××男と異常女共
陰女の秘密のご趣味 4
私は何処にでもいるような影の薄い女の子であった。
去年まで中学三年生だった私は今年、高校一年生になった。
中学から高校になる時期は人生の節目の一つと言われているけれど、今のところ中学と変わったところはあまりない。
周りの人達や通う場所などは一変したが私の生活に変わりはない。
学校に行き、授業を聞いて、静かに本を読む。
私の学校生活はそれだけだ。
もともと私は見た目が暗く性格も暗かったため、中学の頃から友人と呼べる人は数少なく、その子たちとも高校が別になってしまったため、一人ぼっちだった。
そのため、周りとは一線を画し、肩身の狭い立ち位置に立っていた。
だけど別にそれが苦だとは感じていなかった。
一緒に何かをしたり話したりする友人がいなくても本さえあれば私はよかった。
一人静かに物語に浸るのが好きだった。
誰の邪魔もせず誰にも邪魔されずひっそりと過ごすのが私の平和だった。
これからも本を片手に持った幸せな日々が続くと思って過ごしていた。
しかし、私の安寧の日々は唐突に終わりを告げた。
きっかけは、あるクラスメイトの女子の頼みを断ったことだった。
その女子は何か用事があったのかは知れないが、掃除当番を変わってくれと頼んできたのだ。
私は掃除当番ではないので、掃除する必要もない。
そしてその日は待ちに待った作者の新作本が発売する日だったため、私はすぐに家に帰りたかった。
だから私はその頼みを断った。
私は断ってしまった。
次の日学校に行くとクラスの雰囲気が若干違っていた。
いや、私が教室に入ってきた途端に変わったのだ。
その雰囲気を変えていた主に女子。
私のことを見た途端に蔑んだような目を向けながらひそひそ話に興じ出すのだ。
私は何があったのか分からないまま、席に着いた。
すると昨日、私に掃除を変わってくれと頼んできたクラスメイトの女子が目の前に来て、顔を近づけてきた。
私が「なんですか?」と聞くと、その女子は小さく「あんたの居場所、もうないから」と言ってきた。
そうして女子は私から離れて行き、私はその時の意味がすぐに理解できなかった。
でもその日の内にその言葉の意味を理解させられることになった。
選択授業の書道が終わり、教室に戻り歩いているとすれ違う生徒や道行く生徒からやけに視線を向けられるのだ。
そして、私を見ながらひそひそ話しをし始めるのだ。
何を話しているにかは聞き取れなかったけど、それが良いものではないということは察することができた。
私は視線に耐えられず早足で教室に戻った。
次の授業のために教科書を準備しておこうと机の中を漁るといつもと違う違和感に気付く。
机の中を見ると教科書がぐしゃぐしゃに無理やり詰め込まれたような状態になっていたのだ。
私は驚き、困惑しながらぐしゃぐしゃになった教科書を机の上に出していった。
前の授業まではこんな状態ではなかったのにいったい誰がこんなことをしたのか。
するとクスクスという笑い声が耳に入ってくる。
そちらを見るとそこにはポニーテイルの女子とその取り巻きのようにいるショートとサイドテールの二人の女子が私を見てニヤニヤ笑っていたのだ。
ポニーテイルの女子は朝、私に話しかけてきたクラスメイトだった。
きっとあの女子達がやったことなのだろうと理解しながら、私は何も言いに行けなかった。
だって彼女達がやったという証拠がなにもないから。
私は黙ってぐしゃぐしゃになった教科書を元に戻そうと折れた場所を力強く伸ばし続けた。
次の日になれば、こんなことはこれっきりでまた平和な時間が過ごせるようになっている。
そう願って私は次の日を迎え、私が学校に行った。
しかし、私の願いは叶えられることはなかった。
次に日の学校は昨日よりも酷かった。
下駄箱から上履きは消え、遠巻きの視線が異様に突き刺さり、わざとらしく嫌味を言われ、足をかけられ転びそうになり、机とロッカーの中身は全壊し、トイレの個室に閉じ込められたりした。
その度に女子達のクスクスという笑い声が聞こえてくる。
あのポニーテイルの女子達の所為だと分かっていながら、私は耐えることにしていた。
きっと時間が経てば、ポニーテイルの女子達も飽きてやめてくれるだろう、そう思って。
一月が経ったが、私へのいじめは終わらなかった。
終わるどころか日が経つごとにもっと酷く陰湿なものになっていった。
私は耐えられずこんなことは「もうやめて」とポニーテイルの女子に訴えた。
