命の重さと可能性の重み

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第六十話

「うわぁ……、本当に広いですねぇ。…ここ、マジで使っちゃっていいんですか?」

「えぇ、もちろんですとも」

部屋に入ったとたん、感嘆の声が漏れる。
行ったことないけど、有名ホテルのロイヤルスイートってこんな感じなのかな?

「こんなに広い部屋初めてだから、わくわくで寝られないかも……」

そう言いながら、俺はベッドにダイブする。

「うわぁ…ふっかふかだぁ」

このまま身をゆだねたら、寝てしまうかもしれない。

「セバスさん、この後はどうすればいいんですか?」

「部屋は気に入っていただけたようなので、食堂のほうに案内いたします。すぐに夕食ですので…」

「そうなんですか?わかりました」

そういって俺は立ち上がる。

「では…案内いたしますので、こちらへどうぞ」

「ありがとうございます」

俺は、セバスさんの後に続いた。

・・・
・・


「失礼いたします。ゲンナイ様をお連れいたしました」

ドアをノックしてから、セバスさんが声をかける。

「御苦労さま。入ってきてちょうだい」

「失礼いたします」

「しつれいしま~す」

俺は、セバスさんの後に続いて中に入る。

「いらっしゃい、ゲンナイ君。好きな場所に座って?」

「あ、はい。わかりました…」

そう言いつつも俺は、どこに座ればいいのかが分からずに右往左往する。
なぜなら、とても広い部屋の中央に円卓のテーブルが置いてあり、椅子が十二個置いてあるだけなのだ。

「う~ん、どこに座ろう…かな」

「遠慮しなくていいのよ?適当に座ってちょうだい」

「わかりました。では、マリアさんの少し隣に座らせて「入るわよ!!」もらいま…へ?」

ドーンという音を伴って、エリカが部屋に入ってくる。
そしてそのまま、マリアさんの二つ隣に座ってしまう。

「あれ?ゲンは座らないの?」

「いやぁ、どこに座ればいいかわからなくてさ…」

「なら私の隣に来なさいよ。ほら?」

そう言ってエリカが、隣の椅子を引いて進めてくる。

「え?でもそこは……」

「何よ?私たちの隣は嫌なわけ?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど……難易度高くない?」

「そうかしら?むしろ役得じゃない?」

「確かに。こんな美女二人を両脇になんて…いいかもしれないけど」

「つべこべ言わない!料理が冷めちゃうでしょ!」

「わ、わかりました。……失礼します」

勢いに負けて、俺は結局マリアさんとエリカの間に座ることになった。

「さてと?それじゃあ食事をはじめましょうか?」

「さんせ~い」

「よろしくお願いします」

「それじゃ、セバス?アンナ?チンの料理を運んできてちょうだい?」

「「かしこまりました」」

マリアさんが一声かけると、セバスさんとアンナさんが奥へと入って行った。

「「「お待たせいたしました。本日の夕食のメニューはこちらになります」」」

そう言ってセバスさんとアンナさんともう一人(先ほど玄関で出迎えてくれた最後の人)がワゴンを引いて戻ってくる。

「マリアさん、あの人は?」

俺は疑問に思った最後の一人について聞いてみる。

「彼は料理人のチン・リンシェンよ。家の食事は、すべて彼が作っているの…」

「そうなんですか…」

「チンさんの料理はとってもおいしいのよ?私大好きだもの」

「へぇ、そうなんだ」

「準備が整いました」

そんなこんな話をしている間に、俺たちの前にずらっと料理が並べられた。

「それじゃ、いただきましょうか?」

「ですね」

「もちろんっ」

「いただきます」

俺は両手を合わせてから食べ始める。

「「今日の糧を与えてくれし事に感謝を」」

マリアさんとエリカは、お祈りしてから食べ始めた。

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