聖剣を抜いたのが僕でごめんなさい!

のだ星じろう

第十二話 白熱!師弟の絆?!

大神殿の中はあたかも身体測定をしている学校の体育館の雰囲気だった。

受験生はステートログを提出した後、大広間で身長や体重、身体の健康状態を調べられる。終わったものから別室に移動し、この世界で必要なのであろう座学の筆記試験を受けると言った流れになっているそうだ。ステートログを見れば大体の運動能力は把握出来るからと体力測定的な物は省いているらしい。

1日目のスケジュールはこれで終了し、翌日から始まる実技試験に各自備えるのである。

ちなみに実技試験はA〜Zまで組み分けされて実施されるのだが、この時点で特質すべき点が無いと見なされた者は、筆記試験後に発表される組み分けから漏れ、不合格となる。

「1組30名」と言うのが毎年の相場だそうだ。

「本当に毎年毎年よくやるわねー。私だったらこの人混みってだけでパスだわ」

「今年は受験生も多いですから、学園側も多忙になるでしょうな」

リーンの言っている事はよくわからないが、ゴトーさんの言っている事はズバリその通りだった。
側から見る限り受験生に対する学園職員の数が圧倒的に少なく見える。
職員は皆小走りで汗をかきながら職務に当たっているようだ。

僕たちはその様子を神殿の最上階にある客間のバルコニーから眺め、ゴトーさんの『一番弟子』の到着を待っていた。

「おう!待たせたなゴトー!」

唐突に威勢の良い声が部屋中に響き渡ったかと思うと、ひとりの大男がゴトーに向かい大股で歩み寄って行く。

二人は対峙すると、まるで青龍と白虎のような、何やら穏やかではないオーラのぶつけ合いが始まった。

「久しいのうサイゴー!今日はお前さんに敬語の使い方を再び教えにきてやったぞ。」

「へっ。元気な爺さんだぜ!もうあんたじゃ俺には勝てねえよ!」

(会って5秒で争い始まったんですけどー!)

「リーン!いつもの用意しろや!」

「ったく、毎度毎度やんなきゃダメな訳?」

サイゴーが荒々しく命令すると、リーンはうんざりしながら魔法を使い、部屋の隅にあった空の酒樽を両者の間に置いた。

「擬態魔法[モデル:アイアン]!、、はい。後はお好きにどうぞー」

酒樽はまるで鉄の様に強度が増し、リーンが叩くと「カンカン」と硬い音がする。

「おい!リーン!なんかヤバそうだけど止めなくていいのか?」

「ほっとけばいいのよ!くだらないんだから!」

リーンの様子から考察するに、『事は繰り返えされている割に重大ではない』というのは伝わってくる。
しかし、この状況を初めて体験する自分にとってこれは国一つの存亡がかかっているような出来事に見えるのだ。

“軍神”と“巨神”。この二人が争ったら、それは戦争と同義なのでは無いだろか。

「ちょ、ちょっとーお二人ともー、仲良くしましょうよー、、」

「黙れ小僧。。」

(ひぃいい!鬼だ!このひと鬼なんですけどー!)

「ちょうどいいや。小僧!審判やれや」

「し、審判?」

そう言うと二人は酒樽の上部にに肘をつき、ガッツリと腕を組み交わした。

「腕相撲かーーい!!」
(本当にくだらなかったー!)

先程までの緊張感を返して欲しいと、思いつつも僕は一応、審判の職務を果たす事にした。

「今までの勝敗は覚えておるかの?」

「あたりまえだ!300戦中、俺の89勝211敗!
まあここ10戦は負けて無いけどな!」


「えーコホン。それではいきますよー」

「いつでも!」

「こいやぁあ!!」

「よーい、、、どん。」

「「うおおおー!!」」

ビキッ!!

合図と同時に擬態魔法[モデル:アイアン]にヒビが入る。

「、、え。嘘でしょ!なんてバカ力よ!!」

リーンは急いで魔力を注ぎ込み補強にかかる。

「うおおお!!」

「くたばれぇええ!!」

部屋中の家具という家具がギシギシ揺れ出し、天井からは砂埃のような物まで落ちてきた。

「、、、これ、不味いんじゃ、、」

「なんなのよ!もうー!!」

リーンは酒樽以外にも、至る所を魔法で補強し始めた。
一方、腕相撲はというと戦況は一進一退。

「じじい、、鍛えて来やがったな、、」

「そちらさんこそ、、負けたら敬語じゃぞ、、」

「そいつはごめんだ、、悪いが本気で行くぜ、、」

サイゴーがそう言うと、目の錯覚だろうか、少しだけ体が大きくなったように見えた。

「そりゃ反則じゃろー!!!」


ドガーン!!


勝負は着いた。
301戦90勝211敗。
勝ったのは『“巨神”サイゴー』だ。

「悪いな。ちょっとばかりスキルが発動しちまったらしい、、まあ魔法じゃないから有りだよな!ハッハッハー!」

「く、、くっくく、ハッハー!一段と強くなったのー!もうお前さんから敬語は望めんかもな!サイゴー!」

「何言ってやがる!今日の爺さんこそ昔並みに強かったぜ!数年ぶりに敬語になるかと思ったぜ!ハッハッハー」

「「ハッハッハッハッハッハ」」

(なんだろう。とてつもなく爽やかな風が流れている気がするが、それを認めたく無い感じなんだろ!)

「、、、もう、、なんなのよ、、、バタ。」

「リーン!?」

リーンはヨーデルで魔人にやられた後と同じくらいの魔力を消費していた。

それほど生身とは言え二人の気のぶつかり合いは壮絶な物だったと言う。


ーー完ーー




(って何が終わったのー!!物語は続けるよ?!)


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