だけどその女子は「は?何言ってるか意味分かんないんだけど」とシラを切ってきた。
私は立ち去ろうとしたポニーテイルの女子の手を引っ掴んで逃げられないようにし、詰め寄りながら「やめて」とお願いした。
しかし、ポニーテイルの女子は聞く耳を持たず、私を突き飛ばして去って行ってしまった。
私はあいつらにお願いするのはやめて、先生に助けを求めることにした。
先生に言えばなんとかしてくれると思って、先生に自分が受けているいじめのことについて説明し、助けを求めた。
先生は眉根を寄せながら私の話を聞いていた。
そして私の話が終わると言った、「勘違いじゃないの?」と。
私は先生の予想外の言葉に「え?」と口に出してしまった。
その後、先生は諭すような言葉を私に言い聞かせてきたが、私は呆然としていて先生の言葉は私の耳にまったく入ってこなかった。
お願いしてもやめてもらえない、先生に助けを求めてもまともに聞いてくれない、友達のいない私は誰かに頼ることもできない。
助けを乞うように周りの人達を見ても、周りの人達は目を合わせないように目を逸らし、自分達には関係ないという感じで見て見ぬ振りをしていた。
当たり前といえば当たり前かもしれない。
私だって自分ではなく他の子が同じことをされていれば、自分には関係ないと言って素知らぬ顔でいつも通り本を読んでいる。
下手に手を出せば、いじめの対象が次は自分になるかもしれないから。
こんな厄介ごとに進んで手を差し伸べる者は勇者だけだ。
そんな勇者がいたら、とっくに私に手を差し伸べてくれている。
だからここに勇者なんていうのはいないのだろう。
私を助けてくれる人なんていないのだ。
復讐しよう、そう私は決めた。
私をいじめてくるあの女子達に、私の言葉を聞いてくれない先生に、私を助けてくれない彼奴らに。
だけど私には何もできない、何かするほどの力もない。
どうすれば復讐ができるのか考えてみた。
力のない私にできる復讐とは何か、その考えは棚からぼた餅のようにやってきた。
休日、学校のないこの日だけが今の私に平穏をもたらしていた。
休日だからといって私のやることは変わらない。
それは本を読むことだけだ。
その本はもうページの終盤までいっており、今日中に読み終わるところまできていた。
内容は、ある高校生の女の子が不可解な死を遂げた事件をその女の子に恋していた男の子がその事件の真相を仲間と共に究明する物語。
女の子の事件の真相を知るために男の子とその仲間達は様々な事件を解決していき、目的の事件の真相となる手掛かりを手に入れていった。
それも大詰め、最後の事件を解決し、男の子とその仲間は女の子の真相を知ることとなった。
その真相はーー
ーー女の子の自殺という至極単純なものだった。
自殺の理由は、同級生からのいじめであった。
女の子はいじめに耐えられなかったのだ。
そして、そんな単純明快な事件の真相を不可解なものにしていたのは、女の子をいじめていた同級生達だった。
女の子は最後にいじめをやめて欲しいと懇願し、いじめっ子達はそれを拒否した。
そして女の子はいじめっ子達の目の前で飛び降り自殺したのだ。
いじめっ子達はそれを見て絶句し、自分達を守るために女の子の自殺を偽装し隠し不可解なものへと変えたのだ。
まるで誰かに殺されたように。
女の子の不可解な事件の真相は解明され、物語は終わりを告げた。
私はその女の子の境遇に共感し、女の子の行動に奮い立つと同時に震え上がった。
彼奴らに対して力のない私が復讐するにはこれほどのことはない、そう私に思わせるものであった。
しかし、それは私の人生を終わらせるもの、私が死ぬということ。
死にたくないと思うのは全ての人間にとって普通のことだ。
私だってそうだ、死にたくない。
まだ読みたい本だってあるし、これから出る新しい本だって読んでみたい。
だけど……。
私は今まで受けてきたいじめを思い出し、いじめをしてきた女子達の顔思い出し、何もしてくれない周りの奴らを思い出し、体を震わせる。
これ以上、私は耐えられない。
知らずのうちに私の目からは涙が溢れていた。
……やろう。死んでやろう。彼奴らに復讐してやろう。
万感の思いで、私は決めた。
改めて、彼奴らに復讐することを決意した。
休日が終わり、学校に登校する日がやってきた。
私はその日わざと遅刻し、他の生徒達と登校が被らないようにした。
授業はもう始まり、学校の廊下などは静かで廊下に歩く人はほとんどいなかった。
