新しい世界で今度こそ幸せをつかみたい

ゆたぽん

16話

私は初め教会に向かった。先ずは祝福してもらわない事には仕事にもつけないからだ。
事前に探索していた為、迷わず教会に着いた。
入り口には門番が居たが、私の顔を見てピシッと固まってしまった。

「…。申し訳無いのですが、今から祝福を受ける事は可能ですか?」

「…へ?祝福?だ、大丈夫です。あ、いや、一度確認してくるので待ってくれるか?」

と、何故か慌てるように中に入って行った。なんでだろか?どんな顔色してるかは見ていないからわからない。
あの谷から出てきてからは、昼間はどうしても眩しすぎて目を閉じて過ごしている。
真っ暗な中で何年も気配や心眼を頼りに生きてきた為、月明かりでさえも眩しすぎるぐらいだから仕方ない。
街に入る前あたりから隠密スキルを解いたのだが、やたら見られてる気配がする。
ここまで髪が真っ白だから気になるのかな?
などと考えていると、教会の中から門番が戻ってくる気配がした。

「ま、待たせたな!シスターに聞いたら、今からでも大丈夫だそうだ。そんで、お前さんは1人かい?1人ならこのまま入っていいぞ。もし連れがいるなら呼んできてくれ。」

「連れは居ないので1人です。ではこのまま入ります。ありがとうございます。」

私は門番に一言お礼を言って中に入った。
自分的にはワクワクした(実際は無表情)感じで中に入り、入って直ぐに人が立っていた為話しかけた。

「シスターですか?祝福を受けたいのですが、よろしいですか?」

「はい。ようこそガロンの教会へ。祝福を受けるには教会の中心にある女神像にお祈りをしてもらいます。特に何かを用意するわけではなく、《女神様、どうか私に祝福を》と言うだけです。ただ、その時に初めてスキルを手に入れて倒れてしまう方もいるので、先に祝福を受けに来たと言ってもらって助かります。」

成る程、自由に祈ればいいってことらしい。
神父さんから有り難いお話とか、お布施と称して、お金をぼったくりとかは無いらしい。
以前、教会で不正をしてた人は直ぐにバレて天からか雷が落ち、死ななかったものの、スキルが全部なくなってしまったそうだ。
だから教会は悪事を働くことができないシステムになっているようだ。
今だにこの世界は不思議だけど、少しずつ慣れ始めて来た。
ただ、ちゃんと常識がわからないので勉強したいが、まだ機会がないので周りを見ながら判断していくしかなさそうだ…などと考えていると。

「…?どうかされましたか?」

シスターの問いかけにハッとし、

「いえ、なんでもないです。ありがとうございました。」

一言お礼を言うと、女神像の前に行き、膝をついてお祈りの体勢になり、

「女神様、どうか私に祝福を。」

と言うと、ガヤガヤしてた周りから一転して静かな空間に引き込まれた感覚がした。
そして懐かしい声を聞いた。

「えっと?貴方は…?なぁにもう10年たったの!って、なんか10歳にしては大人びいてない?
はぁ!?もうすぐ15歳?えっ?なんで?だって送った先は元々、日本人だったから過ごしやすいと思って…。えっ?何があったのよ!んっもう、良いから頭を近づけて!」

そう言われて私は女神様に近づいた。
すると女神様は額と額をくっつけて何か呪文の様な言葉を使用し、暫く沈黙が続いた。
数秒?数分?ボーっとしていたので時間はわからないが、いきまり女神様が声を荒げた。

「はぁ!?なんなの!ちょっと数百年見てないだけで、こんなにアホになるの!?あの土地ギリギリじゃない!」

と、女神様は大きな声を上げたのであった。

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