海の声

漆湯講義

89.考察と閃き

『えっ、なに?』

突然の俺の行動に、美雨の身体が少し強張る。そして俺は美雨の耳元で囁いた。

「海美のこと見えるか?!」

少しの沈黙の後、小さな手が俺の肩を叩いた。

『…………見えないよバカ!!』

そっかぁー…このネックレスのせいじゃないのかぁ…"コレだっ!!"って思ったんだけどなぁー。

「悪い、なんとかできんかった!!」

そう言って俺が美雨に向かって顔の前で手を合わせると『諦めんの早ッッ!!もうちょっとさぁー、粘りを見せろッ粘りをッ!!沖洲の"めかぶ"のほーがよっぽど…』すると美雨の言葉を遮るように笑い声が響いた。

『あはははははッ♪もぅ…やめてッ!!』

海美だ。また海美が目尻に涙を抱えたままお腹を抑えている。

『セイジ聞いてんのッ??』

「いや、聞いてないけど逆に聞いていいか??」

『うにゃ??よく分からんけどなんだょ??』

「もしかして海美ってツボ浅いの??」

『えっ?んー…まぁちょっとしたことで笑うかもしれないけどなっ、どーかしたかぁ??』

「海美が超笑ってんだけどなんでだろ。」

『え…知らない、ボクに聞くなよ。』

笑い転げる海美の姿を呆然と眺める。特に面白いような事は言ってない筈なんだけどな…まぁ楽しそうだしいっか。

美雨はというと、海美の方を見ながら人差し指を唇の下へと押し当てながら何か考えているようだ。

すると突然何かを思いついたように"パチン"と手を叩くと、急に不敵な笑みを浮かべて笑い始めたのだ。

「なに笑ってんだよ、きもちわりーなぁ…」

『ふっふっふっ…セイジくん、ボクは天才かもしれない。』

意味の分からない発言に、美雨の顔色を伺う。…多分おかしくはなってない、と思うけど…


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