孤児もどきの話

ノベルバユーザー206786

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薄暗い診察室。真剣な顔の先生とママとナーちゃんだけなのに後にだれかいる気がしてたまらなかった

おばけでもいるのかな...なんて思いながら絶対に後ろは見なかった


「ん〜非常に危ないという訳では無いですが、一応入院という形でいいですか?お母さんもそっちのほうが気が楽でしょう」

「は、はぁ...」

ママが困ってる


病院って嫌いだ

意味のわからない言葉をポンポン出して

子供だからわかんないよねって当然のように流される

こっちにだって覚悟したい気持ちくらいあるのに

例えば注射

先生があらかじめ「注射うつよ〜」って言ってくれれば歯を食いしばって泣かないように「大丈夫」って自分に言い聞かせられるのにわざわざナーちゃん達子供にはわからないように「予防接種するよ〜」なんて言うものだからいつも泣きべそをかいてしまうんだ

大人ってずるい





結局意味のわからない会話を聞き頷くママの顔を見ることしかできず病室を出た

「ナーちゃん、入院だって。寂しくなるね」

「ナーちゃんは全然寂しくないよ?」



ちょっとした強がりだった


ほんとは寂しくてたまらなかった


なんでこの時ちゃんと甘えなかったのか


後悔しかない


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