真祖への転生
五年後そして海の支配者?
ミカヅチと別れたミルシェ達はその後、ルナリアの眷属達から次々来る報せから推測して、会えそうな人には会って知識を与え、話しをするを続けていき・・・気がつけば五年の月日が経っていた。
・・・・・・
ミルシェ「ふなりあ、ふいあ?」
吸血鬼の特性なのか相変わらず小さい体躯のミルシェが、最近ポツポツと見るようになった果実を頬張りながらルナリアに問う
ヴァン「お嬢様!食べながら話すのは感心しませんな!」
ルナリア「もごもごしてるお嬢様可愛い!」
ヴァン「ルナリアさん!貴女はお嬢様に対して甘過ぎます!何度も申しますが!従者とは時には主の過ちを正して差し上げる事も重要ですと・・・」
ルナリア「お嬢様、次の目的地は海を渡った先になります!久しぶりにまた、お魚を取って差し上げますね!」
ミルシェ「シャクシャクゴクン、やった!楽しみ!」
ヴァン「・・・お二人共聞いてませんね」
ため息を吐くヴァンを他所に、
はしゃぐミルシェとルナリア
ミルシェ「木も増えて来た事だし!やっと筏を造れるね!私は造れないけど」
ルナリア「そこは任せて下さい!万能メイドの私が直ぐに造りますので!」
~数分後~
ルナリア「お嬢様出来ましたよ!自信作です」
ミルシェ「・・・凄いけどさ、帆の部分の‘’ミルシェお嬢様アイラブユー‘’は余計だよ、外して!」
ルナリア「そんな!この筏の一番のポイントですよ?どうかご再考を!」
ミルシェ「やだよ!恥ずかしいよ!」
ルナリア「大丈夫ですよ!海の向こうにはまだ言葉や文字は伝わって無いでしょうし」
ミルシェ「そう言う問題じゃないの!単純に、い・や・な・の!」
ルナリア「私がお嬢様を思い、愛情を込めて作った筏を、お嬢様は嫌と仰るのですか・・・」
ミルシェ「そう言うのいいから、いい加減にしないと破くよ?」
ルナリア「最近お嬢様は冷たくなられましたね、ルナリアは寂しく存じます」
ミルシェ「いや、結構最初からこうだよね!なに?破いて欲しいの?」
ミルシェは手にマナを溜め、帆へと手を向ける
ルナリア「待って下さい!わかりました!取りますので破くのだけはご勘弁を!」
本気で破こうとしたミルシェを見て、渋々張り替えるルナリア・・・だが後に、小さくなり服となって出てくるのだが、ミルシェが知るのは随分経ってからだった。
ミルシェ「それじゃあ、気を取り直して出発!」
ミルシェの掛け声と共に魔法で風を起こし進み始めた。
~また数分後~
ルナリア「それではお嬢様!お魚を取りたいと思いますが、今回は‘’これ‘’を使って取りたいと思います!」
そう言ってルナリアが取り出したのは、木の先に血鎖を付けた釣竿だった、ルナリアは血鎖の陣を筏のあちこちに置き、いつでも召喚出来るようにしていたのだ。
ミルシェ「なんか、狡い気がする」
ルナリア「血鎖の拘束能力を使わなければ、前世の釣りに感覚は近いと思いますよ?」
ミルシェ「なるほど、それなら大丈夫かな?」
血鎖の先をルアーの形にして、海へ投げ込む
ミルシェ「何が釣れるかな?食べられるのなら良いんだけど」
と言ったのも束の間、直ぐにミルシェの竿が海へと引っ張られる
ミルシェ「早っ!・・・しかもっ、私の、力でも、ひっ、ぱれない!ルナリア!」
ミルシェは自分の力では勝てないと悟り、ルナリアを呼ぶ
ルナリア「では、血鎖を巻き付けましょう」
ルナリアが軽くそう言うと、血鎖が海の中で形状を変え獲物に巻き付く、おかげで抵抗が無くなり、ミルシェは一息吐いてから血鎖を引き始めた
ミルシェ「それにしても重い・・・もしかして魔物とかだったり?」
恐る恐る引いていき、現れたのは・・・胸に貝殻を付け、足の代わりに尾ひれが付いた、そう人魚だった!
ミルシェ「人魚だ」
ルナリア「人魚ですね」
ヴァン「ハァ~、厄介な事にならなければ良いのですが」
人魚はバタバタと暴れて何か言ってるようだった、ミルシェはそれに気付いて、この五年間で覚えた内の一つである翻訳の魔法を使う
人魚「これは何?罠だったの!?」
いまだに混乱している人魚にミルシェは話し掛ける
ミルシェ「私の名前はミルシェ!どう?言葉は通じるかな?」
人魚「言葉がわかるの?・・・もしかして魔法?知性があるって事は・・・貴方達転生者ね!」
ミルシェ「その事がわかるってことは貴女も?あっ、ちなみにこの二人は転生者じゃないよ?私の・・・従者!」
眷属と言うと吸血鬼だとバレるかも知れない、そして彼女の前世によっては、吸血鬼が悪かも知れない・・・そう思い、二人が眷属と言うのは取り敢えず黙っておくことにした、そしてその事を二人にも話しておいた。
ミルシェ(二人共、わかった?)
ヴァンとルナリアはミルシェに念話でそれぞれ了承の旨を伝える
人魚「(なにかしら?・・・まぁ良いわ)そうよ!私も貴女と同じ転生者!前世は平凡なマーメイドだったけど!今世は始まりのマーメイド!つまり!海の支配者と言う事よ!・・・だから早くこの変なのを外しなさい無礼者!」
ミルシェ(あちゃ~、厄介な人魚さんだったよ・・・どうする?)
ルナリア「(お嬢様、お任せを)どうも、私はお嬢様の従者で名前はルナリアと申します、まずはお名前をお伺いしても?」
そう言いつつ、ルナリアは拘束を解く
マーメイド「ふぅ、ありがとう・・・私の名前はマールーシャ・オーシャンよ、前世ではルーシャって呼ばれてたわ」
ミルシェ(あれ?普通!もっと上から来ると思ったのに)
ヴァン(お嬢様、彼女は修羅場を経験した事があるのでしょう、ルナリアさんの力量を直ぐに察知し、警戒しているようです)
ミルシェ(へ~!ルーシャって強い?)
ルナリア「ではルーシャ様、この度は大変失礼致しました」
そう言うとルナリアとヴァンは頭を下げる
ルナリア「実は、とある‘’強い魚類の魔物‘’を捕まえようとしていて、‘’特殊‘’な魔法の糸を使っていたんです、近付いた‘’強い‘’者に絡み付くと言う性質を持っていたので(嘘)お強いルーシャ様を‘’勘違いして‘’捕らえてしまったみたいなのです」
ミルシェ(うわぁ~、ごり押す気だ)
ルーシャと名乗るマーメイドを何とかやり過ごす事に決めたルナリアは、吸血鬼と言うことをぼかしつつ、ルーシャをおだて、気分良く帰って貰おうと考えたのだった。
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