新しい世界で今度こそ幸せをつかみたい
36話
「グッ、まだだ!ハッ!」
アルトさんの体を治してから1週間、リハビリを兼ねて毎朝身体強化せずに手合わせを行なっている。
初めは左側の視野が狭く、動きも鈍かったが、流石はSSランク。
日に日に動きが良くなってきている。
それでもアルトさんは全盛期に比べたら、まだまだなんだそうだ。
「…いえ、これで終わりです。」
私はアルトさんの死角に入り込み、アルトさんを蹴り上げ壁に向かって更に追い討ちをかけた。
「うお?マジか!ガッ!」
ズドーンと音と共にダンジョンの壁にアルトさんはめり込んだ。
アルトさんの体はかなり頑丈で、めり込むぐらいは平気であり、寧ろピンピンしながら壁から出てきた。
「やっぱ、カミーユは強いな!それでランクが低いんだから驚きだぜ!なぁ?もう一回いいか?」
目を爛々とさせ見て来るため、初めから無理は禁物です、と言って今日の手合わせを終わらせた。
残念そうな顔をしていたが、そうだよな〜と言って、近くの魔物倒しに行ってくる!と言い残しその場を離れて行った。
「…ふぅ。流石はSSランクですね。日に日に速くなっています。ステータスは私の方が上ですが、経験が違いますね。」
今のところカミーユの圧勝なのだが、アルトの不意な動きやスキルの使いどころなど、とても勉強になるのだ。
幼少時代の手合わせは一方的だったので、カミーユ自身も対人の動きを学ぶのに良い機会になっていた。
そして、更に1ヶ月が過ぎ、時折カミーユの従魔も交え手合わせを行なって、ようやくダンジョンの攻略を再スタートする事にした。
そしてカミーユは、ナビさんと相談し、自分の事を転生と出身地、固定スキル以外の全て話すことにした。
「…そりゃ大変だったな。だからカミーユはそんなに強くなったんだな〜。」
しみじみとアルトさんが呟くと頭をポンポンされていた。
今までされた事がなく、どうして良いかわからないので見つめていると、
「…おい、そんなに無表情で見つめるなよ、悪かった。まぁ、お前さんが行くのをやめたダンジョンにも興味あるしな!とっとと地上に戻ろうぜ!」
そう言うと、私たちは再びダンジョンの攻略挑み始めた。
先にフロアー情報がわかっていた所は順調に進んで行き、途中の縛りのあるフロアーも問題なく突破する事が出来た。
何より道中は楽しいし、移動のペースも早い。
それに、マジック空間の事も話した。
「…本当に驚かせてくれるな。まぁ、カミーユなら仕方ないか。」
と、遠い目をされたが便利なので一緒に生活し始めた。
アルトさんが初めてマジック空間に入った時、
「これは!マジか…村?いや町か?マジかぁ〜。はぁ?外からの攻撃は一切通用しないだと?
しかも縛りがなければどこでも使用出来るって、おい…便利すぎるだろ…。」
アルトさんは何やらブツブツと独り言を言っていたが、一通り案内した後、アルトさんの使用する部屋を決めてもらった。
マジック空間の中では既にラビさんとカナリアさんの部屋があるのでそれ以外を選んでもらった。
初めは慣れていないようだったが、1週間も経つと慣れた様子で、生活するようになってきた。
それから、15階から50階までは3ヶ月程で攻略できた。
私は鍛えても筋肉や脂肪が付かずスラっとした体型のままだが、アルトさんはガッチリとした筋肉隆々の体型になってきた。
アルトさん曰く、全盛期と変わらないぐらいまで戻ったとの事。
パーティーのバランスも良く、前をアルトさんとラビさん、後方支援でカナリアさん、状況を見ながら私は前に後ろにといった感じで順調に攻略出来ている。
そんなある日アルトさんが、
「クソ、火山帯は暑いし、風呂上がりにエール飲みてぇや。」
と言っており、私もたまにはお酒飲みたいと思っていたので、ナビさんに相談した所、以前手に入れた雑草の中で麦に似た雑草を使用すれば良いとの事。
それに加えて果実酒やブランデー、ワインも作成可能との事なので、別の空間で時間調節をしながらお酒を作った。
時間調節をすることにより、本来何ヶ月、何年と寝かさないと旨味が出ないのだが、ナビさんの助言を元にとても美味しく仕上がった。
「アルトさん、実はお酒が出来上がったのですが、一緒にいかがですか?」
「…もうなんでもアリだな。いや、飲めるなら何でもいいぜ!今日は俺がツマミ作るから、飲もうぜ!」
アルトさんはそう言うと、台所へ向かった。
初めは私が食事の準備をしていたが、アルトさんから交代で作ろうと言ってくれた。
一緒に生活をしてるんだから、仕事を分担するのは当たり前だからとの事。
今までは私がやる事が当たり前であり、分担するということを考えた事がなかった。
まぁまぁ、美味い酒飲む為に風呂でも入ってこい、と台所を追い出され、のんびりお風呂に入っていた。
風呂から出た後は、大騒ぎだった。従魔も加わり一晩中騒いでいた。
そんな経験は初めてで、途中私は嬉しくて、楽しくて泣いてしまった。
「…泣きたい時は泣けば良い。カミーユ、お前さんはまだ若い。これから色んな経験をするんだ。楽しめる時は思いっ切り楽しめば良いだ。」
そう言って、アルトさんもこの酒美味いな!と言いながら楽しそうにお酒を呑んでいた。
?ダンジョン 63/100
