恋愛サバイバル〜卒業率3%の名門校〜
決着…しかし…
「よし、お前ら、全員集まってるな。」
数分後、集まった生徒達を見渡す大井先生。
「まぁ、いない奴もいるが…まぁいいだろ。ほとんど、もうこの学校で会うことのない連中だしな。」
恐らく退学した連中だろう。あの屋上にいた男子3人とその男子のペアの女子3人がいない。
そして、もう一人…
(あいつもいねぇんだよな…。)
いつも軽薄な態度でちょっかいを出してくる男――葛西寛人もいないのだ。
(まさか俺達に退学にさせられることを察してここに来なかったのか…?)
あいつの悔しがる顔は見たかったが、仕方ない。あいつがいようが、いまいがあいつらのペアを潰すことに変わりはない。
ふと、隣にいる習志野を見ると、どこか複雑そうな顔をしていた。
――多分、自分がフッた相手に罪悪感でも感じてるんだろうな…。
「他人を蹴落とすのに罪悪感とか迷いを感じるんならこれ以上は止めとけ。――そういう役は俺みたいな奴に任せとけばいいんだよ。」
俺は習志野の頭に手をやり、自分なりに励ましの言葉をかけてやる。
「ありがとうございます…。でも大丈夫です。確かに私が退学に追い込んだ人達には罪悪感がないわけでもないですが、やっぱり私にとってはたっくんが一番です!これくらいのことで落ち込んでなんていませんよ。」
そう言って笑顔で返すが、どこかその笑顔は無理しているような気がした。
(まぁ、元々こいつは駆け引きとか他人を蹴落とすことに向いてる性格じゃないしな…。今後はできるだけこいつを直接手を下す役割から遠ざけないとな…。)
習志野の笑顔を見て俺は改めて決意した。
「それじゃあ、さっさと結果発表するぞ!今回のオリエンテーション第一位は――」
先生が順番に順位と点数を読み上げていった。
結局、俺達が葛西・市川組を逆転してから順位は変動なく、結果は変わらなかった。
一位 氷室・習志野組(3185点)
二位 葛西・市川組(2058点)
三位 多摩川・南組(1540点)
――まぁ、そりゃそうだろう。さすがにあそこから1000点差を逆転するなんて不可能だ。まぁ、それでも不安がなかったわけじゃないが…。
葛西がこの場にいないことを不気味に感じ、『もしかしたら…』という不安があったものの、どうやらその心配は杞憂に終わったらしい。
俺は予想通りの結果に終わり安堵の表情を浮かべた。
「それじゃあ、約束通り、トップの氷室・習志野ペアには好きなペアから好きなだけポイントを奪う権利を与える。――お前ら、好きなペアを指名しろ。」
先生は俺達の方へと視線を向ける。
――俺達の答えは決まっている。
俺は隣の習志野の方を見ると、彼女は黙って頷く。
一瞬、俺の視界に唇を噛みしめて俯いている市川が映ったが俺の選択は変わらない。
「俺達が選ぶペアは――」
ガラガラ
しかし、俺の宣言は途中で遮られた。俺が口を開いた瞬間、教室の扉が開かれたのだ。
「すみません、先生。遅くなりました~!」
そして入ってきた人物は軽い調子で挨拶した。
「――葛西!!」
葛西寛人は余裕の表情を浮かべながらスタスタと歩いていく。
「どうしたんだい、凛ちゃん?そんな泣きそうな顔して?」
「別に泣いてない!……あなた、今までどこ行ってたのよ…?」
葛西は市川の下へ行くと悔しそうで今にも泣きだしそうな彼女の頭を撫で励ます。
「葛西、遅れてくるとはいい度胸だな。」
「いやぁ、すみません。思ったより時間がかかってしまって。」
「フン。まぁ、遅れるかもしれんと報告は受けてたしな。それに。お前に罰則を与えることもできるが、そのままにしておいた方が面白そうだ。」
「ありがとうございます。」
先生は不敵に笑い葛西の遅刻を不問とした。
そして、自分の席に戻る葛西もまた、ニヤリと笑った。
「それじゃあ、気を取り直して罰を受けるペアの発表だ。」
「…俺達がポイントをいただくペアは――葛西・市川ペアだ。」
ペアの指名が終わり、他の生徒達からは安堵感が広がった。
「なるほど。それじゃあ、氷室と習志野。お前らはこいつらから何ポイント奪うんだ?」
ふと、葛西の方を見やると、やはり余裕の笑みを湛えている。
――なんだ?勝負は完全に俺達の勝ちで終わったはずだ。こいつは一体何を企んでる…?
