腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが
53話 小宮&松山side 試練の真実
「ハクビ様!」
由希とハクビが話している時、1匹のホーリーウルフが入ってきた。
「何事ですか?」
「そ、それが…ディアブロスウルフの群れが里の前に…!」
「!…由希…。」
「…行きましょう?全て解決するわ。」
「ですが…!」
「…大丈夫よ。言ったでしょ?私の勘は外れない。」
「…信じますよ?由希…。」
「…ええ。でも信じる相手が違うわ。」
「え?」
「…あなたは…コクビを信じなさい。」
「?…それはどう言う…。」
「…あまりコクビを怒らないであげて?あの子はまだ…子供なのよ。」
「?…分かりました。では行きましょう。」
ハクビは他のホーリーウルフを引き連れ、里の入り口にたどり着いた。
「よお?…ハクビ…。」
「コクビ…何の用ですか?また私たちの里にちょっかいだしに来たのですか?」
「…」
「あ、兄貴?」
黙るコクビを心配し、部下のディアブロスウルフが伺う。
「…っ…」
コクビは由希の方を見る。
~由希の念話に近いジェスチャー~
────決めたことでしょ?今更ビビってどうするのよ。あなたはこのままの関係でいいの?
(くっ…だよな…あいつの言う通りだ…。)
「ハクビ…。」
「なんですか?私は争いは避けたいところですが…。」
「あ、あのな…。」
「はい。」
「…飯…一緒に食わねえか?」
「…は?」
…は?
ここにいるウルフ一同は思わず口を揃える。
「…馬鹿。」
「じゃ、じゃなかった!今のは…その…冗談だ!」
「え?冗談だったんですか?」
「え?」
「い、いえ…な、何も無いです!そ、それで?何か言いたいことがあるんでしょう?なんですか?」
「それはだな…。」
「なんですか?」
「えっとだなぁ…。」
「もう…はっきり言ってください…。」
ハクビはコクビに近付く。
「ハ、ハクビ様!それ以上は…!」
「大丈夫ですよ…。コクビに戦闘の意思は無いようです。それで?何の話ですか?コクビ。」
「…だ、だから俺は…お前に…。」
「私に?」
「お前にだな…その…。」
「もう…なんなんですか…?言いたいことがあるならはっきりと言ってください!」
ハクビはさらにコクビに近付く。
既にありえないくらいくっついている。
その瞬間から回るコクビ。
「お、お前に…け、決闘を申し込む!」
「え?」
「…はあ…。」
由希がため息をつく。
(…ダメだこりゃ…。)
コクビside
光の里の前。
その前で向き合う2匹のウルフ。
コクビとハクビである。
(クソが!なんで俺がハクビと決闘することになってんだよ…!言い出したの俺だけど!)
「ちっ…。」
「なんですか…?その舌打ちは。」
「な、なんでもねえよ!」
(ちくしょう…つくづく自分が嫌になるぜ…。)
ハクビside
(決闘?穏便に終わるはずじゃなかったんですか?由希…。)
ハクビは由希の方に目をやる。
由希は心底呆れた表情でコクビを見ていた。
(由希…何を考えているんですか?それにコクビも…この決闘にはなんの意味もないのに…。)
「コクビ…この決闘をする意味があるんですか?」
「…」
「聞いてますか?コクビ?」
コクビside
(…落ち着け…言うんだ…言うって決めたんだ…。)
「…クビ…コクビ…コクビ!」
「あ…え?」
「なんなんですか…?私と決闘する気はあるんですか?」
「あ…えと…あ、あるに決まってんだろ?!お前らホーリーウルフなんてな…八つ裂きにしてやるぜ!」
(違う!こんなことを言いたいんじゃねえ!)
「そうですか…。」
ハクビside
(コクビ…そうですか…もう昔のような関係には戻れないんですね…!だったら私も…覚悟を決めなきゃ…!)
