腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

59話 これから

「…へ?に、妊娠って…赤ちゃん?」
「…そうよ。」
「ミーシェ!!」
「わっ!」
優はミーシェに抱きつく。
「ユウ…。」
「ミーシェ…もっと喜べよ…!俺らの子供だぞ?」
「そ、そうなんだけど…その…あれ?」
ミーシェの目から涙が落ちる。
「ミーシェ?」
「あ、ううん、違うの。なんだか実感わかないの。そしたらなんでか涙が出ちゃって…。えへへ…。」
「私は部屋に戻っているわね。」
「あ、うん…。ありがと。ベルちゃん。」
「ありがとう…姉さん。」
「いいのよ…。」



部屋を出たベル。
「っ…!姉さーん!!」
ベルはサラの元に駆ける。
「ベル?そんなに慌ててどうしたの?」
「ミーシェが!ミーシェがぁ…!」
「…何かあったの?」
ベルは涙を流す。
「ミーシェが…妊娠してる…!」
「!…ほんとなの?!」
「うん…!」
サラはミーシェの部屋に走る。
「ミーシェ!」
「わっ!お、お姉ちゃん…。」
「あなた…妊娠してるって…!」
「そ、そうみたい…。」
「ミーシェ!!」
サラはミーシェに抱きつく。
「わっ!みんなさっきから抱きつきすぎだよぉ…。」
「おめでとう…!ミーシェ…!それに…」
サラは優の元に近づく。
「ん?」
「ユウも…おめでとう…。」
サラは優も抱きしめる。
「姉貴…。ああ…ありがとう。」
「さーて!そうと決まったらお祝いしなくっちゃ!バトラー。」
「はい、ここに。」
いつの間にか現れるバトラー。
「聞いてたでしょ?今日は宴よ。」
「は、そう言うと思いまして既に中庭に準備を完璧に整えております。」
「「早っ!」」
「さすがバトラーね。行きましょうか。」
「…ちょっと待ってくれ。少し寄りたいところがある。」
優が告げる。
「?…まあいいわ。先に言ってるわね?」
「ああ。」




「…まだちゃんと礼を言っていなかったな…。ありがとう…小宮…松山。」
「…」
「…」
優は小宮と松山に頭を下げる。
「まさか君が僕達に頭を下げるなんてね。」
「…別に…。私たちは私たちの為にやっただけよ…。」
「そう…か。でも…ありがとう。一応…礼を言っておく。」
「ああ…。」
「…どういたしまして。」
「…お前たちはこれから…どうするんだ?」
「…」
「今まで通りだ。」
「小宮…。」
「別に今までと変わらないさ。まあ君がまた僕達を殺しにくるというのなら迎え撃つ。それまでは変わらず騎士団長と副団長の関係だ。」
「…違うでしょ?」
「松山?」
「…藤山くん、私たち…結婚するの。」
「そうか…。俺が言っていいのかわからんが…おめでとう。」
「ああ。」
「…受け取っておくわ。」
「君は?君はこれから…どうするんだ?」
「とりあえずはここにいる。子供のこともあるしな…。」
「そうか…ん?子供?」
「…藤山くん…まさか…」
「ああ…ミーシェ…妊娠したよ。」
「…そ、そう…なんだ…。」
松山は恥ずかしそうに小宮の方を見る。
「…俺はお邪魔みたいだな…。じゃあな。中庭で宴やってるから気が向いたら来てくれ。」
「あ、ああ。」



「…そっか…ミーシェさん…妊娠したんだ…。」
「…そうみたいだな…。」
「っ…り、陸…。」
「どうした?」
「…わ、わた…私たちもその…子供欲しいな〜…。なんて…。」
「由希…。」
「…べ、別にそんな直ぐじゃなくてもいいから!その…あの…。…ダメ…かなぁ?」
松山は上目遣いで小宮を見つめる。
「…はぁ…まだ体力はあるか?」
「…え?」
「大丈夫そうだな…。」
「…きゃっ!」
小宮は松山をお姫様抱っこしてベッドまで運ぶ。
「僕は…直ぐにでも君との子供が欲しいけどな…。」
「…陸…。」




神界
「エーテリア…これから…どうするの?」
「旅にでも出ようか。」
「旅?」
「うん。2人でさ。君を失ってから今まで見ようとも思ってなかったこの世界の…見えない部分を見に行くんだ。そうすれば…僕もこの世界を好きになれるかなと思ってね…。」
「エーテリア…。」
「それにこの神界は…新たな主が治めてくれるさ。」
「そう…だね…。」
「ハーディス…ボクは別に後悔なんてしちゃいないよ。万物神の力を失ったのも、ここに居れなくなるのも。そんな名声よりも僕は君といることを選んだんだ。だから…僕の旅に…ついてきて欲しいんだ。」
「エーテリア…ふふ…もちろん。ついて行くよ。約束したでしょ?私に色んなものを見せてくれるって。」
「ああ。退屈はさせないよ。僕は退屈なことが何より嫌いだからね。」




魔神領
「…姉貴…もう…行くのか?」
宴の途中、サラは宴を抜け出して、城の高台に来ていた。
「ユウ…。そうね。もう行くわ…。神界の玉座をいつまでも空けておく訳には行かないもの…。」
「姉さんには?ミーシェには挨拶したのか?」
「私たちに挨拶なんて必要ないわよ…。どうせいつでも帰って来れるんだもの。」
「そうか…。三姉妹らしいな…。」
「ええ。でも…あなた達の子供が生まれる時にはちゃんと呼んでよ?」
「分かってるさ。」
「この城のことは…ベルに任せようと思ってるわ。」
「それがいいだろうな。」
「さーてっ!ローンはベルに任せて私は高飛びね!」
「刺されるぞ…。」
「ふふ…。」
「サラ様…。」
そこに1人の男が現れる。
「バトラー…。」
「もう…行かれるのですね…。」
「ええ。」
「私もお供しますよ。」
「!…バトラー…。」
「これまで…何年…何百年あなたに仕えてきたとお思いですか?あなたの身の回りのことを1番できるのは私です。」
「…採用!いいわ。着いてきなさい。」
「は!…どこまでも…。」
バトラーはサラの前に跪く。
「…ユウ、ミーシェとベルによろしく言っておいてね。あの子たちには寝ている間に神託を持たせるから。いつでも会える。その事もちゃんと伝えといてよ?」
「分かってるよ。頑張れよ、万物神様?」
「ふ…あなたもね。トイレの神様?」
「っ…うるせえ!」
「ふふふ…それじゃあ…行くわね。」
「…ああ。」
そうして万物神サラは神界へと旅立った。




そして…1年の年月が経った。





人気キャラ投票やってます!
55話のコメント欄によろしくです!

フォローorコメントよろしくお願いします!

「腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • るーるる

    トイレの神様www何か昔そんなような歌が、、、、、

    1
  • かつあん

    小宮様も頑張ってほしいですねw(最近忙しくて見れないんです。すみません!)

    1
  • LLENN_p

    トイレの神様wwwwww

    1
  • HARO

    りくとゆきには頑張ってほしいなぁー

    1
  • 負け犬

    りくとゆきの戦いは、1番凄まじい試合だと期待してます。笑

    3
コメントをもっと見る / 書く