腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

36話 小宮&松山side 喋った?!

狼神の試練四日目。
「…おはよう、みんな。」
「ガウゥ…。」
「…ふふふ。」
出会って4日か…。
ブラッドウルフ達は身体を由希に寄せあっている。
懐いてきたなぁ…。
「…ふふ…。」
ブラッドウルフに抱きつく。
「…気持ちいなぁ…。」
「クゥン…。」
「ワン。」
「…さ、ご飯取りに行きましょ?あの芋虫美味しかったし。」
「ワン!」
「ガウゥ!」


「…今日のゲテモノはムカデね…。」
由希の目の前には体長50センチ程のムカデが頭をもがれ息絶えている。
「…いただきます…。」
あ、今足が動いた…。
「…硬い…。酸っぱい…。…美味い…。」
「クゥン!」
「ワンワン!」
「…なんかもう…慣れてきちゃった自分が…怖い…。」


そのあとは洞窟にある水場に来ていた。
「…ここの水…美味しい…。」
「クゥン…。」
実はここの水は伝説とまで言われているほど貴重な水なのだ。この水にはあらゆる傷、病気に効く作用があると言われている。
「…本当に…美味しい…。」
「ガウガウ…。」
ブラッドウルフの群れも美味しそうに水を飲んでいる。
「…ふふふ。今日はここを拠点にしましょう?」
「ワン!」
「…え?喋ってる言葉…分かるの?」
「…ん…」
「…え?」
「分かるよ!」
「…しゃ、喋った?!」


「…改めて…私は松山由希。」
「僕らは名前がないんです…。」
「…そうよね。…で?なんで私は急にあなた達の声が聞こえるようになったの?」
「それは…ラショウ様が言っていました。信頼度が上がれば由希にも僕らの喋っていることが分かるようになる。って!きっとそのおかげです!」
「…なるほど…。名前…付けてあげようか?」
「いいんですか!?」
「…うん!任せて!」


「…あなたは眠そうだから…ねぼすけ。」
「わぁ〜…ありがとうございます〜…。」
「…あなたは鼻水が垂れてるから…ハナタレ?」
「ズビッ…嬉しいっす…。」
「…あなたは鳴き声が犬だからポチね。」
さっき説明してくれたブラッドウルフだ。
「ありがとうございます!」
「…あなたは…よく食べて大きいから…ビッグね。」
「へへへ…。」
「…あなたは…女の子だったのね…。耳の形が綺麗だから…ティアラね。」
「嬉しい…!ありがとう!由希!」
「…あなたは…目に傷があってヤクザのリーダーみたいだから…ドン。」
「いいな…それ…。ありがとよ…。」
「あなたも女の子ね…。あなたは…。」
「私は…その…」
「…控え目ね…。」
「えと…」
「あなたは…うーん…控えめで仕事熱心だから…シンデレラ。」
「あ、ありがとうございます…。」
こうして7匹全員の名前が決まったのだった。


「…まさかあなた達の喋れる日が来るとは思わなかったわ。」
「僕らはずっと聞こえてましたけどね。」
「…でもこれでコミュニケーションが取れるわね!」
「オイラ…お腹空いた…。」
「ビッグ…さっき食べたばっかりじゃないですか…。」
「えへへ…」
「わ、私何か取ってきましょうか…?」
「…いいのよ、シンデレラ。休んでなさい。ほら、干し肉ならあるわ。」
「い、いいんすか?」
「…どうぞ。」
「いただきまっす!」
「…鼻たれてるわよ。」
「ズビズビ!…いっけね。」
「…疲れたし…そろそろ私…寝るわね…。」
「あ、おやすみなさい!僕らも寝ます!」
「…そう…。じゃ、みんな一緒に寝ましょ…。」
7匹+1人は寄り添いあい、眠りについた。


「由希は順調に親睦を深めているようじゃのぉ…。まさか四日目で話せるようになるとはのぉ…。」
「口調がおじさんに戻ってますよ。ラショウ様。」
「まあ良いじゃないか。」
ラショウは人間の姿で座り、酒を仰いでいた。
その隣には真っ白な狼。
「本当にこのまま上手くいくでしょうか?」
「それは由希次第じゃのぉ。まあこの試練を超えればもう1人前じゃ。」
「…私たちの役に立ってくれるでしょうか?」
「あやつは可愛いものが大好きじゃ。きっとお主たちの役に立ってくれると思うぞ?」
「だといいんですが…。ラショウ様、あなたの力でも…どうにもならないのですか?」
「…わしは仮にも狼の神。同じ狼を傷つけることはしたくないんじゃよ。」
「そうですか…。そうですよね…。」
「心配するなハクビよ。由希ならきっとお主たちを救ってくれる。待とうでは無いか。力を付けた由希を。あやつがこれから経験することは…必ずやあやつを強くする。そしたらきっと…お主の里も救われる。」
「分かりました。今は待つことにします。でも…もし仮に由希が試練を乗り越えられなかったら…。」
「心配せずとも大丈夫じゃよ。由希はわしが見込んだ一番弟子じゃ。由希必ずや強くなる。ハクビよ。置いてかれぬようにしろよ?」
「分かりました…。」
「じゃが…万が一もある。その時は…わしも腹をくくらなければいかんのぉ。…たく、あの馬鹿黒犬共が…。少しほおっておけばいい気になりおって…。」
「ラショウ様…。」
「任せておけ。由希がダメなら…わしが出る。」



間に合いませんでした!すいません!
それから新作は案がまとまっておらず…もう少しお待ちください!
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コメント

  • ノベルバユーザー180988

    これが男女差別か

    2
  • かつあん

    まさか喋れるようになるなんて!
    それにしても、ラショウさんの言う黒犬たって...?

    2
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