ラブコメで幼馴染が報われない法則について

和銅修一

第19話 映画館だといつもより他人が気になる法則について

 映画が始まる前のあれ。
 結構ネタにされてる感あるけど俺はあれ良くないと思うんだよね。だってあれ一応犯罪防止用の動画じゃん。だからそれを馬鹿にするようなことは良くないと思いました。
 何で作文みたいな感想を急に言い出したかというとこの空間はカップルが多すぎてそんなくだらないことを考えていないと理性が保てそうにないからだ。
 そういえばそういう作品だった。
 クソリア充共め。そんなにイチャつきたいなら家でやれ家で。ここには俺たちのように純粋に映画を楽しもうとしている人もいるというのに。
 葵なんかポップコーンを片手にこの犯罪防止動画すらも真剣に見ている。この姿勢を見習ってほしいものだが、葵みたいな完璧が人間が何人もいたらこの世界は崩壊しているか。
 今更嘆いても仕方ないし、ここは大人しく映画を見ていた方が吉だろう。
 そう蓮が結論を出したところで犯罪防止動画がちょうど終わり、本編が始まった。



***



 映画は一時間半程度で終わった。
 噂通り中々面白く、葵も満足したようだ。
 時間が時間なのでその後は昼食を取りつつ、映画の話で盛り上がる。
 マジでデートじゃん。とこれは彼女のなりの予行演習だと分かっていても浮かれてしまう。
 周りで見ている連中も羨んでいることだろうな。
 葵のような綺麗かつ可愛い一面も兼ね備えた完璧な幼馴染を彼女にできたのなら男としてこれほど嬉しいことはない。無論、恵にも言えることだが。
「今日は私の用事に付き合わせたみたいになったけど、楽しめた?」
「ああ、ちょうど見たい映画だったし葵とはら何処でも楽しいよ」
「また女たらしっぽい発言して。それで他の女の子がその気になったらどう責任を取るつもりなんだ? それともいわゆるハーレム願望っていうのがあるの?」
「まさか。俺は二人がいたらそれだけで幸せだよ」
 ハーレムは好きだが、ハーレムエンドは好きではない。
 というのもそれは主人公が優柔不断な結果で幼馴染どころか誰も幸せになれていないからだ。
 それは犬も食わない最悪のシナリオだ。それなら幼馴染でなくてもヒロインとくっ付いてちゃんとしたエンディングを迎えなくては。
「ふ〜ん。じゃあ、今度は三人で見に来ようか。でもまだ時間があるけど、どうする?」
「じゃあ、買い物でしてから帰るか。早く帰ってもやることないしな」
 計画の進行には学校での作業が必要で早く帰ったところで何も変わらない。ならば今日はとことん遊んでやろうではないか。

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