恋愛サバイバル〜卒業率3%の名門校〜
氷室辰巳の選択~名門校の秘密~3
「習志野が『特待生』だと…?」
予想を上回る酒々井の発言に、驚きを隠しきれない。
周りを見ると、葛西や市川も同じように少なからず動揺しているように見える。
「ははっ!いいねぇ、君達のそのリアクション。その通り!今年度の『特待生』は僕と習志野さんの二人なんだよ」
動揺する俺達を見て楽しそうにネタばらしをする酒々井。
俺は動揺を抑え、ほぼ無意味だと思いつつも、当の本人に確認する。
「習志野、こいつの言ってるこては本当なのか?」
「…はい…すみません…」
質問に対し、習志野は伏し目がちで、申し訳なさそうにしながら頷く。
その姿が何よりも酒々井の発言が真実だと告げている。
「おやおや?もしかしてこれは修羅場になっちゃうのかな?ははっ!そりゃあそうだよね。こんな重大な話、ずっと隠してたんだからさ」
「黙れ」
「あー、怖い怖い。ちょっと痛いところ突いたらこれだよ。ホント勘弁してほしいよねぇ」
――ダメだ。このままだとコイツのペースに乗せられる…。 とりあえず冷静になれ。
そう自分に言い聞かせ、パンと両手で自分の頬を叩き、一度深く深呼吸。
「悪いな。少し取り乱した。――酒々井、お前の話を聞く限りだと、必ずしもお前に習志野を差し出さなくてもいいと思うんだが?」
「そうだね。さすが無駄に鋭いところがあることに定評のある氷室君だ!君の言うとおり、場合によっては僕は習志野さんを諦めざるを得ない。――例えば、僕が退学になっちゃった場合とかね」
酒々井はそう言って、ニヤリと笑う。俺の発言が、予定通りだと言わんばかりに…
「ちょっと!それなら話は簡単じゃない!」
皆の視線が口を開いた市川に集まる。
「こいつを退学にすればいいっていうなら私達は何もする必要ないじゃない。――だって、習志野さんがこいつをフればそれで終わりでしょ?」
市川は勝ち誇った表情で笑みを浮かべる。
この学校の校則の一つ『告白してフられたら退学』。
市川の言うとおり、酒々井が習志野をパートナーにするには自分から告白するか、習志野からの告白を待つしかない。
習志野からの告白がない以上、酒々井の告白を習志野が断ってしまえば、酒々井は退学になり終了。それで解決になる。
しかし……
「ははっ!市川さんは勉強はできてもこういうところで頭が回らないよね。――勿論、習志野さんが僕をフるなんてあり得ないよ。彼女とはそういう契約を結んでるからね。――習志野さん、この頭の悪い巨乳に説明してやってくれない?」
「ちょ、誰が頭の悪い巨乳よ!」
市川の考えは案の定、酒々井に一蹴され、代わりに習志野が口を開く。
「じ、実は…私がこの学校に入れたのは、酒々井くんの、おかげでして……。その時の条件の一つに『習志野栞は酒々井秀の告白を断ってはならない』っていうものが…」
習志野が弱々しく説明する。
「まぁ、要するに、当時既に特待生に内定していた僕の力で習志野さんを入学させてあげたってこと。その時の交換条件で習志野さんは僕からの告白を断れないってこと」
「ちょっと、何でただの生徒のあんたに習志野さんを入学させるか決められるのよ!?」
「いやいや、だからさっきから言ってるじゃん。僕は“ただの生徒”じゃなくて“特待生”。この学校の特待生ならこんなことくらい楽勝だよ」
「うそでしょ…」
酒々井の言葉に市川が絶句する。
――この学校が言う『バックアップ』はこんなことまでやってくれるのか…?いや、いくらなんでも…
「あ、そうだ!氷室君、どうしても習志野さんを渡したくないっていうなら、勝負してあげてもいいんだよ。勿論退学を賭けた勝負ね」
「勝負だと…?」
考え事の最中の突然の提案にも、俺は割と冷静だった。
最初に話しかけられた時から何となくこうなる気はしていたから…。
しかし……
「そうそう。勝てば僕はいなくなるし、君はこれからも習志野さんと一緒にいられる。逆に負ければ君は退学。僕は習志野さんとペアを組ませてもらう」
俺と酒々井が勝負……。過去の惨敗した記憶が蘇り、嫌な汗が流れるのが分かる。
「うーん、でもそれだけじゃつまらないなぁ…。そうだ!勝ったら相手の進路を決められるってので行こう!!これは面白い!!」
さらに酒々井の思い付きにより、条件が追加。
――負けたらコイツの言いなりだと…?