いるといえば生徒ではなく、たまに巡回や移動をしている先生らだけだ。
私はそれを一人屋上で隠れながら見ていた。
準備は整った。
私が受けた今までのいじめを事細かくある手帳に書き、いじめてくる女子達と頼りにならない先生と見るだけの周りのことも書きまくった。
これを警察が見つけ、世間に知られることになれば、彼奴らの人生も私と同じでお終いだ。
私はそれを嬉々として書いていた。
これで彼奴らに復讐できると思ったら、感情を抑えられなかった。
なるべく綺麗な字で書こうと思っていたが少し乱雑になってしまった。
辛かったのは、家族に謝罪する文を書くことだった。
何も言えなくてごめんなさい、何もできなくてごめんなさい、何も返せなくてごめんなさい、…………弱い私でごめんなさい。
ひたすら謝ることしかできなかった。
私は涙を流しながら、震える手で、綺麗な字でしっかり書こうと決めて、ゆっくりと書いていった。
書き終わった時には、そのページには所々に涙でシワができてしまった。
手帳は今、私の手元にあり、飛び降りるところに置いておけば、先生か警察が簡単に見つけてくれるだろう。
いわばこれは、私の遺書のようなもの。
私は屋上の柵を乗り越えて、柵を手に掴みながら下を見た。
私は高所恐怖症ではないが、今からここから落ちると思うと足が竦んでしまった。
私は片手にあった手帳を足元に落とし、両手で掴んでもたれかかった。
死にたくない、落ちたくない、まだ生きたい。
決心が揺るぎそうになるのを私は彼奴らのいじめを思い出して抑える。
そして、頼るように持っていた柵から手を離し、今から落ちるところに立つ。
やるんだ私、彼奴らに復讐するんだ!
自分に言い聞かせるように手で胸の部分を強く握り、下を見る。
今から私が落ちる場所を見て、自分が落ちる想像をしてしまう。
無意識に息が荒くなる、顔から血の気が失っていくのが分かる、足がガクガクと震えている。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない……。
「……死にたく、ないよぉ」
嗚咽が漏れる、涙が落ちる。
私は何もない空間に、足を出した。
去年まで中学三年生だった私は今年、高校一年生になった。
中学から高校になる時期は人生の節目の一つと言われているけれど、今のところ中学と変わったところはあまりない。
周りの人達や通う場所などは一変したが私の生活に変わりはない。
学校に行き、授業を聞いて、静かに本を読む。
私の学校生活はそれだけだ。
もともと私は見た目が暗く性格も暗かったため、中学の頃から友人と呼べる人は数少なく、その子たちとも高校が別になってしまったため、一人ぼっちだった。
そのため、周りとは一線を画し、肩身の狭い立ち位置に立っていた。
だけど別にそれが苦だとは感じていなかった。
一緒に何かをしたり話したりする友人がいなくても本さえあれば私はよかった。
一人静かに物語に浸るのが好きだった。
誰の邪魔もせず誰にも邪魔されずひっそりと過ごすのが私の平和だった。
これからも本を片手に持った幸せな日々が続くと思って過ごしていた。
しかし、私の安寧の日々は唐突に終わりを告げた。
きっかけは、あるクラスメイトの女子の頼みを断ったことだった。
その女子は何か用事があったのかは知れないが、掃除当番を変わってくれと頼んできたのだ。
私は掃除当番ではないので、掃除する必要もない。
そしてその日は待ちに待った作者の新作本が発売する日だったため、私はすぐに家に帰りたかった。
だから私はその頼みを断った。
私は断ってしまった。
次の日学校に行くとクラスの雰囲気が若干違っていた。
いや、私が教室に入ってきた途端に変わったのだ。
その雰囲気を変えていた主に女子。
私のことを見た途端に蔑んだような目を向けながらひそひそ話に興じ出すのだ。
私は何があったのか分からないまま、席に着いた。
すると昨日、私に掃除を変わってくれと頼んできたクラスメイトの女子が目の前に来て、顔を近づけてきた。
私が「なんですか?」と聞くと、その女子は小さく「あんたの居場所、もうないから」と言ってきた。
そうして女子は私から離れて行き、私はその時の意味がすぐに理解できなかった。
でもその日の内にその言葉の意味を理解させられることになった。
選択授業の書道が終わり、教室に戻り歩いているとすれ違う生徒や道行く生徒からやけに視線を向けられるのだ。
