孤児もどきの話
1
1番遠い昔の記憶
何歳かわからない
ただお下げ髪を揺らし母と手を繋ぎながら病院へ向かう途中だった
「検査結果どうなんだろうね」 
母は少し面倒そうな顔で私に話しかけた
「きっと大丈夫だよ!だってナーちゃん元気だもん!!」
そう、元気だった
走っても走っても簡単には疲れない
普通の元気な子供だった
私の名前は鈴木 ナナ(仮名)
当時から甘いものが大好きだった
少しぽっちゃりした子供らしい体型
家族は母と父と姉と私とハムスターのハムちゃんの4人と1匹家族
ただ序盤でも言った通りここが1番古い記憶
これよりも前の記憶がない以上、母以外のことをちゃんと認知し覚えているのは退院以降だろう
「なーちゃん、入院するの嫌だ?」
母の問いかけに私は戸惑った
入院なんて言葉自体よく分かっていなかったし、何より迷惑だけはかけてはいけないと心の底で強く思っていたからだ
「全然嫌じゃない!だって、なーちゃん偉いから」
褒められることが好きだったというのもあるかもしれない
なんにせよ、昔から我慢することは多々あった
自分の意見を伝えられない
今とは真逆な自分の1面だ
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