腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

26話 小宮&松山side 狼神の試練

ピチョン…
「…ん?」
私は頬に当たった水滴で目を覚ました。
「…ここは…ん?」
彼女、松山由希は目覚めたあと、足に違和感を覚える。。
「…!…血が止まってる…。あなたが…治してくれたの?」
由希は必死に傷口を舐めている、ブラッドウルフに声をかけた。
「クゥン…クゥン…」
「…もう大丈夫よ…でも…どうやって?」
「クゥン…」
「…とにかくありがとう。」
「ガウッ…」
「…陸は…無事かなぁ…。」
「ガウゥ…」
由希はブラッドウルフの隣に座り、毛並みを撫でる。
「…あなた…可愛いわね…。んふ…気持ちいい…!」
「ガーウ…」
「…ここどこだろう?私たち…どこまで落ちたんだろうね?」
由希は上を見上げながら呟いた。
「…この足じゃ歩けないしなぁ…。あなたはどうするの?群れに戻らなくていいの?」
「クゥン…」
「…まああなたもこんなに下に落ちてきた訳だしね…。」
由希はブラッドウルフにもたれ掛かる。
「…どうしよう…。」
「ガウッ!」
「…どうしたの?」
ザッザッ…
「…!、足音?!」
「グルルル…」
目の前に現れたのは一体の1つ目の巨人だった。
「…サイクロプス…!」
「ゲアァ!!」
「…あなたは逃げなさい。」
「グルルル…!」
「…っ!…足が…!、待ちなさい!!」
ブラッドウルフはサイクロプスに突進して行った。
「…ダメ…!」
サイクロプスはニタリと笑い、棍棒を振り下ろした。
ガシッ!
「…っ…」
由希は目を瞑っている。
「やれやれ…。見ていられんな。」
「…!、あなたは…誰?」
目の前にブラッドウルフの姿はなく、代わりに、赤髪長髪の若い男がたっていた。


「さて…」
男はサイクロプスに視線を移す。
「魔物風情が…いい気になりおって…。下がれ…。」
男は眩い光を放った。
「…っ!」
サイクロプスは消えていた。
「大丈夫か?」
「…あなたは…」
「ふう…久しぶりにこの姿に戻った…。四つん這いだったからなんだか変な感じじゃのぉ…。」
「…何者なの?さっきのオオカミくんは?」
「あの姿は私の変身した姿…。仮の姿じゃよ。」
「…」
「私が誰か…じゃったの。私は神様じゃよ。」
「…は?」
「神と言っても、狼の神。フェンリルと言うのをやらせてもらっておる。たまにああしてブラッドウルフの姿で群れに混じっていたが…変なことはするもんじゃないな。」
「…この傷もあなたが?」
「ああ、助けられた礼じゃ。…まあ私がそなたを助けてもよかったが…助けるために距離を取って元の姿に戻ろうとしたのをそなたが邪魔したからな。」
「…」
「なんじゃ?ほうけおって。」
「…ありがとう。助かったわ。」
「よいよい。私はそなたが気に入った。」
「…え?」
「私はそういう敵を助けたりする精神…嫌いではない。むしろ大好きじゃ。食ってやろうと思っていたが…気が変わった。そなたの力になってやろう。さっきの男の元に戻すことも出来るぞ?」
「…」
「どうした?戻らんのか?」
「…あなたは…神様なんでしょ?」
「そう言っておるじゃろ?」
「…なら…私を強くして。」
「なんじゃと?」
「…道は違えた。なら…お互い強くなるしかないの。」
「…そうか…。それがそなたの思いか…。」
「…ええ…!」
「クハハハハハッ…!よい!よいぞ!ますます気に入った!」
「…どうなの?」
「いいだろう。」
「…!」
フェンリルの雰囲気、口調が変わった。
「私がそなたを強くしてやる。だが…私の試練は…厳しいぞ?」
狼の神の強大な…野性の殺気。
「…っ!」
「後悔するなよ?やめるなら今のうちだ…。聞かせてみろ。そなたの答えを。引くか?私の試練…受けるか?」
「…私は…!こんな所で止まってられない!陸は…絶対強くなって私を迎えに来る。その時に私が何も変わっていなかったなんて…絶対ダメ…!いいよ、オオカミくん。私を…強くして!その試練…受けて立つわ!!」
「ふ…いいだろう。私の名はラショウ。まあ好きに呼べ。」
「…分かったわ。オオカミくん?」
「変わっていないではないか。」
「…好きに呼んでいいんでしょ?」
「そうだが…」
「…気に食わないなら…ラショウ…ラショ…ラシ…」
「おい、どうした?」
「…決めた、私はあなたのこと…師匠と呼ばせてもらう。」
「そうか…まあそれで良い。では早速試練を与えよう。」
「…ええ。」
ピィィー…
ラショウは口笛を吹いた。
「…何を…」
「まあ待っていろ。」
するとブラッドウルフの群れがやってきた。
「…どういうこと?」
「最初の試練だ。1週間こいつらと暮らせ。」
「…は?」
「言った通りの意味だ。今から1週間。そなたはこいつらと一緒に暮らすのだ。」
「…それが…試練?」
「そうだ。だがこんな試練は基本的なものに過ぎない。これをこなせないようでは私の試練にはついていけんぞ?」
「…分かったわ。…やる。」
「そうか…。ではまた1週間後に会おう。」
「…はい…師匠…!」
ラショウはその場から煙と共に消えた。
「…さて…。」
「グルルル!」
ラショウがいなくなったことで、ブラッドウルフはいつもの血気盛んな感じに戻った。
「…この試練…一筋縄では行かなそうね…。」

作戦なんて無い。でもやる。生き延びるために…私はこの最果ての洞窟を…生き延びる…!

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皆さん…元気ですか?
僕は結構元気です…それだけです。

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コメント

  • 勝長

    それにしてもあの狼が神様だったなんて!松山さん大丈夫かな?強くなって帰ってきてほしいな!でも小宮様の方が強くなってほすぃぃぃぃ!

    1
  • 水廼女神

    小宮様しばらく出てこないかなぁ

    1
  • 自称クズ

    松山四つん這い生活か〜

    4
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