腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

62話 ただいま

ミーシェside
「ミーシャ!ユウさんが!」
「え?ユウがどうかしたの?!」
「帰ってきたよー!」
「…ほんと?」
「う、嘘つかないわよ!」
「ま、ユウなら大丈夫だと思ってたけど?まあ良かった的な?」
「ふふーん、そんなこと言って物思いにふけって星を眺めてたくせにぃ。」
「そ、それは!」
「ため息数えてたけどユウさんが出てから2日で174回だったよ?」
「う、うるさい!私はただ…」
「ただ?」
「…さ、寂しかっただけだし…」
「ふふふ…良かったね…無事で…疲れてるだろうからちゃんとご飯作ってあげなよ?」
「…うん。」



ユウside
「出てきたぞ!」
「勇者様ぁ!」
「ありがとう!勇者様!」
そんな歓声を受け、城の中から5人の勇者と優が出てきた。
天城、橘、松山はみんな目が覚めており、自分の足で歩いていた。
「勇者様、こちらに。」
ギルドマスター案内された6人はギルドの内部へと入っていった。


「お疲れ様でした、勇者様、ユウさん。」
「いえ、大丈夫です。」
「早速ですが報告を…」
「はい、中にはマリクの他に3人の刺客がいました。」
「全員倒したのですか?」
「はい、俺たちの手で倒しました。」
おい、お前は寝てただけだろ。…何さも自分が倒したように言ってんだよ。
「とにかく心配はありません。」
「そうですか…!ありがとうございます!…本当に…」
「そんな…顔を上げてください。」
おい。
「それで、あの、国王様と王女様が取り残されていたはずなのですが…」
「国王?王女?」
天城が何を言ってるのか分からないと言ったように聞き返す。
「その2人なら死んだ。」
「ユウさん…それは本当ですか?」
「ああ、マリクにおもちゃにされてたよ。」
「…そう…ですか…」
「悪いな、助けてやれなくて。」
「いえ、ありがとうございます。このことは私が報告しておきます。皆様はゆっくりお休みください。」
「はい。」


「さーて。ミーシェ〜。」
「ユウ!おかえり〜!」
「肩いてぇ…治してくれ〜。」
「怪我したの?!大丈夫?!」
「痛〜い…。」
「待っててね。エンジェルヒール。」
「ほわぁ…安らぐー…」
「ふふふふ…ご飯にする?お風呂にする?」
「ミーシェにする…」
「え?」
「だって2日も会ってないんだぞ?江ノ島と一緒だったから火傷も痛かったし…癒しをくれぇ…ミーシェ〜…」
(あ、ユウがデレ期だぁ…ふふふ、可愛い…)
「仕方ない、私の膝を貸してあげよう。おいで?」
「う〜ん…」
「ゆっくりおやすみ…」
「うん…」


勇者side
「聖女様に聞いたら地下水脈も大丈夫だったみたいだし、これもみんな藤山くんとミーシャさんのおかげだね!」
「そうだな、今回は藤山がいなきゃ何も出来なかった。」
「そんなことない!あいつなんかいなくても俺たちだけで…」
「…落ち着いて天城くん。」
「松山さん…」
「…藤山くんがいなかったら私も小宮くんも天城くんも橘くんも…全員死んでた。」
「そうだよ。最初にあった人もユウくんが圧勝してた。」
「…だがあいつは裏切り者だ。」
「そうだ!あんなやつの手を借りなくても俺達はあの程度の敵倒せてた!」
「ボスに挑む前に倒された君が言うのかい?」
「!…なんだとてめぇ!」
「…2人ともやめて。」
「そうだよ。今は休むことだけ考えよ?」
「…そうね…」
「そうだ由希ちゃん!優くんのとこ行こ?」
「…そうね。助けてもらったお礼も言いたいし。」
2人はユウとミーシャの部屋に向かって歩いていった。


「…藤山くん、怪我してたけど大丈夫かしら?」
「…うん。ミーシャさんに治してもらうって言ってたけど…」
「…なら大丈夫よ。きっと元気になってるわ。」
「そうだね。」


