見せる時があるの。腕をめいいっぱい伸ばしてぶんぶん振り回してたのはちょっと笑っちゃったけど。腕もげそう。
すごく頭がいい子なのかしら?それとも女の子はやっぱり赤ちゃんの時からおませさん?
そんなわけないかっ♪
アリシアも言ってたし、そろそろ二人を合わせても良さそうかなぁ。仲良く遊んでくれるかなぁ。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品