人間不信様のハーレム世界
魔法都市の暗雲
「なあ、オラス。次どこ行ったらいいと思う」
考えに考えたが、悠斗はこの世界を多く知らないことを思い出した。
ここはゲームの時と大差はなく、土地も変わってなく、知ってる街が多くあったが知らない街も幾つかあった。
「そうだな、ここから近いとなるのイムホテギアはどうじゃろうか?」
「そこはどんな街なんだ?」
「イムホテギアは魔法都市と呼ばれておって、学園が多く存在しそこに見習い魔道士が多く集まる場所じゃ。これからの戦いでは魔法は必要不可欠になるじゃろう。だがお主の仲間には魔法系統の技を使うのはおらんじゃろ? ここでそういった仲間を増やした方が得じゃと思うぞ。あそこは優秀な魔道士が多くおるからの」
確かに、いるのはモンスター二種類と対モンスター用戦闘機という長ったらしい名目の機械だけで魔法を使える者はいない。
悠斗も剣士であるため、魔法は一切使えない。魔剣士ならほんの少しでも使えたのだが文句は言ってられない。
ここはオラスの意見を参考にして、魔法が使える人を仲間にするか、最悪の場合は誰かに魔法を教えてもらえばいい。
「よし、じゃあそのイムホテギアに行ってくれ」
「あい、わかった」
オラスは翼を大きくはためかせてスピードを上げる。
目指すは魔法都市イムホテギア。
イシリア学園。
魔法都市と呼ばれるここでもトップに君臨する由緒正しき学園だ。ここの一人の生徒が周りの生徒に笑われながらも廊下を歩いていた。
彼女の名前はミノス。第七十一期生の栗色の髪をした彼女は劣等生と呼ばれていた。
そんな彼女の腕の中には二つの杖が抱えられていた。
杖の先端には丸くて水色の水晶のようなものがあり、これで魔力を操るという仕組みだ。
これは偉大な母の形見だ。母はとても優秀な魔道士でこの二つの杖を難なく、華麗に扱っていたらしい。
らしい、というのはミノスは母のことをあまり知らないのだ。母は自分が産まれてすぐに亡くなってしまった。
だからこれはある人に聞いた話だ。
しかし、この形見が劣等生と呼ばれる一つの原因となっている。
なぜならこの杖が特別だからだ。使うには通常の魔道士の十倍ほどの魔力がないと、魔法を使ってもそれは暴走して自分の言うことなど聞かなくなる。
だがミノスはその杖を使い続ける。意地なのか、多分初めてこれを使って成功した時に感じたあの感覚をもう一度味わいたいのかもしれない。
しかし、残念ながら成功したのはその一回だけで失敗はがりして劣等生と呼ばれる。だが彼女はその杖を手放したりはしない。
「おっと、すまん」
男子生徒と派手にぶつかってしまった。
その際にかけていた眼鏡と杖を落としてしまう。
「ごめん、ごめん。わざとじゃねーから許してくれや」
その男子生徒はそう言うと、ミノスの返事を待たずして廊下をスタスタと歩いっていった。
だけど、そんなことは気にせずミノスは制服を払って、落ちた杖を拾い上げて次に眼鏡をかける。
「よしっ」
次の授業は炎系統の魔法の訓練だ。気合いを入れて走った。
「た、大変です学園長!」
時を同じくして、中央棟にある学園長室に一人の中年男性が走りながら、慌てた様子をして入ってきた。
彼はここで副学長を勤めているタリエス。髪は一切なく、むしろ清々しい感じがするこの中年魔道士は額に汗を浮かばせながら息を切らしていた。
「どうしたんだね、そんなに慌てて君らしくもない」
部屋の奥に大きなある机と椅子。そこにいるのは白髪のお爺さんが透き通った優しい声で彼をなだめた。
「学園長、それが……本部からこんな報告が」
タリエスは汗で少し濡れた手紙を見せた。
本部というのはこの都市をまとめている機関で、彼らは学園に依頼を要請することがある。
だがそれはどれも簡単なもので引率付きで研修として生徒を連れて行き、実践訓練として役立っていた。
しかし、このタリエスの様子からして今回はそうでないと学園長は察していた。
「ちと、読んでくれぬか? 老眼鏡をどっかをやってしまっての」
「わ、わかりました」
渋々、タリエスは手紙を開いた。
「イシリア学園、学園長。今回の依頼は急を要する為、あなたに拒否権はない。都市周辺をギランカが集団で囲っているのだ。我々はこれを殲滅することを決定した。しかし数が多い為にこれを手伝ってもらいたい……以上です」
これは依頼というより、脅迫である。
つまりは従えと言っているのだ。拒否権はない、というところからそれがわかる。
「ど、どうしましょう……。ギランカと言えば魔力を捕食するモンスターです。ここの生徒では荷が重すぎます」
ギランカ、それはタリエスが言うとおり、魔力を食べてしまう。それに力と強く、魔道士に嫌われている中級モンスターの一つだ。
だが……
「やるしかあるまいて」
不本意ながらも学園長はこの依頼を受けた。なぜなら拒否権がないからだ。
こんな暗雲渦巻く頃、悠斗たちはドラゴンの背に乗って優雅に、まるで観光にでも来たかのようにこの地に降りたった。