そして、私を見ながらひそひそ話しをし始めるのだ。
何を話しているにかは聞き取れなかったけど、それが良いものではないということは察することができた。
私は視線に耐えられず早足で教室に戻った。
次の授業のために教科書を準備しておこうと机の中を漁るといつもと違う違和感に気付く。
机の中を見ると教科書がぐしゃぐしゃに無理やり詰め込まれたような状態になっていたのだ。
私は驚き、困惑しながらぐしゃぐしゃになった教科書を机の上に出していった。
前の授業まではこんな状態ではなかったのにいったい誰がこんなことをしたのか。
するとクスクスという笑い声が耳に入ってくる。
そちらを見るとそこにはポニーテイルの女子とその取り巻きのようにいるショートとサイドテールの二人の女子が私を見てニヤニヤ笑っていたのだ。
ポニーテイルの女子は朝、私に話しかけてきたクラスメイトだった。
きっとあの女子達がやったことなのだろうと理解しながら、私は何も言いに行けなかった。
だって彼女達がやったという証拠がなにもないから。
私は黙ってぐしゃぐしゃになった教科書を元に戻そうと折れた場所を力強く伸ばし続けた。
次の日になれば、こんなことはこれっきりでまた平和な時間が過ごせるようになっている。
そう願って私は次の日を迎え、私が学校に行った。
しかし、私の願いは叶えられることはなかった。
次に日の学校は昨日よりも酷かった。
下駄箱から上履きは消え、遠巻きの視線が異様に突き刺さり、わざとらしく嫌味を言われ、足をかけられ転びそうになり、机とロッカーの中身は全壊し、トイレの個室に閉じ込められたりした。
その度に女子達のクスクスという笑い声が聞こえてくる。
あのポニーテイルの女子達の所為だと分かっていながら、私は耐えることにしていた。
きっと時間が経てば、ポニーテイルの女子達も飽きてやめてくれるだろう、そう思って。
一月が経ったが、私へのいじめは終わらなかった。
終わるどころか日が経つごとにもっと酷く陰湿なものになっていった。
私は耐えられずこんなことは「もうやめて」とポニーテイルの女子に訴えた。
だけどその女子は「は?何言ってるか意味分かんないんだけど」とシラを切ってきた。
私は立ち去ろうとしたポニーテイルの女子の手を引っ掴んで逃げられないようにし、詰め寄りながら「やめて」とお願いした。
しかし、ポニーテイルの女子は聞く耳を持たず、私を突き飛ばして去って行ってしまった。
私はあいつらにお願いするのはやめて、先生に助けを求めることにした。
先生に言えばなんとかしてくれると思って、先生に自分が受けているいじめのことについて説明し、助けを求めた。
先生は眉根を寄せながら私の話を聞いていた。
そして私の話が終わると言った、「勘違いじゃないの?」と。
私は先生の予想外の言葉に「え?」と口に出してしまった。
その後、先生は諭すような言葉を私に言い聞かせてきたが、私は呆然としていて先生の言葉は私の耳にまったく入ってこなかった。
お願いしてもやめてもらえない、先生に助けを求めてもまともに聞いてくれない、友達のいない私は誰かに頼ることもできない。
助けを乞うように周りの人達を見ても、周りの人達は目を合わせないように目を逸らし、自分達には関係ないという感じで見て見ぬ振りをしていた。
当たり前といえば当たり前かもしれない。
私だって自分ではなく他の子が同じことをされていれば、自分には関係ないと言って素知らぬ顔でいつも通り本を読んでいる。
下手に手を出せば、いじめの対象が次は自分になるかもしれないから。
こんな厄介ごとに進んで手を差し伸べる者は勇者だけだ。
そんな勇者がいたら、とっくに私に手を差し伸べてくれている。
だからここに勇者なんていうのはいないのだろう。
私を助けてくれる人なんていないのだ。
復讐しよう、そう私は決めた。
私をいじめてくるあの女子達に、私の言葉を聞いてくれない先生に、私を助けてくれない彼奴らに。
だけど私には何もできない、何かするほどの力もない。
どうすれば復讐ができるのか考えてみた。
力のない私にできる復讐とは何か、その考えは棚からぼた餅のようにやってきた。
休日、学校のないこの日だけが今の私に平穏をもたらしていた。
休日だからといって私のやることは変わらない。
それは本を読むことだけだ。
その本はもうページの終盤までいっており、今日中に読み終わるところまできていた。
