ヒーロー・メダル
差
「さぁ第二ラウンドの始まりだ!!」
小柄な人間と巨大な大鬼の王が向き合う。
「行くぞ!」
アルスが駆け出す。
一歩一歩と目標に近づく毎に熱気が体を包み込む。
「どりゃあ!」
ガリアの右腕にめがけて剣を振るう。
その剣は確実に右腕を捉えるる。
しかし、響いたのは肉の切れる音ではなく、まるで鋼の鎧にぶつけるかのように冷たく鋭い音だった。
その瞬間である。
「うお!?」
赤い熱を帯びた物体が飛び出して来た。
まともに受けたらタダじゃ済まないことは火を見るより明らかだ。
その赤い物体がガリアの拳であることに気付いた瞬間には本能が体を突き動かしていた。
「こんなのありかよ!」
「これが人間と大鬼との、埋めることが出来ない差だ!!」
ガリアは勝ち誇った顔をしている。
自分が戦技を発動させたら勝てる相手などいない。
その絶対的な自信が彼の顔に現れているのだ。
それと同時にアルスは何かを悟ったような顔になるが、ガリアはそれを見逃していた。
「チッ、まだまだ!!」
〈一閃〉
棍棒を切断した銀色の刃が再びガリアに牙を剥く。
先程とは違い肉が切れている感触が剣から伝わる。
しかし、それは小さな切り傷程度にしかならず、どう贔屓目に見ても致命傷とは言えない。
「その程度か!」
向こうからも再び赤い拳が飛んでくる。
学習能力の高いアルスは、一度避けた技なら避けられる。
更に避けた瞬間に再び〈一閃〉で追撃する。
しかも、先程切った部分にだ。
「づっ・・・」
「流石に今のは効いただろ?」
「効いたな・・・ほんの少しだがな。」
その言葉に嘘は無い。
余裕を残した表情がそれを証明する。
「では、こちらも行こうか!」
ガリアは地面に拳を叩きつけた。
地面が砕け、大きな岩から小さな礫までが出来上がる。
ガリアは大きな岩を掴み、アルスに投げつける。
自分の上半身程ある岩を掴む握力や投げつける膂力は凄まじい。
「その程度簡単に避けられる!」
右に飛び岩を避ける。
その瞬間、アルスは衝撃的な光景を目にした。
ガリアがパンチの構えをとりながらアルスめがけて飛び出している。
地に足を付けていないアルスは身構えるしか出来なかった。
尋常では無い熱と共に未曾有の衝撃がアルスの体内を走る。
そのままアルスは大きく吹き飛んだ。
「がはっ!」
口から赤い液体が漏れる。
口内では鉄の味が広がり、不快感を覚える。
しばらくして立ち上がっても、目眩がして地面に倒れこむ。
それからしばらく時間が経った。
未だにアルスは立ち上がらない。
「勝負あった―」
「まだ・・・まだ勝負は終わってねぇ!」
気力を振り絞り、アルスは立ち上がる。
「そうか・・・ならばもう一発だ!」
再びガリアは飛びかかる。
あの状態ではまともに避ける事は不可能だろうという驕りを含んだ拳が再びアルスに襲いかかろうとしていた。
しかし、アルスは一切避ける素振りを見せない。
彼はこの戦闘では無用の長物であった盾を持つと、ガリアの顔面に向かって投げつける。
「ぐわあっ!」
投げられた盾はガリアの目に直撃する。
目を開けられなくなったガリアは勢いよく地面に転がる。
「そして―」
アルスは右手に己の意識を集中させる。
その右手は橙色の輝きを放つ。
アルスは正拳突きの構えを取る。
「これが人間と大鬼との、埋めることが出来ない差だ!!」
己の全力を込めた正拳突きがガリアの頭を捉える。
「がああああああ!!!」
ガリアは大きく吹き飛び、正拳突きを受けた場所から数十メートル離れた所まで飛ばされた。
全力の大技を放ったアルスは、眠るように地面に倒れ込むのであった。
小柄な人間と巨大な大鬼の王が向き合う。
