腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

61話 小宮&松山side 実力と試練

紫色の魔法石でおおわれた肉体。
その体の胸部には緑色に光る核がある。
10メートル以上の巨体がゆっくりと歩き出す。
レジェンド級、オーパーツゴーレムの脅威が陸と由希にゆっくりと迫っていた。


「来るぞ…構えろ…!」
「…ええ!」
オーパーツゴーレムはゆっくりと腕を上げる。
そして…上げた時とは比べ物にならないくらいの速度で腕を振り下ろしてきたのだ。
「「!」」
ドゴーン!!
2人は後ろに飛び退く。
「っ…なんて速さだ。」
「…それにこの威力…!」
「…仕掛けるぞ。」
「…ええ。」
(様子が変だ…。同じレジェンド級のグランドドラゴンよりも格段に強い…。本当に同じレジェンド級なのか…?)
「…陸!来るわ!」
「っ…!」
オーパーツゴーレムの胸部にある核が光り輝く。
そしてその核から一筋のレーザーが放たれた。
「…っ…サンクチュアリ…!」
2人の前に巨大な光の壁が出来、レーザーを後ろに受け流した。
「助かった…。今のが精霊魔法か…。」
「…ふふ…まあね。」
「さて…僕も見せるか。行くぞ…レイ。」
―――いつでも。
「由希、援護頼むぞ…。」
「…ええ。後ろは任せて。…エレメントスピリット!」
精霊魔法の基本魔法であり、色々な属性を合わせ持つ玉を放つ魔法だ。
「…陸!今よ!」
「…ああ…。行くぞ…。ダークフォース。」
陸はレイに闇属性魔法を付与する。
危機を察知してか、オーパーツゴーレムは腕を振り上げた。
「…行くぞ…。」
そして振り上げた腕は陸目掛けて振り下ろされる。
ドゴーン!!
「…陸…!」


「…!」
由希が目にしたのは切り落とされたオーパーツゴーレムの腕だった。
「ゴゴゴ…」
オーパーツゴーレムは低い唸り声のようなものをあげる。
「扱いが難しいな…首まで落としたつもりだったが…。」
「…すごい…。」
「由希、引き続き援護頼むぞ。」
「…え、ええ!…スピリットフォース!」
精霊魔法の付与であり、陸に精霊の加護を与え、ステータスを倍にする。
「おお…なかなか反則的な魔法だな…。だが助かった。」
オーパーツゴーレムの腕が再生する。
「ちっ…再生するのか…。ライトニングボルテックス!」
光属性魔法をオーパーツゴーレムの核目掛けて放つ。
しかし核にたどり着く前に核の前に出来た障壁に阻まれてしまった。
「まあさすがに簡単には行かないか…。」
「…私が注意を引く!その間に陸は壁を壊して!」
「分かった。」
由希は2体の精霊を放つ。
「…斬…!」
そう言うと2体の精霊は大きな刃に変わり、オーパーツゴーレムの腕を切り落とした。
しかし直ぐに再生されてしまう。
「…っ…陸、こいつそんなに固くないけど再生速度が信じられないくらい速い。」
「…ああ…そうだな…。」
(障壁がある限り核を壊すのは簡単じゃなさそうだな…。どうする…?)
―――主、私の剣の能力を使う時が来た。
「!…そうだな…。」
陸は剣を掲げる。
すると陸の体が7つに増える。
これがレイの能力、分身だ。
単純なまやかしではなく、どれもレイの魔力から作られた実体である。
「ライトニングフォース。」
7人の陸は全員が剣に光を纏わせた。
「…行くぞ…。」
7人はオーパーツゴーレムの周りを囲む様に散開する。
オーパーツゴーレムはそれに対応するように構える。
「…どこを見てるのかしら?」
「!」
由希の精霊魔法がオーパーツゴーレムの右足を切り落とした。
「ゴゴ…」
バランスを崩したオーパーツゴーレムはその場によろける。
しかし直ぐに再生したことによりなんとかその場に踏みとどまった。
だがオーパーツゴーレムにとって致命的な隙であった。
7人の陸がオーパーツゴーレムの腕をかわすように懐に潜り込む。
「ゴゴゴ…」
オーパーツゴーレムは陸の分身を腕で蹴散らしていく。
そして気づく。全ての分身を蹴散らしていたことに。
「…こっちだ…!」
「!」
背中から障壁に剣を入れる。
「…降神斬!」
光属性魔法の斬撃は障壁にヒビを入れた。
「ちっ…これだけやってヒビだけか…。」
「…思っていたより障壁が厄介ね。」
「関係ないさ…殴って殴って壊すだけだ…。」
「…ふふ…分かったわ…。次は私が行こうかな。」
由希は剣を取り出す。
「ふ…分かった。援護しよう。由希、目を瞑れよ?」
「…ええ…。」
「ホーリーフラッシュ。」
陸は剣を掲げて光属性魔法を放つ。
オーパーツゴーレムは光で由希を見失う。
「由希!今だ!」
「…ええ!ソードサンクチュアリ!」
由希の周りに8本の光の剣が現れる。
由希が手を前に下ろすとその剣はいっせいにオーパーツゴーレムを襲う。
「…捉えた!」
剣のうち2本が障壁にぶつかる。
パーン!
障壁は音を立てて割れた。
「!…今だ!」
「…ええ!」
「ホーリーソード!」
陸が素早い身のこなしでオーパーツゴーレムの四肢を切り落とす。
「…陸!離れて!」
「!」
陸はその場から飛び退く。
「…サンクチュアリ!」
切り落とした部分を聖域の中に閉じこめる。
「…エクスプロージョン!」
そして由希の魔法がゴーレムの体を吹き飛ばした。
「やったか…?」
「…それはフラグよ…。まあさすがに起きないだろうけど…。」
「由希、それもフラグだろう?」
ゴゴゴ…
「「!」」
「まさか…嘘だろ?由希がフラグ立てるから…。」
「…陸もでしょ!」
「核だ。核が残ってる。」
すると緑色の核は赤色に輝き始めた。
「ちょっとまずいんじゃないか。」
「…はは…。暴走…的な?」
「さあ?」
するとオーパーツゴーレムは辺りの岩を取り込み始めた。
「!、まずい!」
「…サンクチュアリ!」
岩を防ぐために聖域をはる。
「…ワレハ、サイゴノシレンナリ。ナンジラノウツワミセテミヨ。」
「ふ…一筋縄では行かなそうだな。」
「…そうね…!」




コミカライズコンテスト、無事上位20位に入る事が出来ました!応援してくださった皆さん本当にありがとうございました。

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コメント

  • ノベルバユーザー170875

    おめでとうございます

    1
  • かつあん

    なかなかいい戦いですね〜。
    これからの展開に期待!

    1
  • 虹ウサギ

    おめでとうございます!

    1
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