俺はその笑みに警戒心を強める。だが…
――ここまできて引けるかよ!
「葛西・市川組からこいつらの全ポイント――2906ポイント奪う!」
俺は葛西・市川組のポイントが記載された生徒端末の画面を見せつけて宣言した。
教室中がざわめく。
「わかった。それでは葛西・市川組から2906ポイントを氷室・習志野組に移動させる!」
先生がそう宣言すると、端末が更新された。
氷室・習志野組 6091ポイント
葛西・市川組 0ポイント
――よし、どうやら葛西の表情はブラフだったらしいな…。これで葛西と市川は退学だ…。
俺は安堵し、こちらに手を振っていた習志野に笑みを返す。
「辰巳君、悔しいけど今回はこれが精一杯だったよ。」
ふと振り返るといつの間にかこちらに来ていた葛西が握手を求めていた。
「お前には最後までヒヤヒヤさせられたよ。まぁ、もう会うこともないだろうけどな。」
俺も握手に応じ、敵を称える。
しかし……
「ん?おいおい、何を『これで最後』みたいな感じ出してるんだい?」
「は?だって、お前らはこれで退学――」
「嫌だなぁ。確かに今回の勝負は僕達の負けだけど…これで最後なわけないじゃん。――僕達の戦いはこれからだよ、辰巳君♪」
葛西はそう言ってニヤリと笑った。
数分後、集まった生徒達を見渡す大井先生。
「まぁ、いない奴もいるが…まぁいいだろ。ほとんど、もうこの学校で会うことのない連中だしな。」
恐らく退学した連中だろう。あの屋上にいた男子3人とその男子のペアの女子3人がいない。
そして、もう一人…
(あいつもいねぇんだよな…。)
いつも軽薄な態度でちょっかいを出してくる男――葛西寛人もいないのだ。
(まさか俺達に退学にさせられることを察してここに来なかったのか…?)
あいつの悔しがる顔は見たかったが、仕方ない。あいつがいようが、いまいがあいつらのペアを潰すことに変わりはない。
ふと、隣にいる習志野を見ると、どこか複雑そうな顔をしていた。
――多分、自分がフッた相手に罪悪感でも感じてるんだろうな…。
「他人を蹴落とすのに罪悪感とか迷いを感じるんならこれ以上は止めとけ。――そういう役は俺みたいな奴に任せとけばいいんだよ。」
俺は習志野の頭に手をやり、自分なりに励ましの言葉をかけてやる。
「ありがとうございます…。でも大丈夫です。確かに私が退学に追い込んだ人達には罪悪感がないわけでもないですが、やっぱり私にとってはたっくんが一番です!これくらいのことで落ち込んでなんていませんよ。」
そう言って笑顔で返すが、どこかその笑顔は無理しているような気がした。
(まぁ、元々こいつは駆け引きとか他人を蹴落とすことに向いてる性格じゃないしな…。今後はできるだけこいつを直接手を下す役割から遠ざけないとな…。)
習志野の笑顔を見て俺は改めて決意した。
「それじゃあ、さっさと結果発表するぞ!今回のオリエンテーション第一位は――」
先生が順番に順位と点数を読み上げていった。
結局、俺達が葛西・市川組を逆転してから順位は変動なく、結果は変わらなかった。
一位 氷室・習志野組(3185点)
二位 葛西・市川組(2058点)
三位 多摩川・南組(1540点)
――まぁ、そりゃそうだろう。さすがにあそこから1000点差を逆転するなんて不可能だ。まぁ、それでも不安がなかったわけじゃないが…。