「コクビ…。決闘をする前に言いたいことがあります。」
「な、なんだよ?」
「私たちがまだ小さい時…ラショウ様に育てられていた時…楽しかったです。私を守ってくれて…ありがとう。」
「…ハ、ハクビ…何言って…。」
「だって…!もう昔の頃のようには戻れないのでしょう…!私は…あの頃に…戻りたいよ…コクちゃん…!」
ハクビの目から一筋の涙が落ちる。
ハクビの姿が変わる。白髪の少し幼げのある巫女装束を着た女性の姿だ。
「覚えてる…?よくこの姿で…人里に一緒に降りて…ラショウ様に怒られてたよね…。」
「ハク…ビ…。」
「本当に…楽しかったんだよ…?コクちゃん…!」
「ハクビ…。」
コクビside
(俺は…最低だ。)
ハクビの涙を見た後コクビはずっとそう考えていた。
(俺がハクビの気を引くためにやってたことは…こんなにハクビを追い詰めていたんだ。)
コクビもハクビと同様に姿を変える。
黒髪の目つきの悪い男だ。
「ハクビ…。俺が今日ここに来たのは…全て片付けるためだ。」
「コク…ちゃん?」
「ラショウ様が居なくなってから俺達は…互いに里を任されて離れ離れになっちまった。」
「…うん。」
「俺が今までお前らにちょっかい出してたのは…お前の気を引くためだったんだよ…。」
「…え?」
その瞬間コクビの顔が真っ赤になる。
「お、俺は…!お前のことが…好きで…こんなことしてたんだ!お前に…振り向いてもらうために…!」
「コクちゃん…。」
「馬鹿なのは分かってる!取り返しのつかない事をしたのもわかってる!それでも俺は…!お前のことが…好きだ…!」
ス…
「!」
ハクビはコクビに抱きついていた。
「分かってたよ…?コクちゃんが本気で私たちの里を攻撃してないこと。だって…みんな軽傷だったもん…。きっとコクちゃんが指示したんだって…。何か私たちに伝えたいことがあったんだって。」
「ハク…ビ…。」
「待ってた…。待ってたよ…?その言葉…!」
「ハクビ…!」
コクビはハクビを抱き返す。
「これからは…ずっと一緒にいよ?コクちゃん…!」
「ハクビ…!」
「…良かったわね。二人とも。」
由希はその様子を見て、静かに里をあとにした。
「…いるんでしょ?師匠。」
由希は誰もいない空間に話しかける。
すると煙と同時にラショウが現れた。
「よく分かったな。」
「…何となくね…。それで?今回の件だけど…どういうつもり?」
「何がだ?」
「…しらばっくれないで。コクビの気持ち…あなたは気づいてた。気づいてた上で…私を向かわせた。」
「…流石だな。そうだ。確かに私は分かっていたよ。」
「…これが試練なの?」
「試練?まさか。これは由希に対する癒しのようなものだ。」
「…癒し?」
「パートナーの男に会いたくなったじゃろう?」
口調がリラックスモードに戻る。
「…は?」
「特に意味は無いんじゃよ。試練なんて元々わしが適当に考えてこれから鍛える予定だったブラッドウルフの修行を由希に押し付けただけじゃ。」
「…はあ?」
「それでも由希は結果を残した。それで十分なんじゃよ。後は自分で強くなってみい。由希には既にその力があるはずじゃ。なんせわしの適当試練で神級魔法を手に入れたんじゃからのぉ…。お主が初めてじゃよ。」
「…師匠…。」
「後は好きにやるんじゃ。わしに便っているようでは本当に強くはなれん。自分の力で強くなるんじゃ。」
「…自分の力で…。」
「わしからのヒント、並びに試練はここまで。では健闘を祈っておるぞ?」
「…あっ!ちょ…!」
ラショウは煙と共に姿を消した。
「…たく…あの人は…!」
「由希!こんな所にいましたか…!」
「急にいなくなるから心配したぞ?」
人の姿をしたハクビとコクビが由希の元にやってきた。
「…ハクビ…コクビ…。…その様子だと上手くいったようね。」
2人は顔を赤くする。
「…決めました。これからは…里を合併します。」
「…ハクビ。」
「手を取り合うって決めたんだ。俺達が中心になって。」
「…あなた立ちが決めたことなら私にはなんの文句も無いわ。仲良く…頑張ってね。」
「やはりもう行ってしまうんですね…。」
「…ええ、私にはやるべき事…待っている人がいるからね。」
「…分かりました。遠くからですが…無事を祈ってます。」
「頑張れよ…。」
「…ええ。2人も…仲良くね?」
「由希…。」
ハクビは由希に抱きつく。
「…短い間ですが由希と友達になれてよかった…!」
「…何言ってるのよ…これからも友達でしょう?」
「由希…!本当に…ありがとう!」
「…また機会があったらここに来るわ。それまでには2人の子オオカミをモフらせてね?」
「な、何言ってやがる?!」
「もうっ…。由希は…。」
「…ふふ…頑張るのよ?それじゃあね。」
「由希…本当にありがとう。」
「ありがとよ!またいつでも来てくれ。」
「…ええ。」
無事ラショウの試練?を乗り越えた由希。
新たな力を得た由希は再び歩き出す。
一度違えた道が…再び交わろうとしていた。
遅くなりすんませーん!安定で間に合わないw
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コメント
ノベルバユーザー500403
いや、待つなし笑
待ってたせいでお互いの仲間が無駄に傷付いてんのに笑
けん玉マスター
ノベルバユーザー315964さん
コメントありがとうございます。
それなら名前をチクビに変えるしかないですねw
ノベルバユーザー315964
ハクビコクビハクビコクビってたくさんでてたから最後の最後でチクビと読んでしまった
こんな僕をしかってくださいチクビ様
ノベルバユーザー30469
なんかこういうのを見るとイライラするのは自分だけでしょうか?好きなら自分の気持ちをもじもじせずに伝えればいいのに
(#゜Д゜)y-~~イライラ
shoka
便って→頼ってだとおもいます