ヒーロー・メダル
銀色の攻防
「じゃあ俺が行く!」
弟の勇者は走り出す。
自分よりも五回りは大きい相手を目の前にしても、その足取りは普段と変わらず非常に軽い。
端から見ればただの怖いもの知らずとしか言わざるを得ないが、その顔には確かな自信が満ち溢れていた。
「まずは挨拶だな。
――俺はアルス・エディア。
この隊のリーダーの片割れだ。」
「俺はガリア・キングオーガだ。
見れば分かると思うがこいつらのリーダーだ。
所で、そのもう片方の片割れはどこだ?
一人と言ったが別に二人がかりでもいいんだぞ?」
ガリアは挑発で返す。
アルスも負けじと挑発で返す。
「あいつが出たらお前なんざ一分もしない内にコテンパンだからな。俺一人相手にするぐらいが丁度いいだろ?」
勝手に引き合いに出されたネルラは後で杖の性能をあいつで試そうと考える。
「そうか、ならばそれで構わん!行くぞ!」
ガリアは 右手に持った棍棒を降り下ろす。
「危ねぇ!」
アルスは後ろに飛び退き回避する。
回避した瞬間、地面が棍棒に叩きつけられる。
その地面には小さな窪みが出来た。
(危なかったな・・・これは盾じゃ防げねぇなチクショー)
心の中で毒づいている途中にもまた棍棒がアルスに向かって降り下ろされる。
「危ねーなチクショー!」
アルスはまた飛び退く事で回避する。
その後も降り下ろしては避け、降り下ろしては避けといった形で戦闘は進む。
「こうなったらしょうがねぇ、いきなりだが最終兵器を使うか。」
そう呟いたアルスは一度ガリアとの距離を取る。
そして腰に提げたブロードソードに手をやると、そのままの構えで待つ。
謎の構えを取るアルスを前にしても臆せず飛びかかり、棍棒を降り下ろすその時だった。
〈一閃〉
鞘から抜かれた剣は銀色の煌めきを持ちなから棍棒の柄を捉えた。
ガリアの手に持った棍棒は柄のみを残し 、それ以外は地に転がる。
その光景を目の当たりにしたバルカンの表情は驚愕に支配される。
「嘘・・・だろ・・・」
普段なら大声で言っていたであろう言葉が小さく漏れだす。
驚いたのはバルカンだけでなく、むしろネルラが一番驚いていたと言っても差し支え無いだろう。
彼女は口を手で抑え、目を大きく見開いている。
それも当然だ。
二人が隊に入ってからこの作戦が実行されるまでに十日もしていないのに、今まで知りもしなかった戦技を拙いながらも発動させているからだ。
バイルが初めて戦技を修得するのに半年はかかったのに対し、わずか十日足らずで戦技を修得した彼の学習能力は凄まじい。
「よっしゃー!」
アルスは喜びに打ち震える。
「なかなかやるな。
――ではこちらも本気を出そう!」
「嘘だろ!?」
戦技を発動させて満足していたアルスが現実に引き戻される。
「戦技が人間だけの技では無いことを教えてやろう!〈筋肉強化〉!」
雄叫びと共にガリアの肉体に変化が起こる。
筋肉は先ほどより三割は増し、元々真っ赤だった肌が更に赤みを増す。
体の周りから湯気が出てきたことから相当な熱を持っているだろう。
どんな生物もこの姿を見れば怯えて逃げ出す。
しかし、アルスはこの姿を見ても臆す事は無かった。
そして二人は同時に叫ぶ。
「さぁ第二ラウンドの開始だ!!」
弟の勇者は走り出す。
自分よりも五回りは大きい相手を目の前にしても、その足取りは普段と変わらず非常に軽い。
端から見ればただの怖いもの知らずとしか言わざるを得ないが、その顔には確かな自信が満ち溢れていた。
「まずは挨拶だな。
――俺はアルス・エディア。
この隊のリーダーの片割れだ。」
「俺はガリア・キングオーガだ。
見れば分かると思うがこいつらのリーダーだ。
所で、そのもう片方の片割れはどこだ?
一人と言ったが別に二人がかりでもいいんだぞ?」
ガリアは挑発で返す。
アルスも負けじと挑発で返す。
「あいつが出たらお前なんざ一分もしない内にコテンパンだからな。俺一人相手にするぐらいが丁度いいだろ?」
勝手に引き合いに出されたネルラは後で杖の性能をあいつで試そうと考える。
「そうか、ならばそれで構わん!行くぞ!」
ガリアは 右手に持った棍棒を降り下ろす。
「危ねぇ!」
アルスは後ろに飛び退き回避する。
回避した瞬間、地面が棍棒に叩きつけられる。
その地面には小さな窪みが出来た。
(危なかったな・・・これは盾じゃ防げねぇなチクショー)
心の中で毒づいている途中にもまた棍棒がアルスに向かって降り下ろされる。
「危ねーなチクショー!」
アルスはまた飛び退く事で回避する。
その後も降り下ろしては避け、降り下ろしては避けといった形で戦闘は進む。
「こうなったらしょうがねぇ、いきなりだが最終兵器を使うか。」
そう呟いたアルスは一度ガリアとの距離を取る。
そして腰に提げたブロードソードに手をやると、そのままの構えで待つ。
謎の構えを取るアルスを前にしても臆せず飛びかかり、棍棒を降り下ろすその時だった。
〈一閃〉
鞘から抜かれた剣は銀色の煌めきを持ちなから棍棒の柄を捉えた。
ガリアの手に持った棍棒は柄のみを残し 、それ以外は地に転がる。
その光景を目の当たりにしたバルカンの表情は驚愕に支配される。
「嘘・・・だろ・・・」
普段なら大声で言っていたであろう言葉が小さく漏れだす。
驚いたのはバルカンだけでなく、むしろネルラが一番驚いていたと言っても差し支え無いだろう。
彼女は口を手で抑え、目を大きく見開いている。
それも当然だ。
二人が隊に入ってからこの作戦が実行されるまでに十日もしていないのに、今まで知りもしなかった戦技を拙いながらも発動させているからだ。
バイルが初めて戦技を修得するのに半年はかかったのに対し、わずか十日足らずで戦技を修得した彼の学習能力は凄まじい。
「よっしゃー!」
アルスは喜びに打ち震える。
「なかなかやるな。
――ではこちらも本気を出そう!」
「嘘だろ!?」
戦技を発動させて満足していたアルスが現実に引き戻される。
「戦技が人間だけの技では無いことを教えてやろう!〈筋肉強化〉!」
雄叫びと共にガリアの肉体に変化が起こる。
筋肉は先ほどより三割は増し、元々真っ赤だった肌が更に赤みを増す。
体の周りから湯気が出てきたことから相当な熱を持っているだろう。
どんな生物もこの姿を見れば怯えて逃げ出す。
しかし、アルスはこの姿を見ても臆す事は無かった。
そして二人は同時に叫ぶ。
「さぁ第二ラウンドの開始だ!!」
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