音の魔術師 ――唯一無二のユニーク魔術で、異世界成り上がり無双――

ふぁいぶ

第一話 俺は死んじまった

「残念ですが、貴方は亡くなりました」

 唐突だな、おい!!
 ってか、ここは何処だよ?
 俺は確か、仕事場で作業をしていたはずだ。
 そうだよ、今度のCMに合う曲を作ってくれという依頼で、その曲が完成した所だったんだ。
 そんなタイミングで俺は死んだのかよ!

「はい。七十二時間不眠不休の上、食事も取らずに作曲に没頭。完成して気を抜いた瞬間に心肺停止しました」

 えっ、俺はそんな無茶をしていたのか!!
 いやぁ、気付かなかったわ。
 俺は集中すると周りが見えなくなって、完成するまでテコでもその場を動かなくなるからな。
 あぁ、そりゃ死んでも仕方ないわ。
 三十五歳で命を終えたか、短いか長いかわからんなぁ。
 まっさか、童貞のまま死ぬとは……。

 そうだ、あんた誰よ?

「私は死後を司る女神です」

 まぁ大層ベッピンな女神様だな。
 金髪のふわふわロングヘアーだし、スタイルもまさに神がかっているしな。

「そんな……ありがとうございます」

 女神様照れたよ!
 かっわいいねぇ!!

「ごほん! さて、貴方は亡くなられてしまい、次の生を決めなくてはいけません」

 あっ、そうなんだ。
 輪廻転生って言葉があるが、本当だったのね。
 でさ、どうやって決めるのさ。

「はい、貴方が生前に行った行動をポイント化し、それを元に来世を決めます」

 俺の行動がポイント化かぁ。
 怖くもあり、ちょっと楽しみでもあるなぁ。

「では、まず貴方のポイントを発表しましょう」

 おおぅ、女神様の後光が半端なく輝く。
 眩しい、マジ眩しい!

「貴方のポイントは…………」

 俺の、ポイントは?

「四捨五入して、560000ポイントです」

 おおっ!
 ……って、それは多いの?

「かなり多い部類でしょう。基準としてはどれだけ世の中の為に行動したかです。貴方は作曲家として、ネット上でも企業でも多数の楽曲を発表しました。それらは人の心を豊かにし、企業の商品イメージを良くした物でした」

 ……何だろう、神様にそう言われるとすっげぇ嬉しいな。
 そっか、俺の楽曲は世の中に役に立ってたか。

「マイナスポイントとしては、伴侶を持たなかった事ですね」

 はいはいはいはい!
 どうせ俺は童貞ですよ!
 わるぅござんしたね!!
 しかたねぇじゃん、作曲が楽しくて仕事してたら、女っ気全くなくなったんだしさ。

「伴侶を持っていたら、プラス10000ポイントでした」

 何気に高いな!
 そっか、相手を幸せにしていたら、そのポイントが付いたんだろうな。
 まぁいいや!
 女神様、このポイントでさっさと来世を決めたいから、システム教えてくれよ。

「……ポジティブですね。大抵の方はまだ死を受け止めきれずに嘆いているのですが……」

 だって死んじまったら仕方ないじゃん。
 でもご丁寧に来世を用意してくれてるんだから、落ち込んでいるのも勿体ないべ?
 ならさっさと俺は来世へと旅立ちたい訳よ。

「面白い方ですね、貴方は」

 おう、取引相手にもよく言われたわ、その言葉!
 じゃあ簡潔にシステム説明よろしく!

「では説明します。まず貴方は手持ちのポイントで『来世の世界』、『人種・才能・技能』、『特殊能力』を購入します。それが確定し次第、来世へと旅立っていただきます」

 非常に分かりやすいな!
 じゃあちゃちゃっと進めようぜ!

「それではまず、『来世の世界』をこのリストの中から選んでください」

 俺の目の前に、半透明なウィンドウが表示される。
 おお、近未来っぽい!
 どれどれ?
 えっと、『貴方が住んでいる現実世界』。つまり前と同じだろう? じゃあそれは却下。
 次は、『文明が発達していない、原始的な世界』かぁ。これも無しだな。
 でっと、『剣と魔法が溢れた、スリリングな世界』!
 これだよこれ! 待ってました!
 ポイントは100000ポイントって結構高いなぁ。でも、これしかない!
 他の世界もまだ選べるが、いいや!
 はい、購入っと!