「行くぞ!」
アルスが駆け出す。
一歩一歩と目標に近づく毎に熱気が体を包み込む。
「どりゃあ!」
ガリアの右腕にめがけて剣を振るう。
その剣は確実に右腕を捉えるる。
しかし、響いたのは肉の切れる音ではなく、まるで鋼の鎧にぶつけるかのように冷たく鋭い音だった。
その瞬間である。
「うお!?」
赤い熱を帯びた物体が飛び出して来た。
まともに受けたらタダじゃ済まないことは火を見るより明らかだ。
その赤い物体がガリアの拳であることに気付いた瞬間には本能が体を突き動かしていた。
「こんなのありかよ!」
「これが人間と大鬼との、埋めることが出来ない差だ!!」
ガリアは勝ち誇った顔をしている。
自分が戦技を発動させたら勝てる相手などいない。
その絶対的な自信が彼の顔に現れているのだ。
それと同時にアルスは何かを悟ったような顔になるが、ガリアはそれを見逃していた。
「チッ、まだまだ!!」
〈一閃〉
棍棒を切断した銀色の刃が再びガリアに牙を剥く。
先程とは違い肉が切れている感触が剣から伝わる。
しかし、それは小さな切り傷程度にしかならず、どう贔屓目に見ても致命傷とは言えない。
「その程度か!」
向こうからも再び赤い拳が飛んでくる。
学習能力の高いアルスは、一度避けた技なら避けられる。
更に避けた瞬間に再び〈一閃〉で追撃する。
しかも、先程切った部分にだ。
「づっ・・・」
「流石に今のは効いただろ?」
「効いたな・・・ほんの少しだがな。」
その言葉に嘘は無い。
余裕を残した表情がそれを証明する。
「では、こちらも行こうか!」
ガリアは地面に拳を叩きつけた。
地面が砕け、大きな岩から小さな礫までが出来上がる。
ガリアは大きな岩を掴み、アルスに投げつける。
自分の上半身程ある岩を掴む握力や投げつける膂力は凄まじい。
「その程度簡単に避けられる!」
右に飛び岩を避ける。
その瞬間、アルスは衝撃的な光景を目にした。
ガリアがパンチの構えをとりながらアルスめがけて飛び出している。
地に足を付けていないアルスは身構えるしか出来なかった。
尋常では無い熱と共に未曾有の衝撃がアルスの体内を走る。
そのままアルスは大きく吹き飛んだ。
「がはっ!」
口から赤い液体が漏れる。
口内では鉄の味が広がり、不快感を覚える。
しばらくして立ち上がっても、目眩がして地面に倒れこむ。
それからしばらく時間が経った。
未だにアルスは立ち上がらない。
「勝負あった―」
「まだ・・・まだ勝負は終わってねぇ!」
気力を振り絞り、アルスは立ち上がる。
「そうか・・・ならばもう一発だ!」
再びガリアは飛びかかる。
あの状態ではまともに避ける事は不可能だろうという驕りを含んだ拳が再びアルスに襲いかかろうとしていた。
しかし、アルスは一切避ける素振りを見せない。
彼はこの戦闘では無用の長物であった盾を持つと、ガリアの顔面に向かって投げつける。
「ぐわあっ!」
投げられた盾はガリアの目に直撃する。
目を開けられなくなったガリアは勢いよく地面に転がる。
「そして―」
アルスは右手に己の意識を集中させる。
その右手は橙色の輝きを放つ。
アルスは正拳突きの構えを取る。
「これが人間と大鬼との、埋めることが出来ない差だ!!」
己の全力を込めた正拳突きがガリアの頭を捉える。
「がああああああ!!!」
ガリアは大きく吹き飛び、正拳突きを受けた場所から数十メートル離れた所まで飛ばされた。
全力の大技を放ったアルスは、眠るように地面に倒れ込むのであった。
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