《異世界魔法図書館へようこそ!》
12…同級生
「すごく広いなー!」
「大広間もすごかったけど、これは…」
驚きを口々にする僕らをよそに、レイは淡々と説明を始めた。
「ここは、前も言った通りに君たちが魔法を学ぶ場だ。この図書館には、世界で発生した魔法の全てが保管してある。自分のスキル向上に努めてもらいたい。今日は、ここで好きに本をあさってみて構わない。どんなものなのか、体験していってほしい。」
「ねえ、レイちゃん」
さっき話していたヒロが、レイに問う。
「ずっと考えてたんだけど、俺たちにこんなことさせて、いったい何が目的なの?それを聞かせてくれないと、いまいち乗り切れないというかさ。」
全員の目がレイの顔を見た。
「そうだな…」
しばらく考えるそぶりを見せると、レイが真面目な顔つきになって言った。
「君ら、7月1日の日曜日、体育祭があるだろう?」
みんなが、キョトンとした顔をしている。
たしかに、僕らの学校は、今年からは1学期に体育祭がある。
もとは夏休み明けくらいに開催していたらしいが、去年、体調不良で搬送される生徒が多数出てからは、暑さが危惧され1学期開催に変更されたという。
友達と早めにうちとけよう、との趣旨もあると聞いたが。
「体育祭が、どうかしたの?」
レイがつづけた。
「その体育祭で、去年、君らの先輩が襲撃を受けた」
その場が静まり返った。
「私…それ知ってるかも」
水見さんが話し出したので、みんなビクッとして振り返った。
「奈良井ありさちゃんだよね。」
「よく知っているな」
レイが優しい目をして、水見さんを見た。
この子でも、こんな顔をするものなのか。
レイが言うには、
その奈良井ありさという女の子は僕たちと同じような境遇にあった1つ上の1年生で、体育祭の日に同類の襲撃を受けたらしい。
学校や警察側の発表では、失踪扱いになっているとのことだ。
水見さんが、隣にいた僕にしか聞こえないくらいの声でつぶやいた。
「そっか…」
奈良井さんは、体育祭中に襲われたわけではなく、おそらくその帰りであった可能性が高いという。
そこで、ひとつ引っかかったので、聞いてみた。
「土日は、ここへは来れないの?」
「来れる。それどころか、土日祝日はここへ自由に自分の意思で行き来することが出来る。明日くらいには教えようと思っていた。」
そうなのか。
平日には昼休みにしか来れないのに、土日祝日は自由に行き来できる…
それってほんとに、
「図書館みたいだね。」
中村さんが言った。
そうだ。まるで、学校の図書館だ。
うちの姫川高校では、土日祝日にも図書館を開放している。
それに、平日に長時間図書館に入り浸るのは、やはり昼休みくらいのものだろう。
「まあ、そうだな。だから、そういった日も活用して、体育祭までに自分の身は自分で守れるようにしてほしい。今年も、襲撃があるともわからない。」
襲撃。
その言葉は、僕らにズシンとのしかかった。
「その襲撃をしたひとって、レイの言う『やつら』ってのと関係があるの?」
今村さんが何気なく聞くと、レイがぐっと黙り込んでしまった。
「奈良井は…同級生に、殺された。彼女を殺した人間たちこそが、私の言う『やつら』だ。」
同級生に…
…殺された?
「大広間もすごかったけど、これは…」
驚きを口々にする僕らをよそに、レイは淡々と説明を始めた。
「ここは、前も言った通りに君たちが魔法を学ぶ場だ。この図書館には、世界で発生した魔法の全てが保管してある。自分のスキル向上に努めてもらいたい。今日は、ここで好きに本をあさってみて構わない。どんなものなのか、体験していってほしい。」
「ねえ、レイちゃん」
さっき話していたヒロが、レイに問う。
「ずっと考えてたんだけど、俺たちにこんなことさせて、いったい何が目的なの?それを聞かせてくれないと、いまいち乗り切れないというかさ。」
全員の目がレイの顔を見た。
「そうだな…」
しばらく考えるそぶりを見せると、レイが真面目な顔つきになって言った。
「君ら、7月1日の日曜日、体育祭があるだろう?」
みんなが、キョトンとした顔をしている。
たしかに、僕らの学校は、今年からは1学期に体育祭がある。
もとは夏休み明けくらいに開催していたらしいが、去年、体調不良で搬送される生徒が多数出てからは、暑さが危惧され1学期開催に変更されたという。
友達と早めにうちとけよう、との趣旨もあると聞いたが。
「体育祭が、どうかしたの?」
レイがつづけた。
「その体育祭で、去年、君らの先輩が襲撃を受けた」
その場が静まり返った。
「私…それ知ってるかも」
水見さんが話し出したので、みんなビクッとして振り返った。
「奈良井ありさちゃんだよね。」
「よく知っているな」
レイが優しい目をして、水見さんを見た。
この子でも、こんな顔をするものなのか。
レイが言うには、
その奈良井ありさという女の子は僕たちと同じような境遇にあった1つ上の1年生で、体育祭の日に同類の襲撃を受けたらしい。
学校や警察側の発表では、失踪扱いになっているとのことだ。
水見さんが、隣にいた僕にしか聞こえないくらいの声でつぶやいた。
「そっか…」
奈良井さんは、体育祭中に襲われたわけではなく、おそらくその帰りであった可能性が高いという。
そこで、ひとつ引っかかったので、聞いてみた。
「土日は、ここへは来れないの?」
「来れる。それどころか、土日祝日はここへ自由に自分の意思で行き来することが出来る。明日くらいには教えようと思っていた。」
そうなのか。
平日には昼休みにしか来れないのに、土日祝日は自由に行き来できる…
それってほんとに、
「図書館みたいだね。」
中村さんが言った。
そうだ。まるで、学校の図書館だ。
うちの姫川高校では、土日祝日にも図書館を開放している。
それに、平日に長時間図書館に入り浸るのは、やはり昼休みくらいのものだろう。
「まあ、そうだな。だから、そういった日も活用して、体育祭までに自分の身は自分で守れるようにしてほしい。今年も、襲撃があるともわからない。」
襲撃。
その言葉は、僕らにズシンとのしかかった。
「その襲撃をしたひとって、レイの言う『やつら』ってのと関係があるの?」
今村さんが何気なく聞くと、レイがぐっと黙り込んでしまった。
「奈良井は…同級生に、殺された。彼女を殺した人間たちこそが、私の言う『やつら』だ。」
同級生に…
…殺された?
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