聖剣を抜いたのが僕でごめんなさい!
第二話 平穏終了!?
ここは[アイリーン領・キヌ村]。
ローランド王国の最西端に位置し、霊峰キュアランブルの麓にある農村である。
100年前、魔王討伐戦に向かう前の勇者アレキサンダーが霊峰で修行を行なう際、ひと月ほど滞在していたとされる村だ。
勇者アレキサンダーは滞在の礼に、聖剣エクスカリバーを大地に突き立て、その場所から地下水を引き当てた。
聖水とされるその水は村を潤しただけではなく、100年経った今でも魔物を寄せ付けない、所謂『魔除』の効力を発揮している。
水は澄み、作物は豊かに実る平和な村である。
「母さん、ただいまー!ねえ!剣拾った!」
「おかえりユタロウ。はぁ、また変なもの拾ってきて、、悪いんだけど先に客間に布団運んでもらえると助かるわ」
「変じゃないよー!すごく綺麗なんだよー」
「はいはい、後で見せてちょうだいね。今は布団よ!」
そう言うと母さんは自分の背丈と同じくらいに高く積まれた布団を僕の両手に掴ませた。
「おっもー!」
僕の家はこの村で唯一の宿屋だ。
部屋数は1階に2つ、2階に4つ。どの部屋も大人3人はくつろげる広さはある。
また1階は酒場になっていて、宿泊客にはタダで飲み食いできる特典が付くと言う大盤振る舞いっぷりだ。
「なんでタダにするの?もったいない」
と理由を聞いてみた事がある。そしたら母さんは[こんな王国の端っこに来るような人なんて、きっと訳ありに違いないんだから、ここにいる間だけでも楽しい気持ちになってもらいたいじゃない?]と言っていた。
しかし実際の所、宿泊客には常連が多く僕には悩みを抱えてる様には思えない。
母さんの気立ての良さと、風貌にやられているのだと思う。
そう言い切れるほど母さんは美人なのだ。
もし前世で母さんみたいな人がいたら、すぐにでもモデルや女優になれるんではないか。
息子の僕がこう言えるのだから、他人から見た母さんはさぞ美しいのだろう。
「よし。任務完了っと」
客人が出かけているうちに布団を運び入れる事に成功し、1階の広間に降りようとすると、母さんが誰かと話す声がした。
「大きな剣を持った少年がこの村にいるはずよ!今すぐ連れきて欲しいの!」
そこには半日前に丘で見た可憐な少女がいた。
美人の母さんと並んで話していると、まるで役者が演劇をしているようだ。
ふと後方を見るとごっつい老人が異彩を放ちながら立っており、その演技を台無しにしているのが残念だ。
・・・そんな事より“大きな剣を持った少年”。これは十割十分僕に違いない。大きな剣とは今背負っているこの剣だ。
僕は一瞬出て行こうとも考えたが、もう少し物陰から様子を伺う事にした。
「と言いましても、、その少年が何かしたんですか?」
母さんは気付いている。
この少女が探しているのが僕の事だと。
「王家の秘宝を盗んだ疑いがあるのよ!」
「ま、まさか、、!?」
本物の舞台女優の様に身振り手振りをつけながら話す少女につられ、母さんまでリアクションが大きくなってきた。ガタイのいい老人が黙ってその様子を見守っている。
「それで、あなたはその少年をどうしようと言うの!」
「もし本当に盗んだと言うのなら、、」
「言うのなら、、」
母さんも繰り返し、生唾を飲み込む。
「死刑よ!!」
「「死刑!!?」」
ドンガラガッシャン○%#$<>;!!
思わず、母さんと同時に声を上げて階段を踏み外してしまった。
「、、どうもー少年でーす」
目の前にはSっ気たっぷりな目を輝かせる少女が立っていた。
「あら、ご機嫌様。勇者さま♪」
転生して3年。
これが僕の平穏な日常が崩れ去った瞬間である。
ローランド王国の最西端に位置し、霊峰キュアランブルの麓にある農村である。
100年前、魔王討伐戦に向かう前の勇者アレキサンダーが霊峰で修行を行なう際、ひと月ほど滞在していたとされる村だ。
勇者アレキサンダーは滞在の礼に、聖剣エクスカリバーを大地に突き立て、その場所から地下水を引き当てた。
聖水とされるその水は村を潤しただけではなく、100年経った今でも魔物を寄せ付けない、所謂『魔除』の効力を発揮している。
水は澄み、作物は豊かに実る平和な村である。
「母さん、ただいまー!ねえ!剣拾った!」
「おかえりユタロウ。はぁ、また変なもの拾ってきて、、悪いんだけど先に客間に布団運んでもらえると助かるわ」
「変じゃないよー!すごく綺麗なんだよー」
「はいはい、後で見せてちょうだいね。今は布団よ!」
そう言うと母さんは自分の背丈と同じくらいに高く積まれた布団を僕の両手に掴ませた。
「おっもー!」
僕の家はこの村で唯一の宿屋だ。
部屋数は1階に2つ、2階に4つ。どの部屋も大人3人はくつろげる広さはある。
また1階は酒場になっていて、宿泊客にはタダで飲み食いできる特典が付くと言う大盤振る舞いっぷりだ。
「なんでタダにするの?もったいない」
と理由を聞いてみた事がある。そしたら母さんは[こんな王国の端っこに来るような人なんて、きっと訳ありに違いないんだから、ここにいる間だけでも楽しい気持ちになってもらいたいじゃない?]と言っていた。
しかし実際の所、宿泊客には常連が多く僕には悩みを抱えてる様には思えない。
母さんの気立ての良さと、風貌にやられているのだと思う。
そう言い切れるほど母さんは美人なのだ。
もし前世で母さんみたいな人がいたら、すぐにでもモデルや女優になれるんではないか。
息子の僕がこう言えるのだから、他人から見た母さんはさぞ美しいのだろう。
「よし。任務完了っと」
客人が出かけているうちに布団を運び入れる事に成功し、1階の広間に降りようとすると、母さんが誰かと話す声がした。
「大きな剣を持った少年がこの村にいるはずよ!今すぐ連れきて欲しいの!」
そこには半日前に丘で見た可憐な少女がいた。
美人の母さんと並んで話していると、まるで役者が演劇をしているようだ。
ふと後方を見るとごっつい老人が異彩を放ちながら立っており、その演技を台無しにしているのが残念だ。
・・・そんな事より“大きな剣を持った少年”。これは十割十分僕に違いない。大きな剣とは今背負っているこの剣だ。
僕は一瞬出て行こうとも考えたが、もう少し物陰から様子を伺う事にした。
「と言いましても、、その少年が何かしたんですか?」
母さんは気付いている。
この少女が探しているのが僕の事だと。
「王家の秘宝を盗んだ疑いがあるのよ!」
「ま、まさか、、!?」
本物の舞台女優の様に身振り手振りをつけながら話す少女につられ、母さんまでリアクションが大きくなってきた。ガタイのいい老人が黙ってその様子を見守っている。
「それで、あなたはその少年をどうしようと言うの!」
「もし本当に盗んだと言うのなら、、」
「言うのなら、、」
母さんも繰り返し、生唾を飲み込む。
「死刑よ!!」
「「死刑!!?」」
ドンガラガッシャン○%#$<>;!!
思わず、母さんと同時に声を上げて階段を踏み外してしまった。
「、、どうもー少年でーす」
目の前にはSっ気たっぷりな目を輝かせる少女が立っていた。
「あら、ご機嫌様。勇者さま♪」
転生して3年。
これが僕の平穏な日常が崩れ去った瞬間である。
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