コンコン
「優くーん?入るよ?」
「…お邪魔します。」
「しーっ…」
「ミーシャさん?」
「寝てるから静かにね?」
「!…優くん…」
「…そうですか…」
「なにか用事があった?」
「いえ、その、遊びに来ただけで…」
「疲れてるみたいで…今寝てるの。」
優は気持ちよさそうにミーシャの膝枕で寝ていた。
「スー…スー…ミーシ…」
「んふふ…私ほここにいるよ〜ユウ?」
ミーシャは優の髪を優しく撫でる。
「っ…」
「んん…むにゃ…ミー…シェ…」
「!…あはは…ユウ〜!そろそろ起きよっか〜!」
ミーシャは何故か優の口と鼻を強引に塞いだ。
「むぐっ!むぐぅ!」
「ミ、ミーシャさん?!何やってるんですか?!」
「こ、これはその…」
「ミーファ…はなひてくれるか?」
「あ!ごめんねユウ?」
「ふあーあ…で?なんの集まりだこりゃ?」
「…ちょっと遊びに来たんだけど。」
「そうか…ミーシャ、腹減った。」
「ふふふ…ご飯作ってくるね。」
「ありがとう。」
ミーシャは厨房に歩いていった。
「なんか話があるのか?」
「いや、その…」
「…ミーシャさんとは随分と仲がいいのね。」
「由希ちゃん!」
「ん?…ああ、まああれからずっと一緒にいるしな。」
「ずっとって?」
「ずっとはずっとだ。」
「ミーシャさんが言ってたけど、その、寝る時は…」
「一緒だな。」
「!…そう…なん…だ…」
「なんでも俺の感触が姉さんに似てるらしくてな。おかげで毎晩毎晩抱き枕状態だ。」
「…」
「…っ…待ってくれ、ちょっと薬飲んでくる…」
「…その火傷は治さないの?」
「まあな。」
優は薬を取り出し口に入れた。
「…ミーシャさん、料理上手なんでしょ?」
「そうだな、プロ級だな。」
「…食べてみたいなぁ?」
「だ、ダメだ!ミーシャのご飯は俺専用だ!」
「…1口くらいいいじゃない。」
「だーめ。」
「2人とも何を喧嘩してるの?」
「おお、ミーシャ。待ってたぞ。」
「ふふふ…ステーキですよー。どうぞっ!」
「いただきますっ!」
「…藤山くーん、ひーとーくーちー!」
「ダメだ。俺のだ。」
「私二人の分も作ろうか?」
「い、いいんですか?」
「うん!」
「じゃ、じゃあお願いします…」
ミーシャはもう一度厨房に歩いていった。
「…藤山くん、今後のことだけど…。」
「うん。」
「…ピルークに一度戻るわ。」
「…ああ。」
「その、大丈夫?戻っても。」
「…心配ない。」
「そう…。」
「…着いたらまず王女に会ってもらうわ。」
「そうだな。わかった。そう言えばミーシャも連れてくからな?」
「!」
「…ミーシャさんも?」
「逆に連れてかないと思ったか?ミーシャが居ないと俺は生きていけないからな。」
「なんで…?ミーシャさんは関係ないじゃん…」
「…菜々?」
「お前達はそうかもしれないが、俺には重大な問題だ。」
「でも!王女が許してくれるかわかんないし…」
「それなら俺は今まで通り2人でのんびり旅を続けるだけだ。」
「…っ!」
「…多分ミーシャさんも連れて行って大丈夫よ。」
「そうか。」
「…」
そのあとはご飯をみんなで食べ、2人は部屋に戻って行った。


江ノ島side
その夜。
やっぱり私には耐えられない…優くんの火傷を消す。
だってそうじゃない!なんで残してあるのよ!ミーシャさんだって治せるのに…これ以上苦しむ優くんは見てられない!
江ノ島はこっそりと優の部屋へと向かった。

カチャ…パタン…
優くんは寝てる…今のうちに…
「何しに来たの?」
「!…ミーシャさん…」
「何の用?」
「…」
「…まあ大体予想はつくよ…ユウの火傷を消しに来たんでしょ?」
「!…それは…」
「悪いけど帰ってくれる?」
「…なんで…」
「ん?」
「なんで?!なんで消さないの?!あなたなら簡単に消せるでしょ?!それをなんで…私がやったのは知ってる!」
「知ってるんだ…」
「私は忘れたいのに…あんな過去…」
「…たい?」
「何を…」
「…忘れたい?あなたが?」
「そうよ!あの時のことは全部忘れて…そうしたらきっと…きっと優くんはなっちゃんって呼んでくれる…」
「…はぁ…ユウの火傷をあなたが消したら…罪から逃げるってことなのよ?」
「!…あの時の私はどうかしてたの!それにあなたに何がわかるのよ!あの時は…ああするしかなかったの!」
「…そう。それで罪から逃げるために火傷を消しに来たんだぁ?」
「…あなたには関係ない…どいてください。」
「あなたにユウの傷を消す資格はないよ。」
「!…どいて!」
「たとえユウの火傷が消えてもユウの気持ちは変わらないよ…」
「優くんの気持ち?そんなの私達と一緒に戻りたいと思ってるに決まってるじゃない!?あなたなんかには分からないわ!」
「…あなたは…本当にそう思ってるの?」
「…なんの話し?」
「まあいいや…取り敢えず帰って?ユウが起きちゃうから。」
「ええ、戻るわ。優くんの火傷を消してから…」
優の元へ向かった江ノ島は途中で結界魔法により遮られてしまう。
「魔法を解いて!あなたには関係の無いことなの!私は…私は…」
「確かに私はその場にいなかったからわかんない。でも今あなたがやっていることは間違ってる。」
「っ!…ファイアーボール!」
「!…正気?」
「私は何としても火傷を消す!」
「…あなたはそういう人間なのね…」
ミーシャは懐から石を取り出し江ノ島にかざした。
「!…優…くん…」
江ノ島はその場に気絶した。
「危険な子…でも殺さないであげる。ユウに悪いからね…」

次の日、ピルークへ旅立つ日がやってきた。


――――――――――――――――――――――――――――
2話目です!
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コメント

  • キャベツ太郎

    239382 エーミール沸いてて草

    0
  • ヒカッチ

    江ノ島馬鹿みたい傷治す=許してくれると思っている?

    1
  • 早く続きが見たいです、お願いします。

    江ノ島sideが江ノ島sineに見えた(笑)

    1
  • ノベルバユーザー313751

    裏切り者共が裏切られた主人公に裏切り者だぞとはこれいかに(笑)

    3
  • モンキー『』

    ,江ノ島にはどんな方法で復讐するんだろう?

    5
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