村人から世界最強の魔王へ

つくつく

2.壊れてた日常

警備兵「紅蓮団長!大変だ!近くの村々が魔族に襲撃された!」
紅蓮「な!?すぐ行く!子供達はここで待機していろ。どこが襲撃された!」
警備兵「近くの村のほとんどが襲撃されています」
悠人は、その警備兵に近寄り
悠人「街の南方にある村もですか!」
警備兵「あぁ、そうだ。」
その言葉を聞いて悠人は、横にいるゆなを見るとそのゆなの手は少し震えていた。
悠人「ゆなはここに残ってくれ。俺は、村の様子を見てくる!」
と、言って駆け出した。その背中に向かってゆなが
ゆな「あ、悠人待ってよ!」
と言ったが、悠人は話を聞かずに走って行った。
それを見て、紅蓮は警備兵に
紅蓮「お前は、兵を用意し、あの少年を追いかけろ!」
警備兵「分かりました。紅蓮団長」
と、警備兵も外に出て行く。
悠人は、無我夢中で駆け出していた。大丈夫だ。俺ならやれる。魔族なんかに負けるかと思いながら村に着くと、自然と足を止めてしまった。ギャァァァ!死にたくない!いやだぁ!助けて!と言うたくさんの悲痛な声、村人が魔族に食われている地獄のような光景だった。この先悠人は忘れることが出来ないだろう。それもそのはず。
普段はうちの村は“基本的”には、仲が良く、ほとんどの村人で笑いながら話していた。しかし、今目の前に広がっている光景は、魔族に無残に食い殺されている状況で、村人たちは互いを犠牲にして自分だけは生き延びようともがく姿を見て悠人は
『気持ち悪い』
おい!君!
と、声を掛けられ我に返り背後を見ると、三十人ほどが武装した集団があった。そこには、先ほどの警備兵もいて、その警備兵が言った。
「オークだ!俺たちが行くから君は避難しろ!」
と言って、村に入った瞬間
上空から現れた。ヤギの頭をした多くの魔族に襲われた。「バフォメットだ!A級魔族だ。陣形を崩すなぁ!」
と言った男の頭が上空から現れたバフォメットの爪によりなくなりバラバラになった。瞬く間に食われていき肉の塊になってしまった。
バフォメットと呼ばれた魔族が肉を食べているのを見計らい、村に入り、自分の家を探した。
悠人「はぁ、はぁ、母さん!母さん!」
と言いながら必死に走り家に着き、扉を開けた瞬間、悠人の目に留まったのは、いびつな形をしたボール。などではなく、そこには頭が落ちており、心はそれを必死に認めないようにしようとするも、頭は状況を理解しており、自然と声が漏れる。
悠人「母さん?どうして?」
悠人は震える足で近づき、そっと母親らしき頭を抱き上げた。
そして、目に入ってしまった。自分の母親の体と落ちていたものを。
悠人「な!?嘘だろ?母さんを殺したのって・・・」
そうしているうちにも、餌を食べ終えた魔族が母親らしき頭を抱きかかえて動かないでいる悠人を見つけるのは、当然のことで、むしろ、村に入って悠人が家に辿り着くまでに襲われなかったのが奇跡としか、言いようがなかった。
羊の頭をした魔族がゆっくりと羽を広げて母親の頭を抱きしめている子供に狙いをつけものすごいスピードで飛び出した。
そして、自分に向かって長い爪が向かって来ている様子を悠人は、ぼんやりと眺め、母親の頭を抱きしめていた力を強くし、前方を睨み、全てを呪った瞳で
悠人「お前らなんか・・・お前らなんか!俺の前から消えろ!」
と悠人が叫んだ。
すると、次の瞬間羊の頭をしたバフォメットは、悠人の額に長い爪が当たる直前に悠人を中心に広がった黒いドーム状のようなものが村を覆い尽くした。目の前にいたバフォメットは、肉片すら残さず飛び散った。それだけではなくゴブリンや、肉の塊、家がなくなった。そして悠人が抱きしめていた母親の頭までもが悠人の手から重りが消えて粉々になった。
村の中で形を成しているのは、悠人だけとなった。そこは、数秒前まで魔族に襲われていた村が嘘のようになくなった。
悠人「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
と、母親を無くした少年の無残な金切り声が辺り一面に響いた。

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