勇者な俺は魔族な件
第二十一話 冒険者の『昇級制度』
「この冒険者の昇級制度、酷すぎじゃね?」
「「……は?」」
という俺の言葉に、デルドニとベレドニの二人が目を点にする。
ところ変わって飲食店。
今日は少し早めの夕食にしようという提案で、俺たちは食事を摂ることにしていた。
流石に俺のこの格好だと追い出されるかもしれないので、適当な露店で購入した青色のローブを羽織っている。
また黒髪でもある為、今現在もフードをすっぽりとかぶっている状態だ。
傍から見たら不審者にしか思えないが、勘弁して欲しい。
そんな注文した料理を待っている中、先程もらった冒険者のマニュアル本もどきを読んでいた俺は、バンッという効果音がなりそうな勢いで二人に見せる。
「『一ヶ月に一度昇格試験が行われ、それに合格すると、次のランクに昇級する事ができる』……いや、普通じゃないっすかね?」
「いやいや、そこじゃねえよ。その下だよ」
俺が注目したのはこっちだ。
指を差した先には、『ただし推薦人がいれば、その推薦人と同じ階級の昇級試験を受けることができる』という一文。
「つまりは一気に昇級できるってことだろ? しかも一ヶ月に一度なんていう定期的じゃなくて」
「あー、そういえばありましたねえ、そんな制度」
ポリポリと頬をかくデルドニ。
何故そこまで冷静なのか、よくわからないが……とにかくこの制度のせいで酷すぎるんだ、いい方向に。
「どんだけガバガバな制度なんだよ。ということは、俺はSSS級を最短で一ヶ月で取れることになるんだぞ?」
と、少し興奮気味に話すが、デルドニとベレドニの反応は薄かった。
「ないない、いくら兄貴が強かろうとそんな推薦してくれる奴なんて」
「いいですかい、兄貴。上の連中は自分より強くなりそうな奴をわざわざ持ち上げたりしやせんよ」
「あと、知ってますか? 自分のランクの上のクエストは受けることができない、ということを」
「つまりっすね。もし兄貴がSSS級の強さを持っていても、SSS級の魔獣に挑むことができないってことなんすよ。つまり、F級の兄貴じゃせいぜいD級並の強さしか見せつけることができないってことなんす」
「それに、こう言っちゃなんですが……多分、兄貴のその格好で好んで推薦してくれる奴なんてそうそういませんよ? むしろ、敵対するんじゃないんですか」
という二人の総反撃。
なるほど、確かにそう考えると推薦による昇級制度はそこまで酷くなく、大抵の人は一ヶ月に一度の昇級試験でコツコツとやっていくだろう。
……だがな、俺は違う。
「自分の階級以上の魔族に挑むことができない? 周りは敵対している? ……いやいや、あるんだよ、それが」
「……どういうことですか?」
と、タイミングを見計らったように真っ白なエプロンを着た女性店員が頼んでいた料理を運んでくる。
この二人、貯金は結構しているらしかったので少し贅沢して多めに頼んでおいた。
よく考えれば、この世界の料理を食べたことがないからな。
俺はメインディッシュと呼ばれるべき圧倒的な存在感を放つ豚の丸焼きのようなものにナイフを使って一口サイズ分の肉に切り分ける。
それをフォークで突き立てると、実にいやらしい笑みを浮かべながら口に運ぶ。
「今からその方法を説明してやる」
* * *
その後、近くの木造建築となっている宿屋に泊まることにした。
一泊で一部屋銅貨一枚、二部屋なので銅貨二枚は果たして高いのかどうかわからないが。
デルドニとベレドニが何も言わないのでぼったくりというわけではないのだろう。
で、空いている部屋は二つしかないので二人ずつに分かれることにしたのだが……。
「兄貴が姉御と一緒の部屋ですか!?」
「なんだ、何か問題か?」
という俺の言葉に、デルドニとベレドニは頭を抱える。
「問題というか、なんというか……」
「兄貴って、時々悪いことを企むような顔するし……」
「「姉御を襲いそう」」
二人揃って、なんてことを言うんだ。
「実際にシーナを襲った変態どもに言われたくないな」
「ちょっと待ってください兄貴! 変態『ども』って、あの時俺は何もしてませんよ!?」
デルドニが何か喚いているが気にしない。
とにかく、俺がシーナを襲うことは断じてあり得ないのだ。
「シーナ、それでもいいよな?」
「……えっ? ああ、はい。アズマくんがそう言うのであれば」
と、ボーッとしていたのか、シーナは遅い反応を返す。
まだ『シーナ』って名前に慣れてないのか?
