命の重さと可能性の重み

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第二十三話

「さて、朝ご飯にしましょうか?」

「そうだな、お腹も空いたし」

「今日の朝ご飯は、昨日の残りのスープと長パンよ」

「長パンってなんだ?昨日の丸いのとは違うのか?」

「昨日のは丸パンよ。長パンは、その名の通り長いのよ」

「そうなのか…。それで、その長パンはどこにあるんだ?」

「それはね………地下よ」

そう言ってエリカは床を指差す。

「この家って、地下があったのか…」

「まぁね。地下には保存の魔法がかけてあって、食べ物とかが腐らないようになっているのよ」

「そうなんだ…」

「ってことで、とってくるわね。スープを火にかけてるから、見ておいてくれる?」

「わかった」

「じゃあ行ってくるわね」

そういってエリカは、床をあけて階段をおりていった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「ただいま」

そういってエリカが帰ってきたのは、体内時計でだいたい五分くらいたってからだった。

「意外と時間かかったね…。地下って広いのか?」

「いえ、広いっていうほど広くは無いわ。たんに、階段から離れた所に長パンを置いていただけよ」

そういうエリカは、右手にフランスパンのような長いパンを持っていた。

「確かに長いな。フランスパンみたいだ」

「フランスパンって何のこと?これが長パンよ。少しかたいのが特徴なの」

「ますますフランスパンみたいだ。食べるのが楽しみだよ…。あっ、フランスパンってのは俺の世界での主食の一つで、長くてかたいパンなんだ。基本的には、バターかマーガリンっていうのをつけて食べるんだ。料理のソースにつけたりスープにつけたりもできる、けっこう使い勝手のいいパンなんだよ」

「そうなんだ。確かに長パンとにているわね…。この長パンも、同じ様な食べ方をするのよ」

「そうなんだ」

「それより、スープは大丈夫?焦がしてないわよね?」

「大丈夫だよ。お玉(?)を使って混ぜてたから」

「そう…。なら長パンを切って、朝食にしましょう。先に座っててくれる?」

「わかった」

俺は、先に席に座って待つことにした。

「ふんふふんふ~ん」

エリカが長パンを切りながら歌い出す。

「ふふふふ~ん、ふ~んふふ~ん」

昨日俺が起きた時も歌っていた歌のようだ。
俺は目を閉じてエリカの歌に聴き入る。

「さてと、準備できたわよ。食べましょうか」

いつの間にかエリカが向かいに座っており、朝食の準備ができていた。

「そうだね…じゃあ、いただきます」

俺は長パンに手を付ける。

「今日の糧を与えてくれし事に感謝を」

エリカもお祈りをすませて食べ始める。

「味もフランスパンににているんだな。ビックリだよ」

長パンは味もフランスパンににていた。

「そうなの?長パンは結構昔からあるパンだから、もしかしたらゲンの世界の人がこっちの世界に来て作ったのかもね…」

「そうなのかもな…」

俺は今度は長パンをスープにつけて食べてみる。

「うん、うまい」

やはりフランスパンと同じ感じである。
もしかしたら本当に、こっちの世界に迷い込んだ地球の人が作ったのかもしれない。

「今日の予定は、街に出てゲンのギルド登録のつもりだから、さっさと食べて街に行きましょうか?」

「そうなのか?なら、手早くすましてしまおう」

俺は食べる速度を上げる。

「ちゃんと味わってね?」

「わかってるよ」

俺はエリカに言われたとおり、急ぎながらも味わって食べた。

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