命の重さと可能性の重み

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第四十三話

「ここにもいない…か」

エリカについていき、3つめのボスーピットがいるかもしれないポイントにきた俺たちだが、そこにもボスーピットはいなかった。

「ボスーピットがいるかもしれないポイントってのは、あとどれくらいあるんだ?こんなふうにひらけた場所なんて、森の中にはそうそうないだろ?」

そう。
エリカと一緒にまわった(正確にはついて行っただけだが…)ボスーピットがいるかもしれないポイントは、最初に罠を仕掛けた場所のように、大木を中心として円形にスペースができている場所だった。

「あと二カ所あるわ。…近い方からまわってみて、いなかったら最初の罠をしかけた場所にもどりましょうか?もしかしたら罠にかかってるかもしれないしねっ」

そう言ってエリカは歩き出す

「わかった」

俺もエリカに続いて歩き出す。

「ところで、質問なんだが…ボスーピットってのは、珍しいものなのか?」

歩きながら、俺はエリカに疑問に思っていたことをきいてみる。

「スーピットじたいが見つけにくいのは、まえに話したわよね?…ボスーピットの説明をした時に言ったかもしれないけど、ボスーピットはSSランクの魔物よ。基本的にランクが高ければ高いほど、魔物の個体数は少ないわ。つまり…SSランクの魔物であるボスーピットは、かなり珍しいってことよっ」

「なるほど。…んじゃ次の質問なんだが、今回の依頼ってスーピットの捕獲だよな?…依頼に入っていないボスーピットを捕獲したら、どうなるんだ?」

「そうね…やっぱり、ギルドで買い取ってもらうことになると思うわ。もしくは、自分たちで食べるかね…」

「そうなるのか。…もう一つ質問なんだが、スーピットって自然にいるのを捕獲しているんだよな?ならなんで、あの店は毎日スーピットのスープを出せてるんだ?定期的に仕入れられるほど、スーピットって意外と個体数が多いのか?」

「それは違うと思うわ。…おそらくあの店にスーピットを卸している商人は、複製の魔法が使えるんだと思うわ」「複製…ってことは、一匹捕まえればそれを増やせるってことか?」

「そういうことよ。…まぁ複製魔法にも制限があって、一つの個体につき十個までしか複製できないの。だから、狩りは定期的に行わないといけないわ…」

「なるほどね。…つまり、その定期的な狩りを行おうとしたら、ボスーピットがいて手に負えなかったってことか…」

「そういうことでしょうね。………さて、あと十分も歩けば次のポイントにつくわよ。そろそろ気を引き締めてね?」

そう言ってエリカは肉体強化魔法のを発動する。

「わかった」

俺もいつでも肉体強化魔法をオンにできるように、気を引き締めた。

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