「というわけだ。もう眠いから、寝かせてくれ」
「まあ、わかりました……」
「姉御がそう言うのなら……」
何故か割り切れない顔をする二人。
どうも信用されてないらしい。
受付から貰った鍵に書かれている部屋番号を確認し、シーナを連れて移動する。
「「……は?」」
という俺の言葉に、デルドニとベレドニの二人が目を点にする。
ところ変わって飲食店。
今日は少し早めの夕食にしようという提案で、俺たちは食事を摂ることにしていた。
流石に俺のこの格好だと追い出されるかもしれないので、適当な露店で購入した青色のローブを羽織っている。
また黒髪でもある為、今現在もフードをすっぽりとかぶっている状態だ。
傍から見たら不審者にしか思えないが、勘弁して欲しい。
そんな注文した料理を待っている中、先程もらった冒険者のマニュアル本もどきを読んでいた俺は、バンッという効果音がなりそうな勢いで二人に見せる。
「『一ヶ月に一度昇格試験が行われ、それに合格すると、次のランクに昇級する事ができる』……いや、普通じゃないっすかね?」
「いやいや、そこじゃねえよ。その下だよ」
俺が注目したのはこっちだ。
指を差した先には、『ただし推薦人がいれば、その推薦人と同じ階級の昇級試験を受けることができる』という一文。
「つまりは一気に昇級できるってことだろ? しかも一ヶ月に一度なんていう定期的じゃなくて」
「あー、そういえばありましたねえ、そんな制度」
ポリポリと頬をかくデルドニ。
何故そこまで冷静なのか、よくわからないが……とにかくこの制度のせいで酷すぎるんだ、いい方向に。
「どんだけガバガバな制度なんだよ。ということは、俺はSSS級を最短で一ヶ月で取れることになるんだぞ?」
と、少し興奮気味に話すが、デルドニとベレドニの反応は薄かった。
「ないない、いくら兄貴が強かろうとそんな推薦してくれる奴なんて」
「いいですかい、兄貴。上の連中は自分より強くなりそうな奴をわざわざ持ち上げたりしやせんよ」
「あと、知ってますか? 自分のランクの上のクエストは受けることができない、ということを」
「つまりっすね。もし兄貴がSSS級の強さを持っていても、SSS級の魔獣に挑むことができないってことなんすよ。つまり、F級の兄貴じゃせいぜいD級並の強さしか見せつけることができないってことなんす」
「それに、こう言っちゃなんですが……多分、兄貴のその格好で好んで推薦してくれる奴なんてそうそういませんよ? むしろ、敵対するんじゃないんですか」
という二人の総反撃。
なるほど、確かにそう考えると推薦による昇級制度はそこまで酷くなく、大抵の人は一ヶ月に一度の昇級試験でコツコツとやっていくだろう。
……だがな、俺は違う。
「自分の階級以上の魔族に挑むことができない? 周りは敵対している? ……いやいや、あるんだよ、それが」
「……どういうことですか?」
と、タイミングを見計らったように真っ白なエプロンを着た女性店員が頼んでいた料理を運んでくる。
この二人、貯金は結構しているらしかったので少し贅沢して多めに頼んでおいた。
よく考えれば、この世界の料理を食べたことがないからな。
俺はメインディッシュと呼ばれるべき圧倒的な存在感を放つ豚の丸焼きのようなものにナイフを使って一口サイズ分の肉に切り分ける。
それをフォークで突き立てると、実にいやらしい笑みを浮かべながら口に運ぶ。
「今からその方法を説明してやる」
* * *
その後、近くの木造建築となっている宿屋に泊まることにした。
一泊で一部屋銅貨一枚、二部屋なので銅貨二枚は果たして高いのかどうかわからないが。
デルドニとベレドニが何も言わないのでぼったくりというわけではないのだろう。
で、空いている部屋は二つしかないので二人ずつに分かれることにしたのだが……。
「兄貴が姉御と一緒の部屋ですか!?」
「なんだ、何か問題か?」
という俺の言葉に、デルドニとベレドニは頭を抱える。
「問題というか、なんというか……」
「兄貴って、時々悪いことを企むような顔するし……」
「「姉御を襲いそう」」
二人揃って、なんてことを言うんだ。
「実際にシーナを襲った変態どもに言われたくないな」
「ちょっと待ってください兄貴! 変態『ども』って、あの時俺は何もしてませんよ!?」
デルドニが何か喚いているが気にしない。
とにかく、俺がシーナを襲うことは断じてあり得ないのだ。
「シーナ、それでもいいよな?」
「……えっ? ああ、はい。アズマくんがそう言うのであれば」
と、ボーッとしていたのか、シーナは遅い反応を返す。
まだ『シーナ』って名前に慣れてないのか?
「というわけだ。もう眠いから、寝かせてくれ」
「まあ、わかりました……」
「姉御がそう言うのなら……」
何故か割り切れない顔をする二人。
どうも信用されてないらしい。
受付から貰った鍵に書かれている部屋番号を確認し、シーナを連れて移動する。
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