「ちなみに僕が勝ったら君は僕の使用人ね。僕が習志野さんと結婚したらドロドロの修羅場になりそうだよね!楽しみだなぁ♪」
酒々井は俺の様子に気付いてか、さらに煽ってくる。
「あぁ、でも確か君とは中学の時にもやり合って、びっくりするほどあっさりと勝っちゃったんだっけ。――そうだなぁ。それじゃあ、ハンデとして今回はそこの4人で協力するといいよ。その方が僕も少しは楽しめそうだしね」
勝負を受けたとして俺はこいつに勝てるのか?こいつには学校側の支援もあるんだぞ?
いや、そもそも支援かなくても勝てる可能性の方が低い。
「まぁ、勝負したいならいつでも言ってよ!僕に勝てると思うなら、だけど」
――ダメだ…。全く勝てる気がしない…。
自分の無力さ、そして何より酒々井にビビりまくっている自分のメンタルの弱さに唇を噛み締める。そうだ。
「おい、辰巳君!!」
「ちょっと、氷室君!?」
「お、おう!」
葛西と市川に呼ばれ、はっと顔を上げる。
気付けば、俺は勝手に話し続ける酒々井に俺は何一つ言い返せずに固まってしまっていた。
「うーん、氷室君悩んでるみたいだし、返事はまた今度でいいよ。――あ、でも、勝負するなら早めにお願いね。僕、飽きっぽいからさ」
俺のそんな様子にニヤリと笑うと、踵を返して去ろうとする。
「おい!待て!まだ話しは終わってねぇぞ!!」
まだまだ聞いとかなきゃいけないことが山ほどある。
「あぁ、僕もそろそろ帰りたいし、また今度ね。――そうだ!急ぎだったらさっきからそこで覗いている人に聞くといいよ!ね、先生?」
酒々井の視線の先に目を向けると、そこには……
「「「大井先生!?」」」
そこには、我らが担任が立っていた。
予想を上回る酒々井の発言に、驚きを隠しきれない。
周りを見ると、葛西や市川も同じように少なからず動揺しているように見える。
「ははっ!いいねぇ、君達のそのリアクション。その通り!今年度の『特待生』は僕と習志野さんの二人なんだよ」
動揺する俺達を見て楽しそうにネタばらしをする酒々井。
俺は動揺を抑え、ほぼ無意味だと思いつつも、当の本人に確認する。
「習志野、こいつの言ってるこては本当なのか?」
「…はい…すみません…」
質問に対し、習志野は伏し目がちで、申し訳なさそうにしながら頷く。
その姿が何よりも酒々井の発言が真実だと告げている。
「おやおや?もしかしてこれは修羅場になっちゃうのかな?ははっ!そりゃあそうだよね。こんな重大な話、ずっと隠してたんだからさ」
「黙れ」
「あー、怖い怖い。ちょっと痛いところ突いたらこれだよ。ホント勘弁してほしいよねぇ」
――ダメだ。このままだとコイツのペースに乗せられる…。 とりあえず冷静になれ。
そう自分に言い聞かせ、パンと両手で自分の頬を叩き、一度深く深呼吸。
「悪いな。少し取り乱した。――酒々井、お前の話を聞く限りだと、必ずしもお前に習志野を差し出さなくてもいいと思うんだが?」
「そうだね。さすが無駄に鋭いところがあることに定評のある氷室君だ!君の言うとおり、場合によっては僕は習志野さんを諦めざるを得ない。――例えば、僕が退学になっちゃった場合とかね」
酒々井はそう言って、ニヤリと笑う。俺の発言が、予定通りだと言わんばかりに…
「ちょっと!それなら話は簡単じゃない!」
皆の視線が口を開いた市川に集まる。
「こいつを退学にすればいいっていうなら私達は何もする必要ないじゃない。――だって、習志野さんがこいつをフればそれで終わりでしょ?」
市川は勝ち誇った表情で笑みを浮かべる。
この学校の校則の一つ『告白してフられたら退学』。
市川の言うとおり、酒々井が習志野をパートナーにするには自分から告白するか、習志野からの告白を待つしかない。
習志野からの告白がない以上、酒々井の告白を習志野が断ってしまえば、酒々井は退学になり終了。それで解決になる。
