俺の異世界体験法~自分で作った人工異世界で無双します

デコポッジスペシャル

5章 「真相はいつもなんだかなーだよね。」

 我が親友、冬弥に拉致され連れられここから徒歩五分のGUDOLCAFEグリドルカフェへと連行された。ちなみにGUDOLとはイタリア語で森の案内人という意味であって見た目が確かにログハウスっぽくて素敵な感じなんだが、このカフェの周りご残念なことに西洋風な街並みでまるで異物が紛れ込んだかのような感じになっている。そして現在、カフェの端っこの四人席に俺と、冬弥が並んで座り目の前には朝凪あさなぎ姉妹が並んで座っている。
 「それにしてもよく死ななかったわねーあれが成功するとは夢にも思わなかったわ、シフォンケーキワンホールおかわり下さい!。」
 「ヴん、本当に成功して生きててよかった…ほんとに良かった。」
 「ほんとにほんとにだよ!アチチ、フーフー生きててほんとに良かった。」
 と、1名現在爆食い中で1人はまた半泣き、もう1人は上目遣いなのに他人事。カオスだ。だが今はこんなことして時間を潰している暇はない。
 「悪いが俺には、今の状況が全く理解できねーんだけど1から10までひとつ残らず全て話してくれ。」
 ちなみに、俺の目の前でさっきからパクパクモグモグとフォークの止まる時は来ないのではないかと思ってしまうスピードでシフォンケーキケーキを頬張っているのが朝凪姉妹の姉、朝凪  茜あさなぎ あかねで斜め前でさっきから紅茶を舐めては「あちち」と舌を出しフーフーしていて見ていて微笑ましいのが朝凪姉妹の妹、朝凪 碧あさなぎ あおい。2人とも俺たちのゲームの製作者のメンバーで、姉の方が物語のストーリーを、妹の方がデザインの担当だった。それよりも、
 「それじゃあ、説明させてもらうけどまず始めに言っておくが現在は西暦2080つまりお前が死んでからこっちに来てから2年後ということになる。今話を切るなよ、すべて話し終えてから質問は聞くからな。」
 俺は頷くしかなかったのでコクンと頷いた。
 「お前は、実は自分の意識はこっちに移せたが、肉体の方は死なずに残ってしまったのかと思っているだろうが安心してくれそういう訳ではなくお前の体はちゃんと死んでいるしあの放送は国と俺達が協力してつくったダミーだ。」
 「なんでそんなものを作る必要があるんだ!!」
 「後でしちゅもんにぁ答えるって言ってんでしょ」
 「悪い」
 「続けるぞ、まず俺たちの会社、sophicsはあの後すぐに買収された。条件にあの機会ゲーム機をそのまま使うことと、俺以外の社員全員をそのまま働かせることを飲んでもらってな。それでも発売は半年遅れるだけだったんだ。しかし、俺たちのゲームの核としてつくった自動ハグ抑制機及び緊急時の強制ログアウトプログラムRINAリナを攻撃された。RINAへの攻撃は微弱なものですぐに復旧することは出来たのだが、問題はここからだ。一応念の為に、発売を遅らせ今日発売となったのだがそれが愚策だった。奴らがRINAに与えた傷は壊すためではなく傷口を作るためだということだ。」
 「ああ、ここまではついてこれたが問題はここからなんだろ?だって死んだ人間をわざわざ犯罪者に仕立てあげてまで世間に隠そうとしたんだからな」
 そう、俺が本当に知りたいのはここからだ。たしかに今までの経緯でまじで乙な体験談は理解したがそれだけではこんなことにはならない。
 「ちなみに、私と茜ちゃんも冬弥くんと一緒に会社を辞めて、3人同時に現在フリーターでなんですよ。」
  「えっまじで?」
 「当たり前じゃん、元々私たちはあなたの夢を叶えるためだけにこの仕事に就いたんだから、あなたが成功しても失敗しても生きていても死んでいてももうこの仕事を続ける理由なんてないんだもん。」
 確かにそうなのかもしれない。俺が夢を叶えるために全力で走って行くために俺を支えると叫んでくれた冬弥と大学のキャンパスで出会い、会社の起業に最も貢献してくれてなお最後まで付き合ってくれたこの姉妹との日々は感動ものだった。この話はまた今度できると嬉しいものだ。
 「ごほん、えーっと話を戻して続けるが、この世界、『SVスペイドヴァンミリア』はもう俺たちのものではない、そして昨日発売されたこの世界ゲームはRINAを攻撃した奴らによって閉鎖された。ログアウトができず、この世界での死はリアルでの死はという訳ではなく、記憶喪失になりながらもリアルに戻ることは出来る。だから、この世界の人口の7割はとっくに自殺して消えていった現実に戻ったのだが、十中八九お前はこの世界での死は魂の死だ。」
 「現状は分かったが、ならなぜお前らはここに来たんだ?知っていたんだろここは危ないと配信される前から何ならこの世界に来てしまった人たちを助けるためか?」
 「汰稀くん、今のは冗談でも許せない発言なんだよ。謝って、撤回して、反省して、猛省して、土下座して、足の裏舐めて!」
 「悪かった、確かに今のは反省するがそこまで!?」
 「私の足の裏舐めたいとか、どこまで変態さんなの?ちゃんと反省しなさい!」
 「うわー気持ち悪っ、さすがの私でもそれは引くぞ」
 「俺そんなこと言ってないよね!?俺のキャラに変態のレッテルを押し付けるな!!」
 ピンコーン。
 「称号、ド変態を獲得しました。」と頭の中で音声が流れた。頭の中ですら俺をからかいやがった。
 だが、この会話のシリアスな雰囲気を脱却 出来たことは良かったのだろう。取り敢えず現状を把握出来たのだが、2つ疑問が湧いたので質問しておこう。
 「それじゃあ、質問するがまず1つ目はなんでダミーを作る必要があったんだ?そしてもうひとつお前らの体は今どうなっているんだ?」
 そう、1つ目の質問はどう考えても理由が浮かばないことであり、2つ目はただの疑問だ。
 「2つまとめて回答しよう、先にも言った通り俺たち3人は現在、国と手を組んで行動している。つまり、俺たちの体は政府が責任をもって管理してくれるらしい。別に政府の仮性があったからここに来た訳では無いことは、誤解するなよ。ダミーを作った理由はこの世界の人々僅かでも安心してもらおうと思ったからだ。ただそれだけのためだ。」
 「そうか、安全なのか…安心した。」
 と、俺の緊張がやっと少しゆるんだ時、またもや外が騒がしくなったと思ったら、とてつもない爆発音が街全体を響き渡った。

コメント

  • デコポッジスペシャル

    ありがとうございます!そう言ってもらえるととても嬉しいです。

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  • ノベルバユーザー206957

    設定がしっかりしていてるし、主人公の心理描写が面白く、長い文なのにスラスラと読める感じがして、面白かったです。

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