転生屋の珍客共〜最強の吸血鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜
第57話 変化
建物に近づくと門番がこちらに気づき、アルチナへ敬礼した。
「お疲れ様」
招待状を見せて自分の身元を証明するアルチナ。
門番はそれが本物かどうかだけ確認すると招待状を返した。
「大地の魔女、アルチナ様ですね。その後ろの方たちは見覚えがありませんがお弟子さんたちですか?」
「ええ、そうなの。参考になればと思って連れて来たんですけど同行させてもいいかしら」
ここは魔女たちの交流の場。
弟子に刺激を与える為に連れてくる者も少なくないようでルインたちはそれを利用して潜入しようと試みる。
「勿論ですよ。ただ身体検査だけはさせていただきます。最近、何かと物騒ですから」
この地区に入る時も同じように検査をされるようだが、ここで再びそれをするという事はそれだけこの建物が重要らしい。
しかし、これはルインたちにとって緊張の一瞬である。
フラガラッハのようなあからさまな危険物は持っていないが、問題はルイン。魔女しか入れない場所に男がいては危険物を持っていなくともその場で確保されてしまう。
そこでルインは数ある能力の中で自身の細胞を作り変えるというものを使い、性別を変えた。
「終了です。お手数おかけしました」
門番は一通り確認すると敬礼して建物に入る事は出来た。
「ほんと、あんたって便利よね。まさか性別も変えられるなんてさ」
「見た目だけで本質は変わらんさ。それに戻るには時間がかかるし、便利とは言えんなこの能力は」
元は男なだけに色々と使うのに気が引けるから緊急時以外は使わないようにしている方法だ。
前もこうして性別を変えた時があったが元に戻るのに一苦労した。またこれを使う事になるとは思わなかったが致し方ない。
「それにしてもここは厳重ですね。それに最近、物騒と言っていましたね」
「貴方たちが気にすることではありませんよ。それよりもここから先は会話も気をつけてください。何処で誰が監視しているわかりませんので」
その注意を受け、一行はアズリエが捕らえられている所へと足を進めた。
「ここは薔薇の魔女、クロアムさんの部屋のようですね」
「わざわざ個室が用意されているのか」
「全員ではありません。このカヴンの開催者であり、現在いる魔女の中で最も力があるとされている者たちだけですよ」
「何を他人事みたいに言ってる。お前もその一員だろうが」
とロニは横から口を挟む。
「ええ、でも私がしたのは大した事じゃないし、それにもう脱退したから」
「つまり相手は元仲間になるという訳だな。それでも俺たちに協力するのか」
魔女であれ、これ程大きな場を設けたとなると相当な権力を有しているだろう。
歯向かえばこの世界とは無縁の俺たちでは今後の保証はできない。最悪、裏切り者として処分される事だってあり得る。
「私の事を考えてくださるなんてお優しいんですね。でも大丈夫ですよ。魔女は自分の気持ちに素直でなくては」
そう言って笑う彼女の目を見るが、ルインでも何を考えているのか分からなかった。
ただ単純にロニからの要請を受けて協力してくれているのか、それとも別の目的があるのかは定かではないが立ち止まっている暇はない。
アズリエを助けるべく、その扉を開けた。
「お疲れ様」
招待状を見せて自分の身元を証明するアルチナ。
門番はそれが本物かどうかだけ確認すると招待状を返した。
「大地の魔女、アルチナ様ですね。その後ろの方たちは見覚えがありませんがお弟子さんたちですか?」
「ええ、そうなの。参考になればと思って連れて来たんですけど同行させてもいいかしら」
ここは魔女たちの交流の場。
弟子に刺激を与える為に連れてくる者も少なくないようでルインたちはそれを利用して潜入しようと試みる。
「勿論ですよ。ただ身体検査だけはさせていただきます。最近、何かと物騒ですから」
この地区に入る時も同じように検査をされるようだが、ここで再びそれをするという事はそれだけこの建物が重要らしい。
しかし、これはルインたちにとって緊張の一瞬である。
フラガラッハのようなあからさまな危険物は持っていないが、問題はルイン。魔女しか入れない場所に男がいては危険物を持っていなくともその場で確保されてしまう。
そこでルインは数ある能力の中で自身の細胞を作り変えるというものを使い、性別を変えた。
「終了です。お手数おかけしました」
門番は一通り確認すると敬礼して建物に入る事は出来た。
「ほんと、あんたって便利よね。まさか性別も変えられるなんてさ」
「見た目だけで本質は変わらんさ。それに戻るには時間がかかるし、便利とは言えんなこの能力は」
元は男なだけに色々と使うのに気が引けるから緊急時以外は使わないようにしている方法だ。
前もこうして性別を変えた時があったが元に戻るのに一苦労した。またこれを使う事になるとは思わなかったが致し方ない。
「それにしてもここは厳重ですね。それに最近、物騒と言っていましたね」
「貴方たちが気にすることではありませんよ。それよりもここから先は会話も気をつけてください。何処で誰が監視しているわかりませんので」
その注意を受け、一行はアズリエが捕らえられている所へと足を進めた。
「ここは薔薇の魔女、クロアムさんの部屋のようですね」
「わざわざ個室が用意されているのか」
「全員ではありません。このカヴンの開催者であり、現在いる魔女の中で最も力があるとされている者たちだけですよ」
「何を他人事みたいに言ってる。お前もその一員だろうが」
とロニは横から口を挟む。
「ええ、でも私がしたのは大した事じゃないし、それにもう脱退したから」
「つまり相手は元仲間になるという訳だな。それでも俺たちに協力するのか」
魔女であれ、これ程大きな場を設けたとなると相当な権力を有しているだろう。
歯向かえばこの世界とは無縁の俺たちでは今後の保証はできない。最悪、裏切り者として処分される事だってあり得る。
「私の事を考えてくださるなんてお優しいんですね。でも大丈夫ですよ。魔女は自分の気持ちに素直でなくては」
そう言って笑う彼女の目を見るが、ルインでも何を考えているのか分からなかった。
ただ単純にロニからの要請を受けて協力してくれているのか、それとも別の目的があるのかは定かではないが立ち止まっている暇はない。
アズリエを助けるべく、その扉を開けた。
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