しかし……
「ははっ!市川さんは勉強はできてもこういうところで頭が回らないよね。――勿論、習志野さんが僕をフるなんてあり得ないよ。彼女とはそういう契約を結んでるからね。――習志野さん、この頭の悪い巨乳に説明してやってくれない?」
「ちょ、誰が頭の悪い巨乳よ!」
市川の考えは案の定、酒々井に一蹴され、代わりに習志野が口を開く。
「じ、実は…私がこの学校に入れたのは、酒々井くんの、おかげでして……。その時の条件の一つに『習志野栞は酒々井秀の告白を断ってはならない』っていうものが…」
習志野が弱々しく説明する。
「まぁ、要するに、当時既に特待生に内定していた僕の力で習志野さんを入学させてあげたってこと。その時の交換条件で習志野さんは僕からの告白を断れないってこと」
「ちょっと、何でただの生徒のあんたに習志野さんを入学させるか決められるのよ!?」
「いやいや、だからさっきから言ってるじゃん。僕は“ただの生徒”じゃなくて“特待生”。この学校の特待生ならこんなことくらい楽勝だよ」
「うそでしょ…」
酒々井の言葉に市川が絶句する。
――この学校が言う『バックアップ』はこんなことまでやってくれるのか…?いや、いくらなんでも…
「あ、そうだ!氷室君、どうしても習志野さんを渡したくないっていうなら、勝負してあげてもいいんだよ。勿論退学を賭けた勝負ね」
「勝負だと…?」
考え事の最中の突然の提案にも、俺は割と冷静だった。
最初に話しかけられた時から何となくこうなる気はしていたから…。
しかし……
「そうそう。勝てば僕はいなくなるし、君はこれからも習志野さんと一緒にいられる。逆に負ければ君は退学。僕は習志野さんとペアを組ませてもらう」
俺と酒々井が勝負……。過去の惨敗した記憶が蘇り、嫌な汗が流れるのが分かる。
「うーん、でもそれだけじゃつまらないなぁ…。そうだ!勝ったら相手の進路を決められるってので行こう!!これは面白い!!」
さらに酒々井の思い付きにより、条件が追加。
――負けたらコイツの言いなりだと…?
「ちなみに僕が勝ったら君は僕の使用人ね。僕が習志野さんと結婚したらドロドロの修羅場になりそうだよね!楽しみだなぁ♪」
酒々井は俺の様子に気付いてか、さらに煽ってくる。
「あぁ、でも確か君とは中学の時にもやり合って、びっくりするほどあっさりと勝っちゃったんだっけ。――そうだなぁ。それじゃあ、ハンデとして今回はそこの4人で協力するといいよ。その方が僕も少しは楽しめそうだしね」
勝負を受けたとして俺はこいつに勝てるのか?こいつには学校側の支援もあるんだぞ?
いや、そもそも支援かなくても勝てる可能性の方が低い。
「まぁ、勝負したいならいつでも言ってよ!僕に勝てると思うなら、だけど」
――ダメだ…。全く勝てる気がしない…。
自分の無力さ、そして何より酒々井にビビりまくっている自分のメンタルの弱さに唇を噛み締める。そうだ。
「おい、辰巳君!!」
「ちょっと、氷室君!?」
「お、おう!」
葛西と市川に呼ばれ、はっと顔を上げる。
気付けば、俺は勝手に話し続ける酒々井に俺は何一つ言い返せずに固まってしまっていた。
「うーん、氷室君悩んでるみたいだし、返事はまた今度でいいよ。――あ、でも、勝負するなら早めにお願いね。僕、飽きっぽいからさ」
俺のそんな様子にニヤリと笑うと、踵を返して去ろうとする。
「おい!待て!まだ話しは終わってねぇぞ!!」
まだまだ聞いとかなきゃいけないことが山ほどある。
「あぁ、僕もそろそろ帰りたいし、また今度ね。――そうだ!急ぎだったらさっきからそこで覗いている人に聞くといいよ!ね、先生?」
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