28. 選ばれたのは…

あぁ…きつい…。

「お、おい。大丈夫か？」

「だいぶ疲れてますね」

机に突っ伏してたら、和也とアレンが心配して見にきてくれた。

「ケビン先生との特訓がきついのばっかりでね…
『まずお前自身を鍛えろ！』なんて言われて今は筋トレばかりだよ。あまり運動してないのが祟って全身筋肉痛だよ…いたたた」

登校することすらままならない。

「…ケビン先生が、ですか」

「ん？なんかあるの？」

「いえ、生徒に人気はありますが熱心に指導しているところはめったに見ないことで有名なんですよ」

なんでよりにもよって僕に目をつけたんだろう…

ガラガラッ！

「おーい！大変だぞ！」

教室に勢いよく入ってきたガイルが早々に大声で話しかけてきた。

「どうしたんだ？」

とクラスメイトが聞くと

「近日中に、『聖章祭』があるらしいぞ！」

「聖章祭？」

聞き慣れない単語だけど…。

「おう！聖章学園で行われる…いわゆる大会みたいなもんだ。今までいろんな分野で競っているんだが、今回はシンプルにトーナメント形式でバトルらしい！」

「マジかよー」

「早くない？」

途端にザワザワしだした。確かに僕達は授業をまだ少ししか受けていないからね。

「まさかだけど上級生と当たったりしないよね…？」

「そのことなんだが…クラスで代表3人は学年混合のトーナメントに出ないといけないんだと」

「進んで挑むやつはいないんじゃないのか？」

和也の言葉にみんなが頷く。

「だろうと思って、各クラスで先生がすでに3人推薦してるとかでよっぽどの理由がない限り確定事項で決定らしいぞ！」

「だ、誰になったんだ？」

「俺もよく知らない。おそらく今日伝えると思うぞ」

そして、モモ先生が入ってくる。

「おはようございます。…なんか雰囲気が暗いわね。聖章祭について聞いたのかしら？」

「せんせー、代表は誰になったんですか？」

「あら、もうそこまで知ってるのね。とりあえずみんな出場はするけど、今から各代表の一覧表を配るので確認してね」

魔法でクラス全員に資料が行き渡る。
代表として書いてあったのは…

「な、なんで…」

「はーい、落ち着いて。今見たとおりこのクラスの代表は水上君、ガイル君、そして加藤君ね。はい、拍手！」

選ばれなかった人達は、良かった〜と呟きながら拍手を送る。
僕と和也は落ち込み、ガイルは「強い奴と戦えんのか！楽しみだな！」と喜んでいた。

ケビン先生が厳しい訓練をさせていたわけがようやくわかった。