海の声

漆湯講義

137.分岐点

「あれなんだろ。」

俺がそう呟くと、美雨が腰に両手を当て『ごめんなさいはッ??そしたら教えてやるッ♪』と口元を緩める。

「ごめんなさい。で、アレ何??」

『ッッぁ、つまんないなぁ!!もっと葛藤しろよぉ。アレは渡し子のセイジ君が儀式を行うお祭りの会場で御座いますッ♪って渡し子やるのにそんなのも知らないのッ??』

「しょーがねぇだろ村長に急に頼まれたんだからさぁ…」

『渡し子って別に貝殻集めくらいしか準備っていう準備ないからしょうがないよ♪誠司くん引っ越してきたばっかりだしさ。』

この差だよ!!俺に優しくしてくれる海美とツンケンした態度のお前とで差ができるワケ!!

『ねぇ!!後であそこ行ってみる??セイジも下見したいでしょ??』


その後俺たちは定食屋へと戻りおじさんが話し終えるのを待つと、俺の家まで送り届けてもらった。
おじさんが去り際に"今日は帰るのか?"とか美雨に言ったせいで、庭の手入れをしていた母さんに"せっかく認めてくれてるみたいなんだから離れたくなくてもちゃんと家まで送ってあげなさいよ♪"とか超ウザい事を言われた。


そして俺たちは一旦部屋へ入り、村長の話をまとめる。

『海美ねぇは何て言ってるの??』

「まだ"どーしよっか"としか言ってねーよ。けどホントどーしよっかだよなぁ…」

『私が思ってる以上にフクザツなんだね。ちゃんと自然は残しつつ"調和のとれた街づくり"だっけ?大人はちゃんと考えてたんだなぁってさぁー…』

「だよなぁー…なんか俺たちの方が何にも考えてなかったってカンジ??」

『この島の為になるのはやっぱりリゾート開発をする方なのかなぁ。』

「ってなっちゃうよねぇ…」

『ッて2人ともストーーッッップ!!話が全く分かりません!!』

「どーすっかなぁーってコトだよっ。」

俺はそう言って大の字に仰向けになった。

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