「次に、『人種・才能・技能』を選んでいただきます」

 次のウィンドウが表示されたな。
 さてと、人種の欄には人間、獣人、魔族、エルフ、ドワーフとあるな。
 迷わず人間だな。ポイントとしては100000ポイント。やけに人間高いな
 って思ったが、他の方がのきなみ高い。魔族なんて250000ポイントだし、エルフに関しては500000ポイントだ!
 まぁきっとこれらは長生きだからだろうな!
 俺はそんなに長く生きたくないし、人間で丁度いい。

 才能に関しては……うっわ、いっぱいありすぎて読むの疲れるな。
 おっ、才能に『ハーレム王の才能』がある!
 こういう転生ものの定番はハーレムっしょ!
 さって、購入……しようと思ったが、ポイントが10000ポイント足りなかった。
 ちっくしょう!!
 何で俺は、童貞を捨ててなかったんだよぉ……。
 この10000ポイントって、伴侶がいればピッタリだったのによぉ。
 あぁ、気持ちを切り替えて次のを探すぞ!

 ……おっ?
 これ、『前世の記憶をそのままそっくり引き継ぐ』か……。それ、才能?
 まぁ細かい事はいいや。で、ポイントは100000かぁ。
 前世の記憶を引き継ぐのは相当メリットだな、うん、これにしよう!
 はい、購入。

 そして技能か。
 これまたたくさんありますなぁ。
 ざっと流し見してたら、目に止まったのが『美声』だった。
 60000ポイントじゃん!
 俺、相当ダミ声だったしなぁ。ボーカルソフトだったり、歌い手活動している人に依頼してたんだよな。
 これも購入だ!

 さて、残りポイントは200000ポイントだな。
 おっ、技能はもう一つ選べるのか!
 どれにしようかなぁ?
 ……おっ、『剣と魔法の成長率特大アップ』か!
 いいねいいね、異世界で成り上がれそうじゃねぇか、俺!
 ポイントは100000か、思ったより安いな。
 では、購入っと。

 そいじゃ、最後の特殊能力だなぁ。
 どういうのがあるかなぁ?
 えっと、『魔力無尽蔵』とか『不死身(制限あり)』とか『千里眼』ってのがあるなぁ。
 う~ん、何か違うな。
 他にいいのないかなぁ~?

 ん?
 何だ?
 『貴方の前世を反映した、貴方だけのユニーク魔術(どういう効果かは生まれ変わってからのお楽しみ)』?
 何だろう、この限定感を全面に出した特殊能力! しかもギャンブル性強くないか、これ!
 しかし俺だけしか使えない魔術かぁ、それ、すっげぇいいじゃん!!
 これまた100000ポイントで購入できる!
 ちょうど使い切る、無駄のない買い物じゃないか!
 はい、購入。

 よし、女神様、全部決め終わったぜ?

「……」

 女神様?

「普通、こういうのは私と話しながら決めません?」

 そうなの?
 俺は俺の直感を信じているタイプだからな、他人に左右されたくないんだよね。

「……まぁいいでしょう。また会うとしたら、亡くなった時ですから」

 ……物騒な事言うなぁ。
 まぁ女神様に会うのは、随分先になるように頑張るよ。

「そう祈ります。では最後に注意点です。確かにポイントで貴方は才能などを購入しましたが、貴方の行動次第でさらに才能に磨きはかかりますし、逆に腐りもします。つまり活かすも殺すも貴方次第です」

 ……なるほどね。
 全て上手くいったらつまんねぇもんな!
 でもま、これだけ良いアドバンテージ貰ってるんだし、来世では有効に使わせてもらうぜ。

「よい心掛けです。では、思い残す事がなければ、来世へ旅立ちますか?」

 ん~。
 俺が最後に作った曲をクライアントに送りたかったけど、無理だよなぁ。

「……申し訳ありません、貴方はすでに亡くなっているので難しいです」

 いやいや、女神様が謝る事じゃないさ。
 俺の不摂生が原因だし、自業自得さ。
 ならしゃぁない、来世へ旅立つよ。

「では、よい来世を……」

 ああ、サンキューな、女神様!

「音の魔術師 ――唯一無二のユニーク魔術で、異世界成り上がり無双――」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く