僕の日常生活は終わってる。

伊月優

守の学校生活は終わってる。

守はルナや雪との旅行の後、何事もなく(とは言えないが…)日常生活を過ごした。
今日は春休みが終わり、久しぶりの学校である。始業式である。もちろん日菜もだ。二人は一つ上の学年に進級する。
守は今日もドタバタしている朝を過ごしていた。

「ルナ!なんで俺の部屋に朝から裸でいるんだよ。」
「守は怒りっぽいな~、ただ朝風呂が終わったから添い寝しただけだよー。」

そう、守は春休みモードから変えなければいけない。なぜなら春休みモードでいたら間違いなく遅刻するからだ。学校初日から遅刻するのはみっともない。
日菜も朝ごはんを作ったり学校の用意をしたりしなければいけないので休んでいる暇はない。
今日は初めてルナに留守番を頼む。ルナは学校に行かないので暇だ。ルナは基本的に誰かがいないと外には出ないので、家にいる。守達は少し不安であったが、ルナに留守番を任せることにした。
守達は今、朝ごはんを食べている。学校の話をしていた。

「私今日から六年生か。意外と早かったな~小学校生活。」
「おいおい、まだ始まったばかりだろ。そんなこと言うなよ。」

守は日菜の独り言に対して突っ込む。ルナは学校に憧れがあるようだ。ちなみに日本の学校はどんななのかは知らない。

「学校ってそんなに楽しいものなんだ。でも勉強はもちろんするんでしょ?」

ルナの問いに何と返すか若干戸惑った守だが日菜が説明してくれた。

「もちろん勉強はするけどそれだけじゃないよ。友達と休み時間は遊んだり、喋ったり、一緒にご飯も食べられるんだよ。」

楽しそうに言う日菜なのでよっぽど学校生活が充実してるに違いない。
ルナはなるほど~と納得している様子だ。時間を見るとそろそろ学校に行かなくてはいけない時間だ。守は急いで着替え歯を磨き、日菜と一緒に家を出た。

「行ってらっしゃい。守、日菜、私は家で待ってるからね。」
「ルナさん今日はなるべく早く帰るから、帰ったらお昼すぐに作るね。」

そういって守達は家を出た。守の学校は日菜の通ってる小学校の隣の隣にある。意外と近い距離にある。いつも一緒に登校してる。
今日は久しぶりに兄妹二人っきりだ。日菜がこの前の夜何が聞いてきた。

「旅行の後なんだけど…夜なんかあった?次の日守、ルナさんを少し意識してたような……」
「そ…そんなこと……!まあいいよ教えるよ。妹だし。その日の夜ルナにほっぺにキスされた。」

すると守大人だねとからかうように言ってきた。守は顔が赤くなり、日菜の言ったことは聞こえないふりをした。
守も日菜に対して質問した。

「日菜お前もてるんだろ。なんで付き合うとかしないんだ?」
「だって……」

何かを言おうとした日菜だったが、別に守に心配されることではないし!と冷たい態度をわざと取った。
そんな楽しい会話をしているうちに日菜は学校へ着いた。手を振って別れる。すると後ろから、おはようと声をかけられる。日和だ。これで何度目になるかわからないが守は日和のことが好きだ。

「お…おはよう。」

突然のことで恥ずかしくなる守。日和とは中学からの仲である。
話題は随分前にあった、ルナのことに関して聞かれた。

「私たち随分前に店であったよね。その時いた金髪の赤眼の女の子は原野君の友達?」

ルナは金髪赤眼である。これは家族の秘密だが好きな女の子に嘘をつくわけにもいかず正直に話した。

「へ~、なんかごめん…私が知って大丈夫?」

いや大丈夫だよ!とフォローする守。そして学校に着いた。守の今日の楽しみは担任とかではなく、誰とクラスが一緒になるかだった。
もちろん日和とである。学年ごとに掲示してある学年掲示板にクラスが発表されていた。
守は心の中でガッツポーズした。なぜなら日和と一緒だったからである。クラスは二年A組。その最後に転校生と書かれた枠があったのを守は見落としていた。

「一緒のクラスだね。原野君。またよろしくね。」
「よ……よろしく。」

どうしても日和といると恥ずかしくなってしまう守。そしてクラスに入ると早速冷やかしが始まった。
なぜなら守と日和は中学のころからうわさされていたからだ。守は顔を赤くして無視した。隣の席と後ろの席が空いていることに疑問を持っていると、始業式が始まる前に担任が発表され、そのあとに転入生が紹介された。
担任の先生の名前は坪川先生。おじいちゃん先生だ。先生は転入生に声をかける。

「はーい!」
「はい」

守は額にしわを寄せた。二人とも聞き覚えのある声だ。まさか……と思うと本当にそのまさかだ。
何と転校生はルナと小森雪だったのだ。入ってきた瞬間クラスの男子がざわめく、二人とも正直いうとめちゃくちゃ可愛い。自己紹介が始まる。

「こんにちはルナです。私は友達を作るために来ました!あと守の家で暮らしてます。ルナって呼ばれてます。」

そのあと一斉にクラスのみんながこちらを向く。おいおい勘弁してくれよと、泣きそうになる守。不意打ちはまだ続く。

「こんにちは小森雪と申します。原野守はターゲットです。詳しくは教えられませんが、原野守はケダモノです。」

またクラスのみんながこちらを向く。この美少女に何をしたんだという目で。自己紹介が終わり守の精神も崩れ去った。
しかし、ルナは守の隣、小森雪は守の後ろの席に座った。守はそうとう落ち込んでいる。

「よろしくね、守、今日の朝黙っててごめんね。日菜も知ってることだから。」
「原野守学校でも私に何かしたらつぶしますよ。でも安心してくださいこの学校で友達は作る気はありません。ということは何かしてもあなたの敵も増えないということです。友達はルナと日菜で十分です。」

もちろんいい意味で言ったのだろうが守には嫌味にしか聞こえなかった。
校長先生の長い話も終わりあとは帰るだけだ。ホームルームも早く終わらせてくれた。

「守、帰ろう!」

ルナが元気に声をかけてくれた。初めて制服姿のルナを見てしまったのでドキッとする。
雪は早く帰ってしまった後だった。

守は一緒に帰ることにした。下校途中ルナに少し怒りをぶつける。

「なあなんでルナ学校来たんだよ。日本に滞在する気か?」
「うん。」

ルナはあっさりと答えた。ルナにとっては守といる時間も増えてうれしいだろう。守はそれどころではない。楽しいはずの高校二年学校生活は一日で崩れ去ったのであった。
原野家の家に着いた守は考え事しながら歩いてると前のルナにぶつかった。

「きゃ!」
「おわ!」

二人は倒れるがルナのスカートの中に守の顔は入り、手はルナの胸をがっしりつかんでいた。

「ちょ……守!、胸は…だめ…!」

慌てて顔と手を放す守であったがちょうど日菜が返ってきた。そのまま三人は沈黙のまま止まっていた。日菜は空気を読んだのかちょっとだけ家から離れていった。
その時にルナに注意されてしまった。

「もう、守気を付けてよね。キスしてほしいのは下でもないし、胸は感じやすいからあまり触んないでね。」
「え⁉キスしてほしい?」
「な…なんでもない…!」

二人は今まで以上に赤面していた。その光景を日菜はひっそりと見ていたのであった。

「俺の学校生活は終わってるよ。」

嘆く守の叫びは誰にも届かない。まだ守の学校は始まったばかりである。

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