内容は、ある高校生の女の子が不可解な死を遂げた事件をその女の子に恋していた男の子がその事件の真相を仲間と共に究明する物語。
女の子の事件の真相を知るために男の子とその仲間達は様々な事件を解決していき、目的の事件の真相となる手掛かりを手に入れていった。
それも大詰め、最後の事件を解決し、男の子とその仲間は女の子の真相を知ることとなった。
その真相はーー
ーー女の子の自殺という至極単純なものだった。
自殺の理由は、同級生からのいじめであった。
女の子はいじめに耐えられなかったのだ。
そして、そんな単純明快な事件の真相を不可解なものにしていたのは、女の子をいじめていた同級生達だった。
女の子は最後にいじめをやめて欲しいと懇願し、いじめっ子達はそれを拒否した。
そして女の子はいじめっ子達の目の前で飛び降り自殺したのだ。
いじめっ子達はそれを見て絶句し、自分達を守るために女の子の自殺を偽装し隠し不可解なものへと変えたのだ。
まるで誰かに殺されたように。
女の子の不可解な事件の真相は解明され、物語は終わりを告げた。
私はその女の子の境遇に共感し、女の子の行動に奮い立つと同時に震え上がった。
彼奴らに対して力のない私が復讐するにはこれほどのことはない、そう私に思わせるものであった。
しかし、それは私の人生を終わらせるもの、私が死ぬということ。
死にたくないと思うのは全ての人間にとって普通のことだ。
私だってそうだ、死にたくない。
まだ読みたい本だってあるし、これから出る新しい本だって読んでみたい。
だけど……。
私は今まで受けてきたいじめを思い出し、いじめをしてきた女子達の顔思い出し、何もしてくれない周りの奴らを思い出し、体を震わせる。
これ以上、私は耐えられない。
知らずのうちに私の目からは涙が溢れていた。
……やろう。死んでやろう。彼奴らに復讐してやろう。
万感の思いで、私は決めた。
改めて、彼奴らに復讐することを決意した。
休日が終わり、学校に登校する日がやってきた。
私はその日わざと遅刻し、他の生徒達と登校が被らないようにした。
授業はもう始まり、学校の廊下などは静かで廊下に歩く人はほとんどいなかった。
いるといえば生徒ではなく、たまに巡回や移動をしている先生らだけだ。
私はそれを一人屋上で隠れながら見ていた。
準備は整った。
私が受けた今までのいじめを事細かくある手帳に書き、いじめてくる女子達と頼りにならない先生と見るだけの周りのことも書きまくった。
これを警察が見つけ、世間に知られることになれば、彼奴らの人生も私と同じでお終いだ。
私はそれを嬉々として書いていた。
これで彼奴らに復讐できると思ったら、感情を抑えられなかった。
なるべく綺麗な字で書こうと思っていたが少し乱雑になってしまった。
辛かったのは、家族に謝罪する文を書くことだった。
何も言えなくてごめんなさい、何もできなくてごめんなさい、何も返せなくてごめんなさい、…………弱い私でごめんなさい。
ひたすら謝ることしかできなかった。
私は涙を流しながら、震える手で、綺麗な字でしっかり書こうと決めて、ゆっくりと書いていった。
書き終わった時には、そのページには所々に涙でシワができてしまった。
手帳は今、私の手元にあり、飛び降りるところに置いておけば、先生か警察が簡単に見つけてくれるだろう。
いわばこれは、私の遺書のようなもの。
私は屋上の柵を乗り越えて、柵を手に掴みながら下を見た。
私は高所恐怖症ではないが、今からここから落ちると思うと足が竦んでしまった。
私は片手にあった手帳を足元に落とし、両手で掴んでもたれかかった。
死にたくない、落ちたくない、まだ生きたい。
決心が揺るぎそうになるのを私は彼奴らのいじめを思い出して抑える。
そして、頼るように持っていた柵から手を離し、今から落ちるところに立つ。
やるんだ私、彼奴らに復讐するんだ!
自分に言い聞かせるように手で胸の部分を強く握り、下を見る。
今から私が落ちる場所を見て、自分が落ちる想像をしてしまう。
無意識に息が荒くなる、顔から血の気が失っていくのが分かる、足がガクガクと震えている。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない……。
「……死にたく、ないよぉ」
嗚咽が漏れる、涙が落ちる。
私は何もない空間に、足を出した。
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