ヒーロー・メダル

佐藤次郎

王からの使い

トワラ王国・北方のヤテル村。
静かで平和な農村だが、そこに兵隊がやってきた。武装に刻まれた紋章からトワラ王国兵士だということが見てとれる。
本来なら村長が出迎えるが、山賊の偽装という可能性があるため、村の者は避難させ、双子の勇者の末裔を同伴させる。
兵隊の先頭にいる一際屈強な男が声をあげた。
「我々はトワラ王国騎士団。私は団長のバイル・アームストロングである。王の勅命にてこの村を訪れた。」
「私はオルド・ヤジー、この村の村長です。王の勅命というと・・・どういったご用件でしょうか。」
「この村にいる勇者の末裔を連れては頂けないか」
「それならこの二人が・・・。」
バイルの顔に衝撃が走る。
「この女性と少年が例の勇者の末裔か・・・。にわかに信じ難いな。」
「子供じゃねーよ!俺とこいつが例の勇者の末裔で双子だよ!」
子供扱いされ、一気に怒りのボルテージが上昇した男が指を隣の女に向ける。
「これは失敬。ところで、名前を聞こうか。」
「俺はアルス・エディアだ。」
「私はネルラ・エディア。これアルスの姉です。」
「そうか。改めて、私はバイル・アームストロング。トワラ王国騎士団長だ。王の勅命によって君達を王都へ連行しに来た。異存ないだろうか。」
「ちなみに王はどういう要件で連れ出したりするんだ?悪い事はしてねーぞ。」
「すまないがそれに関しては私にも不明だ。しかし、君達にしか出来ない ことだと私は思う。」
「わかったよ。王様の命令なら仕方ない。だけど、最低限の準備はさせてくれよな。」
「了承した。では一時間後に出発としよう。それでよろしいか。」
「はい。それでは早速準備の方に入ります。」

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