命の重さと可能性の重み

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第二十四話

「さてと、朝食もすませたから、早速街に向かいましょうか」

「わかった…。街までは歩くんだよな?だいたいどれくらいでつくんだ?」

「そうねぇ…、だいたい歩きだと1時間半くらいかな?走れば40分くらいでつけるわよ」

「それって、肉体強化魔法使っての時間?」

「そうね、あくまで私ならそれくらいでつくっていう時間よ」

「なら、俺はもっとかかるんじゃないか?」

「そうでもないわよ。ゲンは気付いてないかもしれないけど、無意識に肉体強化魔法を自分にかけてるわよ?」

「そうなのか?気付かなかったよ」

「それに、仮にもSランク相当の力を持っているんだから、コントロールとかもちゃんとできるはずよ」

「どうやるんだ?」

「簡単よ。魔法はイメージで使うんだから、自分が強化されるのをイメージすればいいだけのことよ」

「そうなるのか。なら、練習がてら向かいますか」

「そうね。行きましょうか?ちゃんとついてきてよね?」

「わかった。頑張るよ」

俺が頷くと、エリカは玄関のドアを開けて外に出る。

「街は北にあるから、このままこの道を真っ直ぐ進めばいいの」

「わかった…。最初から走るんだよな?」

「えぇ、もちろん…。じゃあ、行くわよ?準備はいい?」

「大丈夫だ、問題無い。行こうか」

俺はエリカの左後ろに立ち、軽くジャンプする。

「それじゃ、行くわよ?レディ………ゴー」

エリカはゴーというと同時に走り出す。
俺もエリカの合図に反応して走り出す。

「ちゃんとついてきてる?もう少しスピード上げるわよ?」

「少し待ってくれ。体は大丈夫なんだが、目がまだついてこないんだ。もう少しこの速さで慣れさせてくれ」

「わかった」

俺は予想よりも速く走れる事に感動しながら、しかし目が追い付けない程の速さに慣れていないため、木に何度かぶつかりそうになる。

「目が走る速度についてこないなら、魔法を使いなさい。視力強化を使えば、大丈夫になるはずよ」

エリカがアドバイスをくれる。

「私も基本的には魔法で五感を強化して走っているから、ゲンもやってみるといいわ」

「わかった、やってみるよ」

俺は、自分の五感が強化される事をイメージする。
イメージに魔力を流し、魔法という形をつくっていく。
俺は、体内に渦巻く魔力が魔法として作用されるのを感じた。
瞬間、世界が研ぎ澄まされた。
世界がゆっくり流れ、小鳥の声がきこえ、木々の匂いが肺を満たす。

「これはすごいな。世界が新しく感じるよ」

「そうでしょ?結構気持ちいいのよね、これ」

「確かにな…。初めてなのに、全然不快じゃない。むしろ、しっくりくる」

「ちゃんと五感を強化できたみたいだから、スピードを上げるわよ?ついてきてね?」

「わかった」

俺が頷いたのを見たエリカがスピードを上げる。
俺もついて行くためにスピードを上げる。
エリカはどんどんスピードを上げて、一歩の幅がどんどん広くなる。
俺も歩幅を大きくとり、エリカに続く。
今やエリカと俺は、一歩で3メートルはとんでいる。
今なら100メートル走で、世界記録を出せそうだ。

「街までこのままのスピードで行くわよ?後30分はこのままだから、頑張りなさいよ」

「わかった。頑張るよ」

俺は頷き、エリカの後をついていく。
エリカの言ったとおり、それから30分くらいで街に到着した。

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