腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

33話 青の過去

神界
「藤山…」
「ああ、姉さんは死なないよ。さ、行くぞ。」
「…ああ。」
優と陸は世界樹目指して歩き出した。


魔神領
「…魔物…多いですね…。」
「そうね…。まさかSランクのブラックタイガーがこんなにも群れを作っていたなんて…。周辺の村が被害に遭ってないのが凄いくらいだわ…。」
ベルと由希は木陰に隠れて伺う。
「…あなた…精霊魔法を使えるなら聖域で外界への干渉を断ち切ってくれる?」
「…え?」
「いいから。考えがあるの。」
「…分かりました。…サンクチュアリ。」
由希は自分の周りに聖域を貼る。
「あなたは魔法でお願いね。…大罪魔法、ヨハネの黙示録。」
「!…大罪魔法…」
「あなたは聖域のおかげで動けるでしょ?」
「…え、ええ。」
「じゃ、行くわよ。」
ベルはナイフを取り出し、一体一体首を切り裂いていく。
「何してるの?あなたも早くしてちょうだい。」
「…さすがベルさん…。」
「ふふふ…こっちの方が楽でしょう?…ハリケーンサイズ。」
鎌で竜巻を生み出し、次々と敵を薙ぎ払っていく。
「ふぅ…こんなもんね。」
「…いくら邪神が目覚めたとはいえ…こんなに行動が活発になるものでしょうか?」
「確かにそうね…。ていうか敬語なんて使わなくていいのよ?」
「…いえ、ベルさんにはこっちの方がいいです。」
「そう?まあいいけど…。確かにそうね…いくらなんでも多すぎる…。」
「…」
「とにかく今日は戻るわよ。」
「…はい…。」


「はぁあ…あんな敵…姉さんなら一瞬なんだろうなぁ…。」
「…ふふ…」
「ん?どうしたの?」
「…いや、本当にお姉さんのこと好きなんだなぁって。」
「そりゃそうよ…。姉さんは私の命の恩人だもの。」
「…命の?」
「ええ。少し暗い話になるけど…聞く?」
「…いいんですか?その…あんまりしたい話じゃないでしょう?」
「いいわよ。今は今で幸せだし。姉さんも…ミーシェもいる。もちろんユウもね?」
「…ベルさん…」
「私が生まれたのは魔神領のハーピィの里。」
「…ハ、ハーピィ?ベルさん…ハーピィだったんですか?」
「ええ。羽はないけどね…。私はそこで忌み子として生まれたの…。」
「…」
「それから何年か経って…





60年前…
姉さんが封印される10年前…
私は13歳だった…。
「やだ…!…お願いします…!髪の毛…引っ張らないで…!」
「黙れ化け物!」
「きゃあっ!!」
無造作に私を蹴る里の人。
まるで物のように扱われたわ。
「貴様の親から要らないから奴隷にしてくれと言われた時はいいおもちゃが来たと思ったよ…。壊れてくれるなよ?」
「ひっ…」
「なんじゃその目は?あるじであるわしを舐めとるのか…!」
バキッ…
「かっ…はぁ!ゲホッゲホッ!!」
私は毎日のように吐くまで蹴られたわ。
でもそれも当然…私には…羽がなかったのよ…。
しばらくして…あの男が里の男達を連れてきた。
「さて…今日はさとの男達を連れてきたぞ。丁重にもてなしてやれ。」
「…はぃ…」
そこで私は…乱暴に服を脱がされた…。
「へっ…ガキにしてはいい体してんじゃねえか…。」
私は…そこで必死に男達を満足させるために…違う自分まで作りだして男達をもてなした。私の体を使われないように…。必死で…。私の顔の前に突き出されたものを必死で満足させるために…しごき続けた。毎日毎日来る男達のために…手が腱鞘炎になるまでね。
それでも男達は毎日やってきた。
だから私は口まで使ったの。
それでも…もう限界だった…。
そんな時に私の前に現れたのが…サラ姉さん…。

「私はこの魔族領の主となったサラ…。よろしくね?」
私は小屋からうっすらとしか見ることが出来なかったけど…綺麗な人だった。そして…小さな妹を連れてたわ…。

「今日からこの場所は魔神領の・・・・ハーピィの里になったから。主として挨拶に来たわ。里の長は誰かしら?」
そしてサラ姉さんは私の主の人と話してから…私のところに来た。
「ねえ…この子…奴隷なのよね?」
「は、はい。」
「…聖金貨1000枚…。」
「…は?」
「聖金貨1000枚で買うわ。」
「聖金貨…1000枚?!」
「ええ、里の繁栄にでも使ってちょうだい。」
「私…は…」

それから私は魔神領の城まで連れていかれた。
「あ、あの…私に…何を…」
「まずは自己紹介してくれる?」
「私は…名前…を持ってません…。」
「じゃあ…ベルフェゴールで。略してベルね。かっこいいでしょ?」
「…私は…何をすればいいでしょうか?雑用ですか?それとも…サンドバッグになればいいでしょうか?」
「…よくもこんなになるまでいじめることが出来たわね…。」
「…え?」
姉さんは私を優しく抱きしめてくれた。
でも…
「やめて!」
「ベル…」
「私は…そんな名前じゃない…!あなた…いえ…ご主人様も…私の事…ものとしか思ってないんでしょう?」
「…」
「私なんて…生まれて来なければよかった…もういや…」
「ベル…」
「っ…」
それでも姉さんは私を抱きしめてくれた。今度は…強く。
「あなたに命ずるのは2つ。1つ、私の妹になりなさい。」
「?!…何言って…」
「2つ、私の妹…ミーシェの…姉になりなさい。私があなたに命ずるのはこの2つだけ。よろしくね?」
「っ…そん…なの…」
「ふふ…あなたの髪…綺麗な青ね…。空?いえ…もっと深い青…そうね…あなたの髪はまるで─────」




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昨日出せなかった分。
遅れてすいません。夜もう1話出します。

コメント

  • 本大好き{デアラ}

    いい話

    1
  • かつあん

    吟遊詩人さん
    それ分かりますー。

    いやーベルさん意外と辛い過去でちょっと泣けてきた

    1
  • 吟遊詩人

    これ書籍化したら学校の便器のイラストが表紙で売られるんやろなって考えると胸が熱くなる

    16
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