ヒーロー・メダル
出発
「痛たたた···」
アルスが目覚めてから一日が経過した。
久しぶりに運動した彼の体は全身筋肉痛に襲われている。
詰所の階段を上り下りするだけでも大変だが、そのくらいで音を上げられる程彼は暇ではなかった。
そう、今日はバルカンからの知らせが来るからだ。
良い知らせを期待しながら彼は鉛のように重く、痛む体を動かし、訓練場へと向かう。
昨日はよく眠れたな、今日は少し暑いな、などと、取り留めのないことを考えながら歩いていると、直ぐに訓練場の門が見える。
そこから少しでも早くしばらく眠っていた分の遅れを取り戻すかの如く彼は走り出した。
数分後、体が悲鳴を上げ走り込みを中断し、休憩している時に大きな影が二つ、彼の目の前を覆う。
「よう!元気してるか!?」
と、野太く豪快な声と
「あまり無理しないようにね」
と、柔らかさを感じる声がした。
それらの正体はバルカンとジーナスだった。
「なんとかな。それにしてもバルカン、どうして戦闘用の格好なんかしてるんだ?」
ジーナスはいつも通りの青いローブを身に纏っていたが、バルカンは訓練用に使うには勿体ないほど見事な紅の全身鎧を装備していた。
それを待っていたかのようにバルカンは答える。
「ああ、これか」
バルカンは話を続ける。
「まずは聞いてくれ、昨日の件の事だが一度お前と会ってから考えたいそうだ―」
「本当か!?」
アルスは喜びから思わず声が出てしまう。
「本当だ」
と、バルカンは返す。
「それで直接師匠の家に行くことになったんだが、理由はわからんがとにかく装備を整えて来いとのことだ」
「なるほど」
「日時はこの十日間以内だそうだが、善は急げだ。今から行くぞ」
「わかった。今すぐ準備してくるから待っててくれ」
アルスはすぐに詰所へと駆け出し、自室から自分の装備一式を装着し、また訓練場へと駆けて行く。
訓練用の物より重く、動きにくい鎧を着ている為に全身筋肉痛の彼には大きな負担となるが、その程度では彼の足を止めることはなかった。
そして訓練場にて待つバルカンとジーナスのもとへ到着する。
戻ってきたアルスを見たバルカンは普段よりも大声で呼びかける
「おう!戻ってきたな!じゃあ早速行くか!」
「おう!」
二人は訓練場を後にしようとする。
しかし、そこに待ったがかけられる。
「ちょっと待って!僕も君に用件を伝えに来たんだ!」
「なんだ?」
アルスは足を止めジーナスの方へ向き直る。
「二つほど覚えてほしいことがあってね」
ジーナスは話を続ける
「まず一つ。僕はこれから君の姉さんと魔法検定5級の試験に向かう。そして王立魔法学院で魔法の勉強に集中させる。」
「わかった。それでもう一つはどうなんだ?」
「もう一つは隊長格が離れるということで
この隊の指揮は僕たちが執る」
「そうか。頼むぞ」
「といっても重要な任務が入ってきた時には君たちにも参加してもらうけどね」
「わかった」
「これで報告は終わりだからもう行ってもいいよ」
「おう。じゃあ行ってくる!」
その言葉を最後にアルスとバルカンは訓練場を抜け、目的地へ向かうのであった。
アルスが目覚めてから一日が経過した。
久しぶりに運動した彼の体は全身筋肉痛に襲われている。
詰所の階段を上り下りするだけでも大変だが、そのくらいで音を上げられる程彼は暇ではなかった。
そう、今日はバルカンからの知らせが来るからだ。
良い知らせを期待しながら彼は鉛のように重く、痛む体を動かし、訓練場へと向かう。
昨日はよく眠れたな、今日は少し暑いな、などと、取り留めのないことを考えながら歩いていると、直ぐに訓練場の門が見える。
そこから少しでも早くしばらく眠っていた分の遅れを取り戻すかの如く彼は走り出した。
数分後、体が悲鳴を上げ走り込みを中断し、休憩している時に大きな影が二つ、彼の目の前を覆う。
「よう!元気してるか!?」
と、野太く豪快な声と
「あまり無理しないようにね」
と、柔らかさを感じる声がした。
それらの正体はバルカンとジーナスだった。
「なんとかな。それにしてもバルカン、どうして戦闘用の格好なんかしてるんだ?」
ジーナスはいつも通りの青いローブを身に纏っていたが、バルカンは訓練用に使うには勿体ないほど見事な紅の全身鎧を装備していた。
それを待っていたかのようにバルカンは答える。
「ああ、これか」
バルカンは話を続ける。
「まずは聞いてくれ、昨日の件の事だが一度お前と会ってから考えたいそうだ―」
「本当か!?」
アルスは喜びから思わず声が出てしまう。
「本当だ」
と、バルカンは返す。
「それで直接師匠の家に行くことになったんだが、理由はわからんがとにかく装備を整えて来いとのことだ」
「なるほど」
「日時はこの十日間以内だそうだが、善は急げだ。今から行くぞ」
「わかった。今すぐ準備してくるから待っててくれ」
アルスはすぐに詰所へと駆け出し、自室から自分の装備一式を装着し、また訓練場へと駆けて行く。
訓練用の物より重く、動きにくい鎧を着ている為に全身筋肉痛の彼には大きな負担となるが、その程度では彼の足を止めることはなかった。
そして訓練場にて待つバルカンとジーナスのもとへ到着する。
戻ってきたアルスを見たバルカンは普段よりも大声で呼びかける
「おう!戻ってきたな!じゃあ早速行くか!」
「おう!」
二人は訓練場を後にしようとする。
しかし、そこに待ったがかけられる。
「ちょっと待って!僕も君に用件を伝えに来たんだ!」
「なんだ?」
アルスは足を止めジーナスの方へ向き直る。
「二つほど覚えてほしいことがあってね」
ジーナスは話を続ける
「まず一つ。僕はこれから君の姉さんと魔法検定5級の試験に向かう。そして王立魔法学院で魔法の勉強に集中させる。」
「わかった。それでもう一つはどうなんだ?」
「もう一つは隊長格が離れるということで
この隊の指揮は僕たちが執る」
「そうか。頼むぞ」
「といっても重要な任務が入ってきた時には君たちにも参加してもらうけどね」
「わかった」
「これで報告は終わりだからもう行ってもいいよ」
「おう。じゃあ行ってくる!」
その言葉を最後にアルスとバルカンは訓練場を抜け、目的地へ向かうのであった。
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