腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

37話 VS武神②

「っ…らぁ!」
「ぬんっ!」
優の拳を捌くアレス。
「いい…いいぞ!ユウ!もっと俺を楽しませろ!」
バキィッ!
「っ…てえなぁ!!」
アレスの拳を受けた優だったが直ぐにやり返す。
「っ…やるな!せあっ!」
アレスは回し蹴りを繰り出す。
「っ…」
優は胸の前で腕をクロスさせ防ぐ。
「いってぇ!」
「まだまだ行くぞ!もっと俺を…楽しませろぉ!!」
「るせえ!俺はとっとと先に進みたいんじゃボケェ!!」
「ふっ!」
アレスの裏拳を受け止め、背負い投げでアレスを投げる。
しかしアレスは着地をして優に足払いをかける。
「っと!あぶねっ!」
優は後ろに飛び退き事なきを得た。
「くそ…」
(まずいな…とっとと終わらせねえと…。)
「何を油断している?」
「!、しまっ…」
ドンッ!
優の胸にアレスの発勁はっけいが炸裂する。
「かっ…はあっ!」
ドサ…
優はそのまま膝から崩れる。
「どうした?とっとと起きないとテンカウントに間に合わんぞ。」
「う…るせえ…!」
優はなんとか起き上がる。
「雑念だらけだな…。今のお前では楽しめそうにない。」
「!」
一瞬で距離を詰めたアレスの拳が腹に決まる。
「がっ…っ…あ…くそ…がぁ!」
優は腕を振るう。
「甘いわ!」
パシッ!
「!」
「沈め!」
ガッ!
アレスの回し蹴りが優のこめかみにヒットした。
優は力なくその場に崩れる。
「ふん…テンカウントは必要なさそうだな…。」
アレスは優に背を向け歩き出す。
「少しは楽しめたぞ…ユウ。」




「…待て…よ…。」


「!…お前…」
「あ〜…いてぇいてぇ…」
優は頭を抑え起き上がる。
「立ち上がったところでお前に何が出来る?」
「ふーっ…!」
優は長く息を吐く。
そして…
バキッ!
自分の頬を殴った。
「!…お前…何を…」
「悪いな…少し余計なことを考えたよ…。」
「…」
「だがここからはもう何も考えずにお前との喧嘩を楽しもうと思う。」
そう言って優はシャツを脱ぎ上裸になる。
「ふ…面白い…。…行くぞ!」
「来いっ…!」
アレスは高速で優に詰め寄る。
「ふっ!」
思い切り顔に向かって拳を振る。
「っ…と!」
優は首を横に動かし避ける。
「お返しだ…!」
そしてそのまま体をひねり、アレスのこめかみに回し蹴りを入れた。
「っ…ぐぅっ!…はははっ!そう来なくてはつまらん!もっとだ!もっとだ打ってこい!」
「らぁっ!」
「ぬんっ!」
2人の拳が交差し、互いの頬に炸裂する。
「がっ…」
「ぬう…!」
2人は互いによろける。
「はぁ…やるな…!ユウ…!」
「アレス…こそ…!まだまだ行くぜぇ!!」
「面白い!!」
バキィッ!
ドゴッ…!
互いの拳が混じり合い、口が切れ血しぶきが飛ぶ。
「はぁ…はぁ…てめぇ…いい加減…沈んどけって…。」
「ははっ…まだまだ…ここから…だろう?」
「そう…かよっ!」
優は飛び上がり、顔目がけて蹴りを繰り出す。
「ぬんっ!」
アレスは足を受け止める。
「まだ…まだぁ!!」
優はそのままの勢いでアレスの首を足で挟む。
「三角絞めか!それは通じん!」
「ちげえよ!」
「なに?!」
そのまま優は首を挟んだままアレスの後ろに回り込む。
「まさか…!」
優はそのままバク転するように仰け反る。
「うおおおおぉ!!」
アレスの体は浮き上がり、そのまま180度反転し、頭を地面に打ち付ける。
「はぁ!はぁ!ちったあ効いたかよ!」
「ぐっ…っははっ…面…白い…。」
流血した頭を抑え起き上がるアレス。
「やるな…。俺も出来ればもっと戦いたいところだが…とっととミーシェを助けてやらねえといけねえんだ…。悪いが終わらせてもらうぞ。」
「ふんっ…面白い!来いぃ!!」
優は高速でアレスに迫る。
アレスはそれに反応して優に左ストレートを繰り出す。
「ふ…やっぱりそう来るよな…。」
「なに?!」
バキィッ!
優の頬に左ストレートが炸裂する。
そして…
それと一瞬遅れて、アレスの右頬にこれまでにない衝撃が炸裂した。
(何が…起こっ…て…!)
ドサ…
アレスはそのまま地面に伏した。
「っ…くそ…」
優はその場によろけるがなんとか持ちこたえる。
「お前…何を…」
「…クロスカウンター。某ボクシング漫画の主人公が得意だったりする技だ。捨て身の技だから賭けだったんだが…上手くいってよかった…。それで?テンカウントは?」
「ふ…いらん…。俺の負けだ…。起き上がれそうにない。」
「ふぅ!そうか…!」
優は糸が切れたようにその場に腰を下ろす。
「どうした?トドメを刺さないのか?」
「少し休憩だよ…。それに…お前を殺すつもりは無い。」
「なんだと?」
「お前との喧嘩…楽しかった。またやりたい。こんな理由じゃだめか?」
「ふ…ふははははっ!最高だな…ユウ。エト様が興味を持つわけだ!そういうことなら俺もまだお前とはやり足りん。有難く命拾いするとしよう。」
「ああ…そうしてくれ。」
「さて…」
アレスはその場に起き上がる。
「おいおい…もう回復したのかよ…。」
「俺は回復速度は早いんだ。」
「…またやる気か?」
「まさか…俺の負けだと言ったろう?」
アレスは優に近づく。
「そして…」
アレスは優の右腕を高々と上にあげる。
「…お前の勝ちだ…ユウ。」
「ふ…ありがとよ。」
「…俺に勝ったんだ…。エト様ぐらいサクッと倒してこい。」
「敵に塩送っていいのかよ?」
「うるせえ。とっとと行け。」
「どわっ…」
そのまま優を追い出すように蹴飛ばした。
「はいはい…またやろうな。アレス。」
「ああ。次は勝つ。」
優とアレスは固い握手をした。




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コメント

  • 熊猫

    男の友情かっけぇー

    0
  • 本大好き{デアラ}

    あついゆうじょう?

    1
  • けん玉マスター

    ミント/ミネタさん
    コメントありがとうございます。
    お待たせしました!

    0
  • M!Nt0

    待ってましたー

    1
  • けん玉マスター

    かつあんさん
    ノベルバユーザー313460さん
    コメントありがとうございます。
    クロスカウンターかっこいいですよね。
    毎日更新できればいいなと思っているのでお楽しみに!

    0
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