腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

39話 小宮&松山side 決意と試練

次の寝床で考え込む由希。
「どうかしましたか?」
丁寧な言葉で聞いてきたのは由希が命名したポチだ。
「…あなた達…師匠…いえ、ラショウさんから何か聞いてる?」
「何か…とは?」
「…正直な所これが試練だとは思えないのよね。」
「確かに何も無いですからね…。」
「…うーん…このまま何も無くていいのかな…。」
「考えていても仕方ありません。お腹空きました。なにか取りに行きませんか?」
「…そう…ね。」
由希は考えるのを辞めることにした。


「…ハナタレ、そっちに行きましたよ!」
「ズビ…分かってるっす!」
「…いいわよみんな!いい連携じゃない!」
「しゃ、喋れるようになったことで連携が取りやすくなりましたね…!」
「そうね!由希と話せて嬉しい!」
「ありがとう、ティアラ、シンデレラ。」
由希とブラッドウルフの群れは共闘してブラックラットの討伐に来ていた。
「ちい…ちょこまかと…」
「落ち着いてください、ドン。」
「分かってる…ちっ…こうなったら…。」
「ちょっと…ドン?」
「由希!耳塞いで?」
「…は?」
「いいから!」
由希は言われた通り耳を塞いだ。
ワオーン!!
ドンは物凄い遠吠えを上げた。
ビリビリ…
周りの壁に振動が伝わり、揺らす。
「…くっ…すごい遠吠えね…。」
「ドンは私たちのリーダーだからね…。」
数匹のブラックラットが壁から落ちてくる。
みんな気絶していた。
「めしめし!」
「ちょっとビック!がっつかないでください!」
「…ねぼすけ、あなたは起きなさい。」
「ふあ…?」
「ほら!由希も食べよう?」
「…あ、ありがとう…。」
ネズミ…。
ネズミか…。
ハムスターなどのネズミなら可愛くて食べられなかっただろう。
しかし目の前にいるのは50センチ程ある巨大なネズミ。
逆に気味悪くて食べられない。
「…焼いていい?」
「火があるんですか?」
「…ファイアーフォース。」
由希は剣に炎を纏わせた。
「す、凄いです!流石は由希さん…!」
「…ふふっ、ありがとう。焼いた方が美味しいのよ?」
「そ、そうなんですか?」
「シンデレラも食べてみる?」
「は、はい…!」
「…ちょっと待っててね…?」
由希は炎をまとった剣をブラックラットの肉に近づけた。

「…そろそろかしら?…うん、大丈夫ね。はい、どうぞ。」
「い、いただきます…!」
シンデレラはその肉にかぶりついた。
「!…す、すごいです…!なんか汁が溢れてきて…ジュワーんて!」
「お、俺にもくれよ!」
ビックが飛びついてきた。
「…ちゃんとみんなにあげるわよ…。シンデレラ、そういうのはジューシーって言うのよ?」
「ジューシー…ですか?」
「…そう。今でてきた汁は肉汁って言ってね。旨みが詰まってるの。」
「すごいです!どんどん焼きましょう!」
「…そうね。」


「ぐー…ぐー…」
「すやぁ…」
ブラッドウルフの群れは眠りについていた。
「…あなた達…寝すぎよ…。」
由希はブラッドウルフの毛並みを撫でた。
「…由希…ちょっといいか?」
「ドン?どうしたの?」
「少し話があるんだ。」
「…いいわよ、話して。」
「お前のおかげで…俺達は餌を獲るのも、他の群れと戦う時も楽になった。」
「…そんなこと…あなた達の実力だわ。」
「いいや、確実にお前のおかげだ。感謝してる。」
「…ドン…。」
「だからお願いだ。…俺に代わって…この群れのリーダーをやってくれないか?」
「…!、何言ってるの…?私は人間よ?ブラッドウルフじゃないのよ?そんなこと…出来るわけないじゃない。」
「分かってる。だが…俺はもう…長くない。」
「…!、ビック…。」
「ラショウ様に助けられた命なんだ。」
「…師匠が?」
「そうだな、少し俺たちについて話そう。…ブラッドウルフってのは本来は親と子で構成される群れなんだ。でも俺達は違う。全員群れからはぐれたはぐれ者。はぐれて死にそうになっていたところをラショウ様に拾われた。」
「…そんなことが…」
「ラショウ様は偉大なお方だ。俺達はしばらくラショウ様の元で育てられた。…この顔の傷…昔他のブラッドウルフと戦って付けられたものだ。…この傷は脳に届いてる。」
「…!」
「持ってあと半年だ。だから…俺のあとを…継いでくれないか?」
「…ごめん…。」
「…由希…。」
「…私には…やらなきゃいけない事がある。明日でここに来て1週間になるわ。あなた達とは…お別れなの。」
「…そうか…悪かったな…。」
「…こちらこそ…ごめんなさい…。」
「ゆ、由希さん…?今の話は…本当?」
「…シンデレラ…。」
話を聞いていたらしいシンデレラが近づいてきた。
「…本当よ。私は明日にはこの群れを去る。」
「…そん…な…!」
「…黙っててごめんなさい。ラショウさんとはそういう約束なの。」
「由希さん…!」
シンデレラが由希に飛びついた。
「…ごめんなさい。」
「謝るな、由希。」
「…ドン…。」
「俺たちの勝手な都合で話をして悪かったな。」
「…そんなこと…!」
「由希…さん?また…会えるよね…?」
「…必ず…会いに来るわ。…だから…この群れは…あなたがまとめてちょうだい…。」
「え?」
「由希…?何を言ってるんだ?」
「…シンデレラ…あなたがリーダーをやるのよ。」
「え?!由希さん!何言ってるの?!」
「…あなたなら出来る。」
「で、でも…!」
「僕は賛成ですよ。」
「…ポチ。」
「私もよ。」
「ズビズビ…僕もシンデレラなら文句はないっす。」
「ふわーあ…眠いなぁ…。」
「その代わり飯はちゃんと食わせてくれよ?」
「みんな…。」
全員起きて話に加わった。
「…由希…短い間だったけど…楽しかったです。」
「…まだ…明日よ。」
「由希ぃ…!」
「…今から泣いて…どうするのよ…!」
「由希だって…!」
「…わ、私はないてなんか…!」
ザッ…
「!…しっ!…足音がします…。」
「…シンデレラ…?」
ザッ…ザッ…
「…!、あなた達は…!」
由希達の目の前に現れたのは大きな黒い狼だった。
「ちっ…ナイトメアウルフ…。」
「ドン…。」
ナイトメアウルフは討伐ランクSS+。
最後の最後に由希の前に試練が訪れた。



1話目。
あと2話頑張るぞい。
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コメント

  • 12AI11

    途中ドンと松山さんが話してるところ松山さんがドンのことビックって呼んでませんか?

    2
  • かつあん

    頑張れ!シンデレラ!

    2
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