Umbrella

高嶺

きっかけ

これからずっと生きていれば
辛くて苦しくて、どうしようもない日がくる。
そんなとき、

嘘だっていいから。


「とりあえず笑っとけ」



私は魔法をかけられたのだ。















「じゃあ、明日もう一度来てくれる?」

てっきり断られると思っていたのに、
さくらんぼさんは真っ直ぐに私を見た。

「今日はまだ、君はお客様だから」
彼がにこりと笑う。

思いがけない言葉に、私はしばらく何も
言うことができなかった。

「私...ここで働けるんですか」

さくらんぼさんが大きくうなずくのが見えた。

「あ、ありがとうございます!!」
ぶわあ、と何かがこみあげて、広がる。



「ようこそ、喫茶[Umbrella]へ!!」
エマさんが笑いかけた。


彼らは、私を受け容れてくれた人たちだ。

世界に何億人もの人がいる中で

私でいいと言ってくれた人たちだ。



もう、あの人たちとは違う。

私、変われるかな。





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