考えに考えたが、悠斗はこの世界を多く知らないことを思い出した。
ここはゲームの時と大差はなく、土地も変わってなく、知ってる街が多くあったが知らない街も幾つかあった。
「そうだな、ここから近いとなるのイムホテギアはどうじゃろうか?」
「そこはどんな街なんだ?」
「イムホテギアは魔法都市と呼ばれておって、学園が多く存在しそこに見習い魔道士が多く集まる場所じゃ。これからの戦いでは魔法は必要不可欠になるじゃろう。だがお主の仲間には魔法系統の技を使うのはおらんじゃろ? ここでそういった仲間を増やした方が得じゃと思うぞ。あそこは優秀な魔道士が多くおるからの」
確かに、いるのはモンスター二種類と対モンスター用戦闘機という長ったらしい名目の機械だけで魔法を使える者はいない。
悠斗も剣士であるため、魔法は一切使えない。魔剣士ならほんの少しでも使えたのだが文句は言ってられない。
ここはオラスの意見を参考にして、魔法が使える人を仲間にするか、最悪の場合は誰かに魔法を教えてもらえばいい。
「よし、じゃあそのイムホテギアに行ってくれ」
「あい、わかった」
オラスは翼を大きくはためかせてスピードを上げる。
目指すは魔法都市イムホテギア。
イシリア学園。
魔法都市と呼ばれるここでもトップに君臨する由緒正しき学園だ。ここの一人の生徒が周りの生徒に笑われながらも廊下を歩いていた。
彼女の名前はミノス。第七十一期生の栗色の髪をした彼女は劣等生と呼ばれていた。
そんな彼女の腕の中には二つの杖が抱えられていた。
杖の先端には丸くて水色の水晶のようなものがあり、これで魔力を操るという仕組みだ。
これは偉大な母の形見だ。母はとても優秀な魔道士でこの二つの杖を難なく、華麗に扱っていたらしい。
らしい、というのはミノスは母のことをあまり知らないのだ。母は自分が産まれてすぐに亡くなってしまった。
だからこれはある人に聞いた話だ。
しかし、この形見が劣等生と呼ばれる一つの原因となっている。
なぜならこの杖が特別だからだ。使うには通常の魔道士の十倍ほどの魔力がないと、魔法を使ってもそれは暴走して自分の言うことなど聞かなくなる。
だがミノスはその杖を使い続ける。意地なのか、多分初めてこれを使って成功した時に感じたあの感覚をもう一度味わいたいのかもしれない。
しかし、残念ながら成功したのはその一回だけで失敗はがりして劣等生と呼ばれる。だが彼女はその杖を手放したりはしない。
「おっと、すまん」
男子生徒と派手にぶつかってしまった。
その際にかけていた眼鏡と杖を落としてしまう。
「ごめん、ごめん。わざとじゃねーから許してくれや」
その男子生徒はそう言うと、ミノスの返事を待たずして廊下をスタスタと歩いっていった。
だけど、そんなことは気にせずミノスは制服を払って、落ちた杖を拾い上げて次に眼鏡をかける。
「よしっ」
次の授業は炎系統の魔法の訓練だ。気合いを入れて走った。
「た、大変です学園長!」
時を同じくして、中央棟にある学園長室に一人の中年男性が走りながら、慌てた様子をして入ってきた。
彼はここで副学長を勤めているタリエス。髪は一切なく、むしろ清々しい感じがするこの中年魔道士は額に汗を浮かばせながら息を切らしていた。
「どうしたんだね、そんなに慌てて君らしくもない」
部屋の奥に大きなある机と椅子。そこにいるのは白髪のお爺さんが透き通った優しい声で彼をなだめた。
「学園長、それが……本部からこんな報告が」
タリエスは汗で少し濡れた手紙を見せた。
本部というのはこの都市をまとめている機関で、彼らは学園に依頼を要請することがある。
だがそれはどれも簡単なもので引率付きで研修として生徒を連れて行き、実践訓練として役立っていた。
しかし、このタリエスの様子からして今回はそうでないと学園長は察していた。
「ちと、読んでくれぬか? 老眼鏡をどっかをやってしまっての」
「わ、わかりました」
渋々、タリエスは手紙を開いた。
「イシリア学園、学園長。今回の依頼は急を要する為、あなたに拒否権はない。都市周辺をギランカが集団で囲っているのだ。我々はこれを殲滅することを決定した。しかし数が多い為にこれを手伝ってもらいたい……以上です」
これは依頼というより、脅迫である。
つまりは従えと言っているのだ。拒否権はない、というところからそれがわかる。
「ど、どうしましょう……。ギランカと言えば魔力を捕食するモンスターです。ここの生徒では荷が重すぎます」
ギランカ、それはタリエスが言うとおり、魔力を食べてしまう。それに力と強く、魔道士に嫌われている中級モンスターの一つだ。
だが……
「やるしかあるまいて」
不本意ながらも学園長はこの依頼を受けた。なぜなら拒否権がないからだ。
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