葛西がこの場にいないことを不気味に感じ、『もしかしたら…』という不安があったものの、どうやらその心配は杞憂に終わったらしい。
俺は予想通りの結果に終わり安堵の表情を浮かべた。
「それじゃあ、約束通り、トップの氷室・習志野ペアには好きなペアから好きなだけポイントを奪う権利を与える。――お前ら、好きなペアを指名しろ。」
先生は俺達の方へと視線を向ける。
――俺達の答えは決まっている。
俺は隣の習志野の方を見ると、彼女は黙って頷く。
一瞬、俺の視界に唇を噛みしめて俯いている市川が映ったが俺の選択は変わらない。
「俺達が選ぶペアは――」
ガラガラ
しかし、俺の宣言は途中で遮られた。俺が口を開いた瞬間、教室の扉が開かれたのだ。
「すみません、先生。遅くなりました~!」
そして入ってきた人物は軽い調子で挨拶した。
「――葛西!!」
葛西寛人は余裕の表情を浮かべながらスタスタと歩いていく。
「どうしたんだい、凛ちゃん?そんな泣きそうな顔して?」
「別に泣いてない!……あなた、今までどこ行ってたのよ…?」
葛西は市川の下へ行くと悔しそうで今にも泣きだしそうな彼女の頭を撫で励ます。
「葛西、遅れてくるとはいい度胸だな。」
「いやぁ、すみません。思ったより時間がかかってしまって。」
「フン。まぁ、遅れるかもしれんと報告は受けてたしな。それに。お前に罰則を与えることもできるが、そのままにしておいた方が面白そうだ。」
「ありがとうございます。」
先生は不敵に笑い葛西の遅刻を不問とした。
そして、自分の席に戻る葛西もまた、ニヤリと笑った。
「それじゃあ、気を取り直して罰を受けるペアの発表だ。」
「…俺達がポイントをいただくペアは――葛西・市川ペアだ。」
ペアの指名が終わり、他の生徒達からは安堵感が広がった。
「なるほど。それじゃあ、氷室と習志野。お前らはこいつらから何ポイント奪うんだ?」
ふと、葛西の方を見やると、やはり余裕の笑みを湛えている。
――なんだ?勝負は完全に俺達の勝ちで終わったはずだ。こいつは一体何を企んでる…?
俺はその笑みに警戒心を強める。だが…
――ここまできて引けるかよ!
「葛西・市川組からこいつらの全ポイント――2906ポイント奪う!」
俺は葛西・市川組のポイントが記載された生徒端末の画面を見せつけて宣言した。
教室中がざわめく。
「わかった。それでは葛西・市川組から2906ポイントを氷室・習志野組に移動させる!」
先生がそう宣言すると、端末が更新された。
氷室・習志野組 6091ポイント
葛西・市川組 0ポイント
――よし、どうやら葛西の表情はブラフだったらしいな…。これで葛西と市川は退学だ…。
俺は安堵し、こちらに手を振っていた習志野に笑みを返す。
「辰巳君、悔しいけど今回はこれが精一杯だったよ。」
ふと振り返るといつの間にかこちらに来ていた葛西が握手を求めていた。
「お前には最後までヒヤヒヤさせられたよ。まぁ、もう会うこともないだろうけどな。」
俺も握手に応じ、敵を称える。
しかし……
「ん?おいおい、何を『これで最後』みたいな感じ出してるんだい?」
「は?だって、お前らはこれで退学――」
「嫌だなぁ。確かに今回の勝負は僕達の負けだけど…これで最後なわけないじゃん。――僕達の戦いはこれからだよ、辰巳君♪」
葛西はそう言ってニヤリと笑った。
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