アルトさんの体を治してから1週間、リハビリを兼ねて毎朝身体強化せずに手合わせを行なっている。
初めは左側の視野が狭く、動きも鈍かったが、流石はSSランク。
日に日に動きが良くなってきている。
それでもアルトさんは全盛期に比べたら、まだまだなんだそうだ。
「…いえ、これで終わりです。」
私はアルトさんの死角に入り込み、アルトさんを蹴り上げ壁に向かって更に追い討ちをかけた。
「うお?マジか!ガッ!」
ズドーンと音と共にダンジョンの壁にアルトさんはめり込んだ。
アルトさんの体はかなり頑丈で、めり込むぐらいは平気であり、寧ろピンピンしながら壁から出てきた。
「やっぱ、カミーユは強いな!それでランクが低いんだから驚きだぜ!なぁ?もう一回いいか?」
目を爛々とさせ見て来るため、初めから無理は禁物です、と言って今日の手合わせを終わらせた。
残念そうな顔をしていたが、そうだよな〜と言って、近くの魔物倒しに行ってくる!と言い残しその場を離れて行った。
「…ふぅ。流石はSSランクですね。日に日に速くなっています。ステータスは私の方が上ですが、経験が違いますね。」
今のところカミーユの圧勝なのだが、アルトの不意な動きやスキルの使いどころなど、とても勉強になるのだ。
幼少時代の手合わせは一方的だったので、カミーユ自身も対人の動きを学ぶのに良い機会になっていた。
そして、更に1ヶ月が過ぎ、時折カミーユの従魔も交え手合わせを行なって、ようやくダンジョンの攻略を再スタートする事にした。
そしてカミーユは、ナビさんと相談し、自分の事を転生と出身地、固定スキル以外の全て話すことにした。
「…そりゃ大変だったな。だからカミーユはそんなに強くなったんだな〜。」
しみじみとアルトさんが呟くと頭をポンポンされていた。
今までされた事がなく、どうして良いかわからないので見つめていると、
「…おい、そんなに無表情で見つめるなよ、悪かった。まぁ、お前さんが行くのをやめたダンジョンにも興味あるしな!とっとと地上に戻ろうぜ!」
そう言うと、私たちは再びダンジョンの攻略挑み始めた。
先にフロアー情報がわかっていた所は順調に進んで行き、途中の縛りのあるフロアーも問題なく突破する事が出来た。
何より道中は楽しいし、移動のペースも早い。
それに、マジック空間の事も話した。
「…本当に驚かせてくれるな。まぁ、カミーユなら仕方ないか。」
と、遠い目をされたが便利なので一緒に生活し始めた。
アルトさんが初めてマジック空間に入った時、
「これは!マジか…村?いや町か?マジかぁ〜。はぁ?外からの攻撃は一切通用しないだと?
しかも縛りがなければどこでも使用出来るって、おい…便利すぎるだろ…。」
アルトさんは何やらブツブツと独り言を言っていたが、一通り案内した後、アルトさんの使用する部屋を決めてもらった。
マジック空間の中では既にラビさんとカナリアさんの部屋があるのでそれ以外を選んでもらった。
初めは慣れていないようだったが、1週間も経つと慣れた様子で、生活するようになってきた。
それから、15階から50階までは3ヶ月程で攻略できた。
私は鍛えても筋肉や脂肪が付かずスラっとした体型のままだが、アルトさんはガッチリとした筋肉隆々の体型になってきた。
アルトさん曰く、全盛期と変わらないぐらいまで戻ったとの事。
パーティーのバランスも良く、前をアルトさんとラビさん、後方支援でカナリアさん、状況を見ながら私は前に後ろにといった感じで順調に攻略出来ている。
そんなある日アルトさんが、
「クソ、火山帯は暑いし、風呂上がりにエール飲みてぇや。」
と言っており、私もたまにはお酒飲みたいと思っていたので、ナビさんに相談した所、以前手に入れた雑草の中で麦に似た雑草を使用すれば良いとの事。
それに加えて果実酒やブランデー、ワインも作成可能との事なので、別の空間で時間調節をしながらお酒を作った。
時間調節をすることにより、本来何ヶ月、何年と寝かさないと旨味が出ないのだが、ナビさんの助言を元にとても美味しく仕上がった。
「アルトさん、実はお酒が出来上がったのですが、一緒にいかがですか?」
「…もうなんでもアリだな。いや、飲めるなら何でもいいぜ!今日は俺がツマミ作るから、飲もうぜ!」
アルトさんはそう言うと、台所へ向かった。
初めは私が食事の準備をしていたが、アルトさんから交代で作ろうと言ってくれた。
一緒に生活をしてるんだから、仕事を分担するのは当たり前だからとの事。
今までは私がやる事が当たり前であり、分担するということを考えた事がなかった。
まぁまぁ、美味い酒飲む為に風呂でも入ってこい、と台所を追い出され、のんびりお風呂に入っていた。
風呂から出た後は、大騒ぎだった。従魔も加わり一晩中騒いでいた。
そんな経験は初めてで、途中私は嬉しくて、楽しくて泣いてしまった。
「…泣きたい時は泣けば良い。カミーユ、お前さんはまだ若い。これから色んな経験をするんだ。楽しめる時は思いっ切り楽しめば良いだ。」
そう言って、アルトさんもこの酒美味いな!と言いながら楽しそうにお酒を呑んでいた。
?ダンジョン 63/100
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